「ニッチ」の意味は? ビジネスシーンでの意味や言い換え表現を解説
「ニッチ」とは「壁のくぼみ」という意味があり、転じて「市場の狙い目」といったことを表すために使われることがあります。
ただし業界によっては意味が異なるケースもあるため、時と場合に応じて正しい使い方をすることが重要です。
この記事ではニッチの意味を、例文を交えて業界別に解説します。言い換え表現も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ニッチとは?
「ニッチ(niche)」とはもともと、「壁のくぼみ」を表す建築関係の言葉です。
現在ではビジネスシーンや生物学、日常生活でも使われるようになり、文脈によって意味合いも少々異なってきています。
そのため、ニッチという言葉を使うまたは理解するためには、使う業界・分野も踏まえる必要があります。
【シーン別】ニッチの意味と例文
「ニッチ」という言葉は、使われる状況によって意味が変わります。
以下の4つのシーン別に、意味を解説します。
- ビジネス全般
- 建築業界
- 生物学
- 日常生活
ビジネス用語としてのニッチ
ビジネス用語としてのニッチには、「隙間」や「穴場」という意味があり、転じて、「大手企業が注目しないような、特定の小規模な事業領域」を指します。
<例文>
A社のサービスは、ニッチなビジネスの成功例だと言える。
ビジネスシーンで使われる言葉で、「ニッチ」が付くものは複数あり、意味もさまざまです。それぞれの用語の意味を紹介します。
ニッチビジネス(ニッチ市場)
ニッチビジネス(ニッチ市場)とは、特定の人にのみニーズのある、小さな市場に商品やサービスを提供するビジネスのことです。
大企業が参入しにくく競合他社が少ない、チャンスはあるがまだビジネスとして確立していない点が特徴です。
そのため、中小企業やベンチャー企業のように、事業規模が小さい企業が参入しやすい市場でもあります。
具体例として、主に北海道で展開しているコンビニ「セイコーマート」が挙げられます。
ニッチマーケティング(ニッチ戦略)
ニッチ市場をターゲットとして、製品やサービスを展開する戦略のことです。
もともと母数の少ない市場に対して展開するものであるため、未開拓の市場・小規模な市場で成果が出せるように心がけなければなりません。
ニッチ商品
ニッチマーケティングで提供される商品のことです。特定の人やニーズを満たすために作られているため、「いくら質が高くても、欲しい人以外は買わない」という点が顕著に表れます。
たとえば以下のような商品が、ニッチ商品として挙げられます。
- 小柄な女性向けのアパレル
- 医者や看護師など、専門職の人だけが使うもの
- レコードの針やボウリングのボール
ニッチトップ
ニッチ市場で事業を展開し、市場の大半のシェアを獲得している企業のことです。
また、国内のニッチ市場のみならず、世界市場でも大きなシェアを獲得している企業のことを「グローバルニッチトップ(GNT)」と言います。
建築用語としてのニッチ
ニッチは建築業界で使われる場合、「壁のくぼみ」という意味です。
リビングや階段などに設けた飾り棚を指し、「壁龕(へきがん)」とも呼ばれることもあります。
<例文>
1階の廊下にニッチを設けましょう。
また、橋やトンネルの脇に設けられる、非常用の退避スペースもニッチと呼びます。
同じ建築業界の話題であっても、使う場所やシーンによって多少意味が異なる点に注意が必要です。
生物学用語としてのニッチ
生物学で使う場合、「生態的地位」という意味になります。
これはある生物が自然の生態系のなかで得た、特定の生息場所のことです。
たとえばワシ・タカ・フクロウはいずれも同じエサを食べる肉食生物ですが、ワシ・タカは日中に、フクロウは夜に活動することで、共存ができています。
<例文>
フクロウは夜間に行動することで、ニッチを獲得している。
日常生活でのニッチ
日常生活で使う場合、主に人・物に対して「個性的だ・風変わりだ」というニュアンスを含みます。
ネガティブに聞こえるかもしれませんが、どちらかと言えば好意的な意味を含む言葉です。
そのため「珍しい人だ」「マニアックなことだ」だと、感心した時に使われます。
<例文>
ニッチな趣味を持っていますね。
ビジネスにおいてなぜニッチが重要なのか?
ビジネスシーンでは「ニッチ」を重要視することで、限られた経営資本で高い利益を得られる可能性があります。
ニッチビジネスは競合他社が少なく、それでいて需要が高い可能性があります。
特定の市場で本当に求められているサービスや製品を提供できれば、すぐに高いシェアを獲得でき、大きな利益を出せるかもしれません。
また、それほど独創性や革新的なアイデアが求められるわけではない点も魅力的です。
ニッチビジネスは、すでに市場ができあがっている状態から「隙間」となる市場を見つけ出して行います。
既存の商品に対する不満を解消するサービス・製品作りをするだけでも、大いに評価される可能性を持っているのです。
ニッチと似た言葉との違い
以下のように、ビジネスシーンにおけるニッチと似た意味を持つ言葉も、いくつか存在します。
- マニアック
- マイナー
- ブルーオーシャン
それぞれの意味の違いを知って、正確に使い分けましょう。
マニアックとニッチの違い
「マニアック」は「1つのことに極端に熱中する様子」を指します。
ニッチにも「個性的・風変わり」という意味合いがありますが、マニアックのほうは「あることに熱中しているため、普通の人が知り得ないことまで知っている」といったニュアンスを含みます。
そのため、何か特定の物事に熱中している人に「ニッチな人だね」と言うのは誤りです。
<会話例>
Aさん:私はイタリア文芸が好きで、特にダンヌンツィオについては何時間でも語ることができます。
Bさん:マニアックな知識ですね!
マイナーとニッチの違い
「マイナー」とは、「小規模・少数派」といった意味の言葉です。しかしニッチのように「小規模だが、需要や可能性がある」といったニュアンスは含みません。
マイナーは、ただ単に規模の小ささや知名度の低さを表したい時に使うとよいでしょう。
<会話例>
Cさん:ABC先生の小説は〇×出版社から出版されています。
Dさん:その会社は知らないのですが、マイナーな出版社ですか?
ブルーオーシャンとニッチの違い
「ブルーオーシャン」は、まだあまり開拓されておらず、競争相手が少ない市場を指す言葉です。
「ニッチ」とも意味合いが似ていますが、ニッチは小規模な市場に限定する一方で、ブルーオーシャンは市場の規模を限定しない点が大きく異なります。
<会話例>
Eさん:最近大豆ミートにはまっています。
Fさん:代替肉の分野はブルーオーシャンだから、いろんな商品が開発されているよね。
ニッチの言い換え表現
「ニッチ」という言葉と同じ意味を持つ言葉を、2つ紹介します。
- 隙間
- 傍流
もしニッチという言葉が相手に通じないと感じた場合は、このような表現を取り入れてみてください。
隙間
単純に、ニッチを「隙間」と言い換えるだけで伝わりやすくなるケースがあります。
「隙間」という言葉は、「穴場」「狙い目」といったニュアンスも含みます。「ニッチ」の意味に近く、幅広いシーンでの言い換え表現に適している便利な言葉です。
<例文>
IT業界のニッチ産業に注目しましょう。
↓
IT業界の隙間産業に注目しましょう。
傍流
「傍流(ぼうりゅう)」とは「主流から外れた流派」「本流から分かれ出た流れ」という意味を表す言葉です。「隙間」よりも硬めの表現がしたい時にぴったりです。
<例文>
大手企業が入ってこない、ニッチな部門で展開しましょう。
↓
大手企業が入ってこない、傍流の部門で展開しましょう。
ニッチと反対の意味を持つ言葉
「ニッチ」と反対の意味を持つ言葉(対義語)はさまざまありますが、「ニッチ」の文脈によって対義語となる言葉も変わります。
「ニッチ」の意味 |
対義語となる言葉 |
---|---|
「市場が大規模ではない」 |
|
「一般的ではない」 |
|
対義語を使いたい場合は、まずどういったニュアンスでニッチを使うのかを確認しましょう。
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まとめ
「ニッチ」という言葉は、使う業界やシーンによって意味が異なります。また、ニュアンスが似た言葉も多いため、曖昧な理解のまま使うと意図が通じなかったり、思わぬ誤解を招いてしまったりすることもあるでしょう。
ニッチの語源を知ったうえでほかの意味を知るという順で理解を進めると、誤用もしにくくなるはずです。もし意味や使い方に迷ったら、この記事を改めて読んでみてください。