マインドフルネスとは? 実践時のポイントや注意点を解説
マインドフルネスとは、過去の挫折や未来への不安など、体内のストレスを取り払い、今を生きる自分の心だけに集中している状態のことです。
マインドフルネスを実践するための方法は、呼吸や瞑想などがあります。その効果は、日常生活やビジネスシーンにおいてストレスを低減させたり、心身の健康状態を改善させたりする効果があると言われています。
マインドフルネスを実践する際は、ポイントを押さえながら正しい方法で行いましょう。マインドフルネスの意味や、注意すべき点を併せて解説します。
マインドフルネスとは
マインドフルネスという言葉を聞いたことがあっても、どのようなものなのかよく知らない人もいるのではないでしょうか。まずは概要を解説していきます。
マインドフルネスの意味
マインドフルネスは仏教の瞑想をルーツとし、1970年代にジョン・カバット・ジン博士によって体系化されました。
マインドフルネスとは、過去や未来に対する失敗や不安などのマイナス思考に捉われず、目の前のことに集中することで、自己認識力・自己管理能力が高まった状態を指します。
現在では、ストレス軽減や心の健康促進に加え、ビジネスにおけるストレス管理、集中力アップ、仕事の効率化に役立つものとして、注目されています。
ビジネスでマインドフルネスが注目されている
マインドフルネスは、ストレス管理やメンタルヘルスに効果的と注目される手法です。
近年では、従業員の心の健康状態を整え、仕事への集中力向上やストレス耐性を高めることを目的に、様々な企業で導入されています。
たとえば、以下のケースに当てはまるビジネスパーソンには、マインドフルネスが効果的に働くかもしれません。
- 仕事中、すぐに集中力が切れてしまう
- 何かに挑戦する前に失敗を想像してしまう
- ストレス解消、リラックスしたい
従業員のメンタルヘルスの問題が解消されると、企業としても、生産性や従業員満足度の向上に期待できます。
マインドフルネスの効果
マインドフルネスをすることで、心身ともに良い効果が期待できます。以下では、マインドフルネスがもたらす効果を3つ紹介していきます。
心を整える
マインドフルネスを行うことで、自律神経が整い、心のデトックス効果が期待できます。
その結果として、緊張感や抑うつ状態の緩和、不安やストレスの軽減など、精神衛生に良い影響をもたらす可能性が示唆されています。
ただし、なかには実践することでかえって心の不調につながる人もいるため、注意が必要です。
たとえば、精神疾患がある人の場合は、瞑想を通してネガティブな感情が生じたり、過去のトラウマを思い起こしたりする可能性があります。
マインドフルネスを実践する際は、自己の心身状態に問題がないかを確認しておきましょう。
これらの検証および示唆については厚生労働省の運営する「統合医療」に係る情報発信等推進事業 eJIM内にて紹介されています。
身体を整える
マインドフルネスを行うと、精神状態の安定やストレスの減少など、身体の不調につながる精神的要因を鎮めることができます。
精神的な負担を軽減することで、身体的なストレス症状を落ち着かせ、疾患症状の悪化を抑える可能性もあります。
ただし、健康状態(精神疾患や妊娠など)によっては安全とは言い切れません。マインドフルネスによる治療を考えている人で、健康状態に少しでも不安がある場合は、医師やプロのカウンセラーに相談するようにしましょう。
集中力アップ
マインドフルネスは、心を落ち着かせたり、考えすぎや雑念を取り払ったりする効果が期待できます。そのため、集中力アップにつながり、生産性・効率性の向上につながるでしょう。
集中力が高まると脳の働きも良くなるため、これまでと違う視点で発想が思い浮かんだり、脳疲労を感じにくくなったりするかもしれません。
集中力を高めたいと感じた時は、マインドフルネスを取り入れてみるのがよいでしょう。
マインドフルネスの実践方法
マインドフルネスは、その効果を高められるように正しい手順で行うことが大切です。
ここからは、マインドフルネスを実践するための瞑想や、呼吸法のやり方について詳しく紹介していきます。
マインドフルネス瞑想のやり方
マインドフルネス瞑想は、以下の3つの手順で行いましょう。
1.姿勢を正して座る
まずは、リラックスできる姿勢で床に座ります。体重が左右均等になるようなイメージです。あぐらや正座が好ましいですが、イスに座ったり、座布団を用いたりしても問題ありません。
手のひらを膝の上に伏せて置き、姿勢を正します。半眼で数メートル先をぼんやりと眺めましょう。
2.自らの呼吸に意識を集中させる
次に、自分の呼吸に集中してみましょう。普段は意識していない空気が身体を出入りする感覚や流れを自然に感じ取ることが大切です。
効果的な呼吸法については後述します。
3.余計なことを考えそうになっても、気を取られず呼吸を続ける
大切なことは「呼吸だけに意識を置くこと」です。しかし、実際にやってみると難しいと感じる人もいるかもしれません。
もし、他のことに意識が向きそうになっても、深追いせずに自らの呼吸に意識を戻しましょう。
口と鼻から出入りしている空気の流れをイメージすることで、他の意識や思考が入り込まず、呼吸に集中できるようになるので取り組んでみてください。
雑念が浮かんできたとしても、呼吸を中断せず、今の身体状況に意識を戻していきましょう。そうすることで、感情や呼吸が安定し、マインドフルネスの効果を高めることができます。
呼吸法のやり方
マインドフルネスの呼吸法は、以下の4つの手順です。
- 姿勢を正す
あぐらや正座で座ります。(身体の不調を感じる場合はイスに座りましょう)
顎を出したり、引きすぎたりせず、あくまで自然な姿勢を心がけましょう。 - 意識を落ち着かせる
ゆっくりと目を閉じ、自身の呼吸を感じていきます。 - 息を吸う
鼻から大きく、7〜8秒程度かけて息を吸います。
自らの呼吸に意識を集中しましょう。空気が鼻から肺へ、肺からお腹へと伝わり、最後にお腹が膨らむ様子を感じ取ります。 - 息を吐く
息を吐く際には、鼻から、先ほどよりも長い時間(10〜12秒程度)をかけてゆっくりと吐き切りましょう。
その際も息を吸い込む際と同様に、自らの呼吸や、肺、鼻を通る空気に意識を集中します。
上記の2〜4の手順を、1分〜1分30秒位かけて行いましょう。
マインドフルネスの注意点
マインドフルネスは、心身の健康状態を改善できると言われています。
ただし間違った手順や、無理に続けようとするとかえって体調が悪化してしまうケースもあります。
以下では、マインドフルネスの注意点を解説するので、参考にしてください。
目的意識を持ちながら実践すること
マインドフルネスの実践にあたっては、目的意識を持つことが重要です。
- 頭をリフレッシュさせたい
- 気持ちをリラックスさせ、心を落ち着けたい
- 心配や不安から解放されたい
上記のような瞑想の目的や理想の姿を明確にすることで、瞑想の方向性が定まり、マインドフルネスの効果をより高めることができるでしょう。
明確な目的意識を持つことで、瞑想を面倒と思う気持ちがなくなり、継続することにも繫がります。
日常生活へ上手に取り入れる
マインドフルネス瞑想はいくつかの方法があり、自分のライフスタイルに合った方法で行うことが大切です。その中でも、以下で紹介するのは、日常生活で手軽に実践できる方法です。
食事における瞑想
普段は意識しないような、目の前の食べ物の匂い、色、食感、味に意識を集中させます。こうすることで、普段の何気ない「食事」が瞑想に変わります。
歩く中での瞑想
日常の歩く動作においても、まずは、ルートや所要時間のことを忘れましょう。地面を蹴る足の感覚、体重移動、筋肉の動きに意識を集中させます。こうすることで、毎日の「歩く」動作が瞑想に変わります。
注意点として、交通量の多い道路や仕事の移動中などに行うのは危険なので控えましょう。公園や散歩道といった安全な場所を選んでください。
このように、普段は意識しない感覚に意識を集中してみることで、日常の何気ない動作のなかでもマインドフルネスを実践することが可能です。
マインドフルネスに関するよくある質問
マインドフルネスを実践する際に、しっかりと効果を出したいと思う人は多いのではないでしょうか。マインドフルネスの実践にあたって、よくある質問事項を以下にまとめました。
効果を高めるヒントとして、確認しておきましょう。
マインドフルネスを寝ながら実践する方法は?
前述の方法に加え、マインドフルネスは「寝ながら」でも実践可能です。その代表的な方法として「呼吸瞑想」と「ボディスキャン瞑想」が挙げられます。
呼吸瞑想
呼吸瞑想は自らの呼吸に意識を集中する、最もポピュラーな瞑想法です。呼吸に集中するだけですので、寝ながらでも簡単に実践でき、集中力アップやストレス軽減等の効果が期待できます。
ボディスキャン瞑想
身体の五感に意識を集中させる瞑想法です。
頭からつま先まで、まるでスキャンするように全身に意識を集中させることから、ボディスキャン瞑想と呼ばれます。
身体のあらゆる部位に意識を集中し、自己認識を高めることで、リラックス効果や睡眠の質が向上するといった効果が期待できます。
これらの瞑想法は、非常にシンプルで日常生活にも取り入れやすいでしょう。さらに効果を高めるためには、毎日コツコツ続けていくことが大切です。
マインドフルネスと不安障害の関係は?
マインドフルネスの実践は、不安障害の改善にも効果があるとして注目されています。
アメリカのジョージタウン大学医療センターの研究において、マインドフルネスによるストレス軽減プログラムは、抗うつ薬や不安障害の治療薬と同等の効果があると発表しています。
マインドフルネスを通じて自己認識力を高めることで、過去の失敗や未来への不安から解放され、今の自分自身を受け入れることが出来るようになります。マインドフルネスは、不安障害をはじめとするメンタルヘルスの問題改善にも、効果が期待できるかもしれません。
参考:https://mbsr.science/2023/11/12/mindfulness_anxiety_evidence/
マインドフルネスが性格に与える影響は?
マインドフルネスが性格に与える影響については、さまざまな研究がなされています。
効果については諸説ありますが、マインドフルネスを継続することで、落ち込みやすさやネガティブな衝動が徐々に解消されていく可能性はあるでしょう。
怒りや悲しみの感情の難点は、対人関係の悪化、心身の不調、身体的不健康をもたらすことです。マインドフルネスの実践は、不安から解放され、心身をリラックスさせることが見込めます。
そのため、マインドフルネスを通じて、激情的な性格を改善させる効果も期待できるかもしれません。
マインドフルネスのまとめ
マインドフルネスは、自己認識力が高まった状態のことです。マインドフルネスの実践により、不安から解放され、ストレス低減やリラックス効果を享受することができます。
メンタルヘルスが整うことで、身体の健康状態も高めることができるでしょう。
ビジネスにおいても、マインドフルネスの実施は、従業員の集中力・生産性向上や、人間関係の改善等の効果に期待ができます。
マインドフルネスは、食事や歩く動作など、何気ない日常生活のなかでも実践可能です。まずは簡単な瞑想のようなものからマインドフルネスを取り入れてみてはいかがでしょうか。