工事請負契約書の印紙の金額は? 軽減措置や節税の工夫を紹介
工事請負契約書には、契約金額に見合った収入印紙を貼る必要があります。
契約金額が高額になるほど印紙代も高くなりますが、条件によっては軽減措置が適用されます。また、ちょっとした工夫で節税することも可能です。
この記事では、工事請負契約書の印紙の金額や軽減措置、節税の方法を具体的に紹介します。ぜひ参考にしてください。
工事請負契約書に収入印紙は必要
工事請負契約書は、印紙税法が定める課税文書の対象です。そのため、契約金額に見合った収入印紙を貼付しなければなりません。
印紙税が課税される文書は全部で20種類あり、工事請負契約書は第2号文書「請負に関する契約書」に含まれます。
印紙の金額(軽減措置)
第2号文書「請負に関する契約書」の印紙税額は次の通りです。
記載された契約金額 |
税額 |
---|---|
1万円未満 |
非課税 |
1万円以上 100万円以下 |
200円 |
100万円超 200万円以下 |
400円 |
200万円超 300万円以下 |
1,000円 |
300万円超 500万円以下 |
2,000円 |
500万円超 1,000万円以下 |
10,000円 |
1,000万円超 5,000万円以下 |
20,000円 |
5,000万円超 1億円以下 |
60,000円 |
1億円超 5億円以下 |
100,000円 |
5億円超 10億円以下 |
200,000円 |
10億円超 50億円以下 |
400,000円 |
50億円超 |
600,000円 |
ただし、令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成され、契約金額が100万円を超える建設工事の請負に関する契約書については、軽減措置が設けられています。
記載された契約金額 |
税額 |
---|---|
100万円超 200万円以下 |
200円 |
200万円超 300万円以下 |
500円 |
300万円超 500万円以下 |
1,000円 |
500万円超 1,000万円以下 |
5,000円 |
1,000万円超 5,000万円以下 |
10,000円 |
5,000万円超 1億円以下 |
30,000円 |
1億円超 5億円以下 |
60,000円 |
5億円超 10億円以下 |
160,000円 |
10億円超 50億円以下 |
320,000円 |
50億円超 |
480,000円 |
印紙代の負担者は作成する側
印紙税の納税義務者は「課税文書の作成者」とされています(印紙税法第3条)。そのため、印紙税は文書を作成した側が負担するのが原則です。
ただし、契約書のように2通文書を作成する場合は、双方それぞれが貼り付ける印紙代を負担するのが一般的です。
あらかじめ、当事者間で印紙の取り扱い方法を決めておくとよいでしょう。
工事請負契約書の印紙税を軽減する方法
工事請負契約書の印紙税を軽減するには、次のような方法があります。
電子契約を締結する
電子契約を締結すると、収入印紙の貼り付けが不要になります。
収入印紙の貼り付けが必要な文書とは、印紙税法上の課税文書のうち「作成」に該当するものをいいます。また、ここでの「作成」とは「課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使すること」です。
電子契約は「用紙等に記載しない」ことから「作成」には該当しないと解釈できるため、収入印紙の貼り付けは不要で、かつ契約としても有効性が確保される方法です。
契約書に記載する金額を税抜表示にする
契約書に消費税の区分を記載している場合、印紙税額は税抜金額をもとに計算することができます。
例えば、建設工事の請負契約書で令和5年4月1日作成されるものについて、契約金額に「220万円」と記載があった場合、消費税額が明記されていなければ税込の「220万円」となり、500円の印紙税がかかります。
しかし、契約金額に「220万円(うち消費税額等20万円)」のように、消費税額が明記されていれば、契約金額は税抜金額の200万円となり、印紙税は200円で済みます。
契約書をまとめる
設計請負に関する契約書には軽減措置が適用されないため、設計段階も含めて建設工事を請け負った場合は、契約書をまとめることで印紙税を節約できます。
例えば、設計を500万円、建設工事を3,000万円で請け負い、契約書をそれぞれ作成すると、印紙の金額は次のようになります。
- 500万円の設計請負契約書 印紙代:2,000円
- 3,000万円の建設工事請負契約書 印紙代:1万円
- 印紙代合計:1万2,000円
これらの契約を1つにまとめると、「3,500万円」の工事請負契約書となり、印紙代は1万円となります。
工事請負契約書に必要な印紙について覚えておこう
経理担当者は、工事請負契約書に必要な収入印紙の金額を正しく把握する必要があります。国税庁のホームページで軽減措置についても確認しておきましょう。
また、決められたルールの範囲内での節税方法も、本記事であらためてチェックしておくことをおすすめします。
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