「恐縮です」の意味と使い方を徹底ガイド! ビジネスシーンの例文と注意点も紹介
「恐縮です」は、ビジネスにおいて、広く使用される言葉です。特に、ビジネスメールでよく使用されます。
しかし、詳しく意味を知らない人や、使い方に不安がある人もいるでしょう。
本記事では、「恐縮です」の意味や適切な使い方、どういった場面で使うのかなどを解説していきます。
「恐縮です」の意味とは
「恐縮(きょうしゅく)」とは、相手から厚意を受けた際に「申し訳ない」、「ありがたい」、「気恥ずかしい」と感じ、身がすくむような気持ちになることです。
恐れやかしこまるなどの意味する「恐」と、身がすくむ、ちぢこまる、かしこまるなどの様子を表す「縮」の、2つの漢字が合わさって、相手に対して恐れ、かしこまるという意味になります。
相手に迷惑をかけたり、厚意を受けたりして申し訳なく感じた際に使われる言葉で、単体ではなく、「恐縮です」と使用するのが一般的です。
主に使用される場面として、感謝や謙遜を表したい時、依頼やお断りをする時が挙げられます。
ビジネスにおける「恐縮です」の使い方と例文
ビジネスシーンでは、上司や先輩といった目上の人や、取引先などの社外の人に対して、「恐縮です」を使用する機会が多いです。自身が低い姿勢であることを印象付けたり、相手を立たせたりする効果があります。
「恐縮です」は主に、
- 依頼
- お断り
- 感謝
- 謙遜
の4つのパターンで使用されます。
それぞれ、例文も交えて使い方を紹介していくので、参考にしてください。
「恐縮です」の使い方の例文【依頼】
相手へ依頼をする際に「恐縮です」を使う場合、「恐縮です」という言葉には、全体の印象を和らげて、相手に丁寧さや誠実さを感じさせるという効果があります。
特に、依頼したい相手側の状況や状態が分からない時には、「恐縮ですが」とクッションをおいてから、要求を伝えるとよいでしょう。
自身が低姿勢であることや、相手に配慮するニュアンスがあるため、後に続く要件が伝えやすくなります。
【依頼の際の例文】
- お忙しいところ大変恐縮ですが、明日までにご返答をいただけると幸いです。
- 恐縮ですが、店内での飲食、喫煙はご遠慮ください。
- 誠に恐縮ですが、今週中に書類をご提出いただけますか。
「恐縮です」の使い方の例文【お断り】
お断りで「恐縮です」を使うと、相手に迷惑をかけてしまった時などに、「申し訳なくて身が縮む思い」を表現することができます。
自身の立場を低くし、相手を立たせる表現なので、上司や先輩、取引先に対して、使用するケースが多いです。
お断りをする際は、「恐縮です」だけでなく、断る理由も付け加えることで、より誠実さを表現できるでしょう。
一般的に依頼やお願いなどをする側よりも、断る側のほうが、心理的ハードルは高くなります。
お断りの際に「恐縮です」を使用することで、相手への配慮を感じることができ、柔らかい印象を演出できます。
【お断りの際の例文】
- 大変恐縮ではございますが、今回の祝賀会は欠席させていただきます。
- 私事で誠に恐縮ですが、〇日は所用でお休みをいただくため、対応しかねます。
- 恐縮ですが、当社の規定により、ご依頼の件は引き受けられません。
「恐縮です」の使い方の例文【感謝】
感謝で「恐縮です」を使用すると、「自分にはもったいないほどありがたいこと」を伝えることができます。
この場合も、上司や取引先など、相手を立たせたい時に有効な表現です。
感謝を伝えたい場合での「恐縮です」は、文全体や、後に続く感謝の意に対して、丁寧さや誠実さをより感じさせやすくなります。
また、より感謝の気持ちを強調したい時には、「ありがとうございます」も合わせて伝えると、相手からの厚意が、自分の身に余るほどのものだというニュアンスを含められるかもしれません。
【感謝の際の例文】
- ありがとうございます。誠に恐縮ですが、今回のご厚意に甘えさせていただきます。
- 今回はこのような場を設けていただき、大変恐縮です。
- お忙しい中、迅速に対応してくださり、恐縮でございます。
「恐縮です」の使い方の例文【謙遜】
謙遜を表現する「恐縮です」は、相手から褒められた時に、謙虚に受けとめる言葉として使用されることが多いです。
感謝の場合と同じように、「身に余るほど」、「もったいないほど」というニュアンスを含むことができます。
特に、上司や先輩といった、目上の人から褒められた時に、「恐縮です」を使って返答すると効果的です。
「恐縮です」を使って謙遜の意を伝えることで、とてもスマートな返答になり、相手から好感を持たれやすくなるでしょう。
【謙遜の際の例文】
- 直々にお褒めの言葉をいただきまして、大変恐縮です。
- このような名誉ある賞を受賞できて、恐縮するばかりでございます。
- 私事で恐縮ですが、明日から1ヵ月、育児休暇を取得させていただきます。
「恐縮です」と似た意味を持つ言葉
「恐縮です」を使用する際に、同じ文中で複数回繰り返し使用してしまっている場合や、他の表現方法も知りたい場合は、別の言葉に言い換えてみましょう。
「恐縮です」には、様々な類似表現がありますが、それぞれニュアンスや、使用する状況、相手に適したケースも異なってきます。
それでは「恐縮です」と似た意味を持つ言葉を、使用方法とあわせて確認していきましょう。
恐れ入ります
「恐縮です」の類似表現に、「恐れ入ります」というフレーズがあります。
「恐縮です」に比べて、フォーマルな印象があり、どちらかというと申し訳のなさの意を表したい時に言い換えるとよいでしょう。
フォーマルな表現のため、メールや文書などの書き言葉でよく使われます。
会話など話し言葉で使用すると、堅苦しくなってしまうことがあるので、目上の人や取引先の相手に使用するなど、会話相手によって使い分けるとよいかもしれません。
痛み入ります
「痛み入ります」という言葉は、上司や目上の人に配慮してもらった際に、「恐縮ですが」の言い換えとして使用できる敬語表現で、「恐れ入ります」に比べて、感謝の意が強いのが特徴です。
「痛み入ります」は、相手からの厚意や親切に対して、「自分にはもったいなくて、申し訳ない」と思いながらも、とても感謝している旨を表現したい時に使うとよいでしょう。
ただし、「恐縮です」のほうが普段使いしやすいため、「痛み入ります」を使って、文章や会話がぎこちなくなる場合は、無理に言い換える必要はありません。
汗顔の至りです
「汗顔(かんがん)の至りです」は、謝罪や賞賛に対する謙遜を表現する際に使用できます。「至り」ではなく「極み」と表現しても意味は変わりません。
感謝と謙遜を示す「恐縮です」の言い換え表現ですが、自身の恥ずかしさの印象も付け加えて表したい時は、「汗顔の至りです」を使用するとよいでしょう。
また、初歩的なミスをしてしまった場合にも、恥ずかしさを伝える表現として使用できます。
もったいないお言葉です
「もったいないお言葉です」も、感謝や謙遜の際の言い換え表現として使えます。「恐縮です」だと、かしこまりすぎるかもと感じた場合は、「もったいないお言葉です」と言い換えるとよいでしょう。
書き言葉よりも、話し言葉、特に会話上で褒められた際の返答として有効です。相手への感謝の意味合いが強いですが、同様に自分を謙遜した表現でもあります。
僭越ながら
「僭越(せんえつ)ながら」は、身分不相応を詫びつつ、自分が表立って発言や意見、行動をするシーンで使用します。僭越とは、「自分の身分や立場を超えて、出過ぎたことをすること」といった意味です。
「失礼しますが」を、よりかしこまった言い方と捉えると分かりやすいかもしれません。
「恐縮ですが」と「僭越ながら」のどちらも、申し訳ないといったニュアンスで、文章や話の前置きで使用されますが、使われるシーンがそれぞれ異なります。
「出しゃばって」、「出過ぎて」の文脈の場合は、後者を使うとよいでしょう。
「恐縮です」の気持ちをより伝えるポイント
「恐縮です」は、単体の使用でも、相手に配慮や丁寧さを伝えることができますが、より気持ちを伝えたい状況もあるかと思います。その時は、「恐縮です」に強調表現を加えて使うとよいでしょう。
それでは、「恐縮です」と一緒に使える強調表現を例文とあわせて紹介するので、参考にしてみてください。
- 甚(はなは)だ
「甚だ」は、「たいへん」や「とても」を丁寧にした表現です。
例)甚だ恐縮ですが、この件はお見送りとさせていただきます。 - 至り、極み
「至り」と「極み」は、状態が最高に達している様です。どちらも恐縮の後に付けて使います。
例)ご迷惑をおかけして、誠に恐縮の至り(極み)です。 - しきり
「しきり」は、「たびたび」や「繰り返し」のように回数の多さを表します。
例)このような機会を与えてくださり、恐縮しきりです。 - 限り
「限り」は、「限界や限度いっぱい」な様を表します。
例)高い評価をしてくださって、恐縮の限りでございます。
「恐縮です」の使い方の注意点
「恐縮です」は、ビジネスシーンにおいて、広く使用される言葉です。そのため、誤った使い方をしてしまうケースも少なくありません。
間違いや不適切な使用で、恥ずかしい思いをしたり、相手に失礼になったりしないように、「恐縮です」の使い方の注意点を押さえておきましょう。
「恐縮です」は多用しない
「恐縮です」を多用しすぎると、わざとらしい印象を与えてしまい、むしろ失礼になってしまいます。
意味合いやニュアンスとしても、自分の姿勢を低く見せて、相手を立たせる言葉なので、「恐縮です」を多用しすぎると、「口だけ」や「媚びている」と思われかねません。
多用することで言いたいことが相手に伝わりにくくなってしまうので、何度もありがたさや、申し訳なさを感じる場面では、前述した「恐縮です」の類義語や言い換え表現を使いましょう。
「恐縮です」と「存じます」は一緒に使わない
「恐縮です」と「存じます」は、一緒に使ってはいけません。
「恐縮に存じます」というと、違和感が無いように思うかもしれませんが、これは二重表現になるので、文法的に間違いです。
恐縮には、「ありがたく(申し訳なく)思う」という意味があり、「存じます(存ずる)」は「思う」を謙譲語にした表現です。
そのため、「恐縮に存じます」だと、「ありがたく(申し訳なく)思う思う」と、「思う」が二重になってしまいます。
もし、自分を謙遜しながら相手に感謝を伝えたい時は、「恐縮でございます」と表現するとよいでしょう。
「恐縮です」を話し言葉で使わない
「恐縮です」は、基本的に書き言葉で使用します。話し言葉、特にビジネスシーンでの会話で使用するのは避けましょう。
「恐縮です」を、話し言葉で用いると、堅苦しい雰囲気になりますが、「恐れ入ります」は、語感的にも柔らかい印象があります。
そのため、話し言葉で「恐縮です」の意を伝えたい場合は、「恐れ入ります」を使用するのが望ましいです。
「恐縮です」を謝罪に用いない
「恐縮です」には、「申し訳ない」や「心苦しい」、「身が縮む思い」といったニュアンスが含まれていますが、謝罪の場で、「恐縮です」を用いてはいけません。
重大なミスや、相手に多大な迷惑をかけてしまった時などに、「恐縮です」を謝罪の意で使用するのは不適切です。
しっかりとした謝罪の場では、「大変申し訳ございません」や「心よりお詫び申し上げます」などを用いて、誠実な謝罪を心がけましょう。
まとめ
本記事では、以下のような、「恐縮です」の意味や使い方、注意点などを解説しました。
- 「恐縮」とは、ありがたく思ったり、申し訳なく感じたりして身が縮む様を表す
- 「恐縮です」は主に、依頼、お断り、感謝、謙遜の4パターンで、相手に配慮や丁寧さを伝えるクッションとして用いる
- 相手や状況に応じて、「痛み入ります」や「恐れ入ります」など、似た意味を持つ言葉に言い換えることができる
- 基本的に書き言葉で使用し、「恐縮です」の多用は避ける
「恐縮です」は、ビジネスシーンでよく使用される言葉なので、適切な場面で、正しく使いましょう。