このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

リーダーシップの意味や定義とは? 種類や必要な要素をわかりやすく解説!

リーダーシップの意味や定義とは? 種類や必要な要素をわかりやすく解説!

リーダーシップをイメージできる人は多いでしょう。しかし、ビジネスにおいてのリーダーシップならどうでしょうか。

昨今、仕事の生産性を高めるためには、リーダーシップがきちんととれる人材の育成が必要だと言われています。

ここではまず、さまざまな学者が提唱している定義を紹介します。リーダーシップの概要や意味、必要な要素を知り、ぜひご自身の職場で役立ててください。

また、企業がリーダーシップを育成するのに必要な対策も紹介します。


この記事の監修者
officeたまこぶ  代表 / 国家資格キャリアコンサルタント 

リーダーシップとは

リーダーシップとは何か。意味や定義、理論などを詳しく説明します。まずは、意味を知ることから理解を深めていきましょう。

リーダーシップの意味

リーダーシップとは、組織の中で目標を定め、チームをつくり(あるいは維持し)、成果につなげる能力のことです。

部門や部署、プロジェクトの大小を問わず、組織の多くは目標を立てます。その達成のために動機づけを行うなど、組織のメンバーに働きかけられる能力も含まれます。リーダーシップは先天的な資質ではなく、後天的に誰でも身に付けられるものです。

近年では、ビジネス環境の変化の速さ、個人の価値観の多様化から、組織を構成する全員がリーダーシップを持つことが求められるようになりました。一人ひとりが持ち場でリーダーシップを発揮できれば、アウトプットの質が向上するだけでなく、アイデアやスキルは組織の成果物につながります。

リーダーシップの定義

リーダーシップの定義で有名なのが、オーストリアの経営学者ピーター・ドラッカーによる三つの定義です。仕事・責任・信頼の三つから定義されています。

仕事は、資質でなく仕事として見られるかを要件に挙げています。仕事として組織の目標や優先順位を的確に定め、行動できるかが大事で、資質やカリスマ性は不要と言い切ります。

責任は、地位や特権ではなく責任と見ることが要件です。「最終的責任は私にある」とし、「部下の力を信頼し、前進させ、自分の誇りとする」という姿勢で行動できるかが大切と説きます。

信頼は、リーダーに関する唯一の定義、つき従う者(リーダーを信頼するがゆえに、自らの意思に基づいて従う者)がいることによります。カリスマ性ではなく、日々の仕事ぶりが評価され、信頼を勝ち得た者はリーダーに値すると言えます。

リーダーシップの理論

リーダーシップには、有名な二つの理論があります。耳にしたことがある人もいるでしょう。一つ一つ解説していきます。

社会心理学者、三隅二不二が提唱した「PM理論」

PM理論とは、日本の社会心理学者の三隅二不二(みすみ・じゅうじ)により、1966年に提唱されたリーダーシップ理論のことです。リーダーの行動に着目し、リーダーシップで目標達成機能(Performance)集団維持機能(Maintenance)のいずれを重視するかを、PとMの二つの軸を使って説明しています。

アルファベットの大文字が強さ、小文字が弱さをそれぞれ表現し、組み合わせは「PM」「Pm」「pM」「pm」の4通り。リーダーの行動に関する課題を見つけるための指針として用いられます。

アメリカで提唱されたポール・ハーシィとケン・ブランチャードによる「SL理論」

米国のポール・ハーシィ(行動科学者)と、ケン・ブランチャード(作家、起業家)によって提唱されたのが、SL理論(situational leadership)です。

管理者のリーダーシップとメンバーの個々の成熟度についての相関関係を基にして、リーダーシップの適合について分類しています。

「仕事志向」と「人間志向」、それぞれの強さによって、指示型・説得型・参加型・委任型と四つのカテゴリーで構成。組織の活性化を目指す際に、相手に応じてリーダーシップのスタイルを変化させることが可能です。


リーダーシップとマネジメントの違い

マネジメントは組織に成果を挙げさせるための道具や機関、機能であるのに対し、リーダーシップは組織の使命を考え抜き、目に見える形で確立させることを指します。

ただ、リーダーシップとマネジメントは補完関係にあたります。新しい事業を始めたり、組織が停滞したりしている時にリーダーシップで方向性を明確にして、その後、マネジメントで現状を把握し、目標達成や組織の維持に向け論理的な行動をとっていきます。


リーダーシップはさまざまな種類に分類される

リーダーシップには、さまざまなタイプがあります。どのリーダーシップをとって生産性を高めていくかは企業により違いますから、いろいろと試してみるのもいいでしょう。

専制型・民主型・放任型の3種類

米国で活躍した心理学者のクルト・レヴィンは、リーダーシップを専制型・民主型・放任型と三つに分類しました。

専制型は、メンバーの行動や意思決定のすべてをリーダーが行います。強力なリーダーシップを発揮するリーダーの下でなら短期間で成果を出しますが、メンバーが受け身になりやすいデメリットが発生します。

民主型は、メンバーが意思決定できるようにリーダーがサポートし、方針や目標もできる限りメンバーの意見を取り入れます。自主性が育ち、長期的には成果が上げられるでしょう。

意思決定や行動がすべて部下任せの放任型は、まとまりに欠けやすい一方、自由な発想で運営できるので、専門性の高いメンバーがそろえば、有効に作用します。

参考:産業カウンセリング|産業カウンセラー養成講座テキスト(P407)

ビジョン・コーチ・関係重視・民主・ペースセッター・強制型の6種類

アメリカで活躍したダニエル・ゴールマンは、リーダーシップを6種類に分けました。

  • ビジョン型
    組織としての在り方やビジョンを明確に掲げ、メンバーを導きます。
  • コーチ型
    リーダーとメンバーの1対1の関係を重視します。メンバーの能力向上のビジョンが描きやすい方法です。
  • 関係重視型
    リーダーとメンバー、あるいはメンバー同士の人間関係を重視して、組織目標の達成を目指します。
  • 民主型
    結果よりもプロセスを重視します。メンバーの提案を歓迎するなど、参加を通じてコミットメントが得られるのが特徴です。
  • ペースセッター型
    難易度が高い目標に向け、リーダー自ら手本を見せて進行します。
  • 強制型
    リーダーだけが持つ裁量権を武器に、メンバーに命令を出すタイプです。

企業がリーダーシップを発揮する目的

企業がリーダーシップを発揮する目的を、大きく三つに分けました。組織としての生産性アップにはどれもが必要となります。目的別に詳しく解説します。

目標やタスクを完遂させるため

リーダーシップ発揮の目的の一つが、組織としての目標やタスクを完遂させることです。目標を明示しなければ、メンバーは自律的に動かないまま。そこでリーダーはリーダーシップを発揮して、組織をけん引します。

メンバーの能力やタイプを見極めながら、一人ひとりに合わせた動機付けを行います。同時にチームで目標達成ができるように、メンバー同士が協力し合えるようにサポートします。

チームの団結力を高めるため

チームの団結力を高めるのも、リーダーシップを発揮する目的の一つです。目標達成しようにも、一人で成しうることには限界があります。

メンバーの個性もバックボーンも多種多様。理解し合うには、丁寧なコミュニケーションが必要です。そこでリーダーシップを発揮して組織の結束を強められれば、効率性や生産性が上がります。結果として一人ひとりが役割を全うし、高い目標達成につながるのです。

個人のスキルや能力を開発するため

個人のスキルや能力の開発も、リーダーシップを発揮する目的に含まれます。というのも、一人ひとりのスキルや能力がアップすれば、組織としての生産性アップにつながるからです。

リーダーはメンバーの能力を把握したうえで割り振る仕事を検討しますが、能力向上を見据えて仕事や課題をアサインします。この時、メンバーが自ら考え行動して、能力が高められるようなフォローが不可欠です。


企業におけるリーダーシップに求められる要素

企業におけるリーダーシップに求められる要素は四つあります。どんな要素が必要なのか見ていきましょう。

ビジョンを描く力

リーダーは組織の方向性を示すのが役割です。『さあ、才能に目覚めよう』の著者でもあるマーカス・バッキンガム氏の言葉に、「優れたリーダーは、良い未来を描き、人々を団結させる」があります。

リーダーは未来に目を向け、人の心の中に植え付けられるようなビジョンを示す力が必要です。メンバーが行動する動機付けにもつながる大事な要素となるだけに、つねに発想力を磨いておきたいところです。

参考:東洋経済新報社|『ゼロから考えるリーダーシップ』(P37)

主体的な行動力

リーダーシップのバックボーンになるのが、主体的な行動力です。どんなに素晴らしいビジョンや指示を示しても、行動しなければ事業は進みません。

部下の行動の動機づけにつなげるには、物事に誠実に取り組み、組織の模範となる行動が必要です。部下に対して明確な方向性を示したうえで、自ら率先して行動します。メンバーが失敗したとしても、強い当事者意識を持って責任を取る気概が求められます。

的確な判断力

的確な判断力も、リーダーシップで求められる要素です。指揮を取るリーダーが迷っている状態が続くと、計画通りに事業が進まなくなったり、スケジュールが遅れたりする可能性もでてきます。

また、メンバーの能力や仕事の成果を、客観的に評価することも求められます。決断力や評価のベースとなるのが、的確な判断力です。つねに広く、公平な視野を持ちつつ、小さな事柄でも日常的に意思決定を繰り返して力を養いましょう。

コミュニケーションスキル

メンバーや関係者と信頼関係を築くベースとなる、コミュニケーションスキルも必要です。組織やチームを動かす立場にあるリーダーは、ビジョンや目標、やるべきことをメンバーに理解してもらうために、わかりやすく説明できなければなりません。

同時に、リーダーには働きやすい環境や組織文化をつくる役割もあります。メンバーの話を積極的に聴くだけでなく、困っている人がいないかなど、さりげないフォローも大切です。


リーダーシップが課題となっている企業がすべきこと

業績に伸び悩みがある企業には、今後リーダーシップの育成が必要になることも。どのようなことをすればよいのかを紹介します。

リーダーシップ研修を行う

リーダーシップを高めるために有効なのが、リーダーシップ研修で学びを得ることです。組織の状況やメンバーの能力に応じてリーダーシップを発揮してほしいところですが、リーダーシップにはさまざまなスタイルがあると知らなければ、独善的な行動となり組織が混乱するかもしれません。

そこで、リーダーシップを発揮してほしい人材を対象に研修を行い、コーチングやフィードバックといったコミュニケーションスキルのほか、リーダーとしての役割認識や人間観など、理論と実践の両面から基礎知識を深めます。

演習が多く、実務で即活用できるカリキュラム構成が効果的です。講師や受講者が上司や部下などの役割を演じる内容が多いほど、職場でも実践しやすいでしょう。

リーダー・上司が率先して行動する

リーダーが率先して行動するのも、リーダーシップを高める一つの方法です。ただ指示を出すだけでは、メンバーはついてきません。行動を伴う必要があります。

そこで組織の目標設定を行い、メンバーと丁寧に共有した後、リーダー自身も個別に目標を立てて行動していきます。

また、メンバーと信頼関係を構築し、ある程度、仕事を任せる姿勢も大切です。実際には自分で取り組んだほうが早いでしょう。

ついつい何度も進捗を確認したくなるところですが、そこをぐっとこらえ、ポイントごとに確認してアドバイスします。困ったことがあればすぐにフォローに入るなど、行動できる準備を整えておきます。


リーダーシップについてのまとめ

ビジネスにおいてのリーダーシップとは何かを解説しました。まとめると以下の通りです。

  • ピーター・ドラッカーによると、リーダーシップには三つの定義がある
  • リーダーシップの有名な理論には「PM理論」と「SL理論」がある
  • リーダーシップは、さまざまな種類に分類される
  • 企業におけるリーダーシップに求められる要素は四つある
  • リーダーシップの育成には、研修を行うことが有効である

業績の伸びに悩んでいる経営者や、リーダーシップを課題に感じている人材育成担当者にとっては、重要な理論となります。ぜひ、実践に役立ててください。

この記事に関連する最新記事

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

監修者プロフィール

author_item{name}

宗像 陽子

officeたまこぶ 代表 / 国家資格キャリアコンサルタント

大学卒業後、地方新聞社のスポーツ記者などを経て、キャリアコンサルタントに転身。

公共機関や都内私立大学で学生や既卒者の就職支援に当たった後、フリーランスとして独立。

現在は、「その人のありのままを受け止める」姿勢を大切に、複数の大学で学生のキャリア支援に従事するほか、氷河期世代や高校生向けの講座への登壇、ライティングと幅広い活動を展開している。

新聞記者経験で積み上げた文章力を活かした応募書類作成や講座が得意。

この監修者の他の記事(全て見る

bizoceanジャーナルトップページ