「尽力」「ご尽力」の意味は? ビジネスシーンでの使い方を例文つきで解説!
「尽力いたします」「ご尽力いただきありがとうございました」など、
ビジネスシーンのメールやチャットなどでよく使われる「尽力」。
取引先とのやりとりで使うことが多く、誤った使い方をすると信頼を失う可能性もあるかもしれません。
取引先とビジネスマナーを守って適切にやりとりするためには、尽力を使う場面や、使い方を正しく理解することが重要です。
この記事では、尽力の意味や使用例、言い換え表現を紹介し、使うときの注意点もあわせて解説します。
ビジネスシーンでの使い方を例文つきで知りたい方は、ぜひご覧ください。
尽力の意味とは?
尽力は(じんりょく)と読み、全力を尽くして相手のために行動しようとする意向を表す言葉です。
目標達成に向けて、最大限に自身の能力や資源を使って困難に立ち向かう行動や意志を表現しています。
主にビジネスシーンで使われ、相手が力を尽くしてくれたことへの感謝や、与えられた役割に全力を尽くす強い意気込みを表したいときに使います。目上の人と目下の人の両方に対して、幅広く使用可能です。
また、尽力は個人の努力のみならず、組織のメンバーとして貢献したいことを示すときにも使えるため、会社として取引先に貢献する意志を表明したい場合にも適しています。
参考:「尽力(じんりょく)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
尽力の例文・ビジネスシーンでの使い方
尽力の例文・ビジネスシーンでの使い方について、以下の5つの例を用いて説明します。
- 尽力いたします
- 尽力して参ります
- 尽力させていただきます
- ご尽力
- 多大なるご尽力を賜り
尽力いたします
「尽力いたします」は、「する」の謙譲語である「いたす」に丁寧語である「ます」をつけた表現です。
「いたす」は「する」の謙譲語で、ひらがな表記が適切です。漢字表記にしないよう注意しましょう。
「尽力いたします」は、特定の課題や計画に対して最善を尽くし、全力で取り組む意気込みを示すときに使います。
「がんばります」の代わりに使うと、よりスマートな印象を与え、誠意も示せます。
例文は以下のとおりです。
- 企画を成功させるために尽力いたします。
- 目標が達成できるよう尽力いたします。
- 期待に応えられるよう尽力いたします。
- 社内コミュニケーションの活性化に向けて尽力いたします。
尽力して参ります
「尽力して参ります」は、動詞の「尽力する」に「行く」の謙譲語である「参る」と丁寧語である「ます」をつけた表現です。
謙譲語と丁寧語で相手を敬う表現となっており、相手への尊敬の気持ちがより込められています。
また「して参る」には、現在だけでなく今後も引き続き進めていく意味合いも含まれます。
目上の人に対して、決意を述べるときなどに使うと良いでしょう。
例文は以下のとおりです。
- 貴社に貢献できるよう尽力して参ります。
- 結果を出せるよう尽力して参ります。
- お客様満足度の向上のため、サービス改善に尽力して参ります。
- 自己スキルの向上に尽力して参ります。
尽力させていただきます
「させていただきます」は「させてもらう」の謙譲語で、「相手に許してもらう」という意味があります。
取引先や上司などに対して、「少しでも力になりたい」という意気込みを伝えるときに使います。
ただし、許可を得る立場や場面ではない場合は過剰な表現となり、相手に不快感を与える可能性があるため注意しましょう。
例文は以下のとおりです。
- 及ばずながら、尽力させていただきます。
- 企画の成功に向けて尽力させていただきます。
- 貴社のご発展に貢献できるよう、尽力させていただきます。
ご尽力
「ご尽力」は、相手の行動に対して尽力を使う表現です。相手の協力のおかげで目標が達成できた場合などに、強い感謝の表明や引き続きの支援の依頼ができます。
また、相手の協力がありながらも成果が出なかった場合の謝罪表現としても使えます。
あくまでも相手の行動が主語の表現であるため、例えば「私は貴社にご尽力いたしました」と、自分を主語にした表現は不適切です。
例文は以下のとおりです。
- 弊社の目標達成は、貴社のご尽力の賜物です。
- 皆さまのご尽力のおかげです。
- 貴社のご尽力により、目標を達成できました。
- 貴社のご尽力にもかかわらず、申し訳ございません。
多大なるご尽力を賜り
「多大なるご尽力を賜り」は、相手の協力や努力に対する深い感謝と敬意を表し、相手が取引先や上司などの場合に使います。多くはビジネスやフォーマルなシーンで使用し、日常生活では使用しない表現です。例文は以下のとおりです。
- 平素より弊社に多大なるご尽力を賜り、ありがとうございます。
- 営業目標達成に多大なるご尽力を賜り、ありがとうございました。
- 顧客への対応に多大なるご尽力を賜り、重ねてお礼申しあげます。
尽力の類語・言い換え表現
尽力の類語・言い換え表現を知っておくと、重複表現を避けたり使い分けたりすることが可能です。
尽力の類語・言い換え表現を表にまとめたので参考にしてください。
類語・言い換え |
意味 |
例文 |
努める |
精を出して仕事をすること。努力して事を行うこと。 |
サービス改善に努めます。 |
献身 |
他人やある物事のために、わが身を犠牲にして尽くすこと。 |
貴社の発展に献身します。 |
精進 |
一生懸命に努力すること。 精神を集中して一つのことに励むこと。 |
自身のスキルアップに精進します。 |
寄与 |
人のために役に立つこと。 |
あなたがチームの意欲向上に寄与してくれたおかげで、目標を達成できた。 |
貢献 |
ある物事や社会のために役立つように力を尽くすこと。 |
貴社の発展に貢献したいと考えております。 |
邁進する |
恐れることなく突き進むこと。 |
お客様のご期待に応えるべく、今後もサービス向上に邁進してまいります。 |
集中する |
1か所に集めること。また、集まること。 |
目標達成に集中します。 |
挑む |
ある困難な物事に立ち向かっていくこと。 |
自身のスキルアップのため、資格取得に挑みます。 |
骨を折る |
苦労すること。力を尽くすこと。 |
骨を折る作業にもかかわらず、ありがとうございました。 |
参考:尽力(じんりょく)の類語・言い換え - 類語辞書 - goo辞書
尽力の類語・言い換え表現は、尽力と同じように使えるものもあれば、ニュアンスが異なるものもあります。使用場面や相手に応じて使い分けるようにしましょう。
尽力をビジネスで使う場合の注意点
尽力をビジネスで使う場合、以下の点に注意する必要があります。
- 「尽力を尽くす」は間違い
- 「尽力を注ぐ」は間違い
- 自分が過去に行ったことに対して使わない
- 相手に依頼やお願いをするときに使わない
一つずつ詳しく解説します。
「尽力を尽くす」は間違い
「力を尽くす」ことを示す言葉が尽力であるため、尽力に「尽くす」をつけると二重表現になります。
「尽力を尽くす」は間違いのため使わないようにしましょう。
「できる限り力を尽くす」と表明したい場合でも、尽力と「尽くす」をあわせて使うことはせず、「尽力します」または「力を尽くします」と表現しましょう。
「尽力を注ぐ」は間違い
「尽力を注ぐ」は「力を尽くすことを注ぐ」という意味になり、二重表現とはいえないものの不自然な表現です。
「尽力を注ぐ」も間違いのため注意しましょう。
「注ぐ」を使いたい場合は「注力する」や「力を注ぐ」が適切です。
ただし、「力を注ぐ」「注力」は力を入れて物事に集中するという意味を持つため、尽力とはニュアンスが異なる点に注意して使いましょう。
自分が過去に行ったことに対して使わない
尽力は、自分が過去に行ったことに対して使わない点に注意しましょう。
例えば「貴社に尽力しました」は誤りです。過去の行為に使用すると押しつけがましく、相手に失礼な表現になります。
「尽力しました」を「尽力して参りました」「尽力させていただきました」と丁寧語をつけて使うのも誤りです。
自分が過去に力を尽くしたことを伝えたい場合は、「協力いたしました」などを使うと良いでしょう。
相手に依頼やお願いをするときに使わない
尽力は、相手に依頼やお願いをするときに使わない点にも注意します。
例えば「弊社の課題解決のためご尽力をお願いします」とするのは誤りです。
「自分のために力を尽くしてほしい」という、他人に協力を強要するような厚かましい表現になります。相手に依頼するときには「お力を貸してください」「お力添えをお願いいたします」を使うと良いでしょう。
まとめ
尽力は、全力を尽くして相手のために行動しようとする意向を表す言葉です。
力を尽くしてくれた人に感謝を示す意味で使用し、主にビジネスシーンで使われます。
尽力には丁寧語や謙譲語を使ったさまざまな表現があり、相手や状況に応じて表現を変えることが可能です。
また、類語や言い換え表現を理解しておくと、重複表現を回避した適切な使い分けもできます。
ビジネスシーンで尽力を使うときの注意点を理解し、正しく使用しましょう。