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採択率低下に負けない!受かる小規模事業者持続化補助金

販路開拓などのため使えるお金が最高50万円まで交付される、小規模事業者持続化補助金。開業したての個人事業主でももらえる使い勝手の良い補助金ですが、何といっても特筆すべきは採択率の高さ。

2019年度の採択率は、9割にも達しました。

年度 申請数 採択数 採択率
2018年度 26,910件 18,532件 68.90%
2019年度 33,282件 29,945件 90.00%
2020年度(一般型) 40,840 26,826 65.69%
2020年度(コロナ特別対応型) 164,198 69,919 42.58%

参照:中小企業庁「過去の情報」(中小企業庁発表データより著者作成)

しかし、コロナ禍に見舞われた2020年になって、大きく様相が変わってしまいました。応募者増などで、採択率が大幅に下がってしまったのです。

けれど、諦めてしまうのはまだ早い。採択率が下がったとはいえ、2020年度だけで10万件近い案件が採択されています。しっかり準備してきちんと申請書類を作成すれば、チャンスは十分にあります。

以下、2021年度の公募に向けて、小規模事業者持続化補助金の概要や、採択される申請書類の書き方などをご紹介します。


この記事の著者
  中小企業診断士 社会保険労務士 

小規模事業者持続化補助金の概要

1.2021年の小規模事業者持続化補助金は?

2021年は従来からの「一般型」とコロナ対策のための「低感染リスク型ビジネス枠」の2本立てで設定されました。以下、詳細を見ていきましょう。

(1)補助金額

一般型の補助金上限額は50万円、補助率は2/3です。例えば事業経費総額が60万円であれば、2/3の40万円が補助金として交付されます。
一方「対人接触機会の減少と事業継続を両立させるポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等に関する取り組み」を対象とした「低感染リスク型ビジネス枠」では、上限額が100万円、補助率も3/4と、上限、補助率ともアップします。さらに感染防止対策費として、補助金額の1/4を上乗せして申請することができます。例えば、100万円の補助金を申請すると、別途25万円を感染防止対策費として申請できます。
オンライン化やデリバリー事業など非対面で、対人接触を減らす要素があれば、低感染リスク型ビジネス枠での申請をおすすめします。

<一般型>

上限額 補助率 取り組み対象
50万円 2/3 地道な販路開拓の事業

<低感染リスク型ビジネス枠>

上限額 補助率 感染防止対策費 取り組み対象
100万円 3/4 補助金総額の1/4※ 感染拡大防止のための対人接触機会の減少と事業継続を両立させるポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等に関する取り組み

※2021年の緊急事態宣言の再発令により、2021年1月から3月までのいずれかの月の月間事業収入が2020年または2019年同月と比較して30%以上減少した場合は、補助金総額の1/2(最大50万円)に上限を引き上げ。

なお、補助金が交付されるのは補助事業が完了してからになります。したがって、後から補填されるとはいえ、当面は全額自己資金で対応しないといけないので、必要資金の確保と資金繰りに留意しましょう。

(2)対象者

従業員数20名以下の小規模な事業者が対象で、個人事業主でも構いません。実績を問われないので、創業時に申請することもできます。ただし、申請書類に開業届(個人事業主)が必要になるので、創業予定での申請はできません。

<対象事業者>

業種 常時使用する従業員数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 5名以下
宿泊業・娯楽業 20名以下
製造業その他 20名以下

なお、従業員数は常勤の社員を指すので、役員や勤務時間の短いパートやアルバイトの人数は含みません。

(3)対象となる費用

対象となるのは低感染リスク型ビジネス枠、一般型とも以下の費目です。ただし展示会等出展費は、低感染リスク型ビジネス枠ではオンラインで開催されるもののみです。

①機械装置等費、②広報費、③展示会等出展費(低感染リスク型ビジネス枠はオンラインの展示会のみ)、④開発費、⑤資料購入費、⑥雑役務費、⑦借料、⑧専門家謝金、⑨専門家旅費、⑩設備処分費、⑪委託費、⑫外注費、⑬旅費(一般型のみ)、⑭感染防止対策費(低感染リスク型ビジネス枠のみ)

PCやタブレット、プリンターなどの汎用的に使用できるものや、トナーなどの消耗品は対象になりません。また販売や有償レンタルを目的とした商品の仕入れ費用も対象外です。

その他詳細は、最新の公募要領でご確認ください。

<一般型>

https://r1.jizokukahojokin.info/
https://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/

<低感染リスク型ビジネス枠>

https://www.low-risk-jizokuka.jp/

2.申請書類の書き方

補助金は採択にあたっての審査があります。提出した申請書類に基づき書類審査が行われ、総合評価の高いものから採択されます。以前であれば「WEBサイトを作って新規顧客を獲得する」といった内容でも通っていましたが、現在は単に「WEBサイトを作る」というだけでは難しくなっているようです。WEBサイトの構築で自社の強みをどのように活かし、販路開拓と売上向上につなげていくか。一貫した売上向上までのストーリーを審査員に納得させられるような申請書類の作成が求められています。以下、申請書類の書き方を見ていきましょう。

小規模事業者持続化補助金の申請書類書き方

(1)申請書類書式

申請書類書式は、一般型は日本商工会議所または全国商工会連合会ホームページからダウンロードできます。事業所の所在地で商工会議所か商工会かの管轄が決まりますので、管轄に応じて選択しましょう。

<一般型>

商工会議所書式
https://r1.jizokukahojokin.info/

商工会書式
https://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/

低感染リスク型ビジネス枠は、下記より書式をダウンロードできます。こちらは商工会議所と商工会の区分はありません。
https://www.low-risk-jizokuka.jp/

(2)申請書類の書き方

審査員は短期間に大量の申請書類をチェックするため、書類の書き方が非常に重要になります。
書かれている内容がひと目でわかるように写真や図表を入れたり、強調したいところは太字やアンダーラインでメリハリをつけるなど、読みやすさを心がけましょう。以下、書き方のポイントを記載していきます。

①書く分量はどれぐらい?

作成の中心は、経営計画書および補助事業計画書になります。書式がありダウンロードするとA4サイズ1~2枚程度ですが、一般型では「最大8枚まで」、低感染リスク型ビジネス枠では「最大5枚まで」と提示されていますので、最大枚数まできっちり書き込むようにしましょう。
採択、不採択両方の申請書類を見る機会がありましたが、採択された方は、ぎっちり書き込まれた感がありました。一方、不採択の案件は見た目にもスカスカでした。もちろん申請書類の中身が大切で、決して文章量が重視されるわけではありませんが、審査員に理解してもらうためにはある程度書き込むことも必要です。

②項目別書き方のポイント

経営計画書および補助事業計画書の記載項目は以下の通りです。一般型と低感染リスク型ビジネス枠で書式は異なりますが、求められる内容はほぼ共通しています。それぞれの書き方のポイントを見ていきましょう。

(ⅰ)経営計画書

自社のことをきちんと分析できているかが重要です。できるだけ具体的かつ客観的な記述を心がけましょう。

<企業概要>
自社の事業内容、商品、サービス、業績等を記入します。審査員はあなたの会社のことをまったく知らないため、記載されていることだけで判断します。
複雑なビジネスモデルや商品、サービスはできるだけシンプルに、わかりやすく説明しましょう。また店舗、商品などの写真を載せるようにしましょう。
<顧客ニーズと市場の動向>
顧客はどのような人たちか、できるだけ具体的に書くようにしましょう。その人たちはどんなニーズを持っているか、お客様の声なども掲載できると理想的です。また、市場の動向といっても小規模事業者なので、「日本の●●業界の市場動向」というよりは、自社の商圏に関わる範囲で書くようにしましょう。
<自社や自社の提供する商品・サービスの強み>
自社の強みを分析できているかどうかが問われます。ヒト、モノ、実績、ノウハウなどの観点から強みを考えて記載します。強みは何もすごいものでなくても構いません。お客様がいる以上、あなたの商品、サービスには何らかの強みがあるはずです。お客様から褒められるところ、自信のあるところなど強みをしっかり宣言しましょう。
<経営方針・目標と今後のプラン>
創業の想いや経営方針と売上、利益などの目標(できれば短期目標と長期目標)を記載しましょう。自社の方向性でもあるので、補助事業計画書の内容と一貫性のあるものにすることが必要です。
<新型コロナウイルス感染症の影響・すでに取り組んでいる対策>(低感染リスク型ビジネス枠のみ)
できるだけ数値を盛り込み具体的な状況、対策等を記載するようにしましょう。
(ⅱ)補助事業計画書

補助事業計画書に、補助金で実施する事業について記載します。補助金を使っていかに販路拡大や売上・事業の拡大を実現するか、わかりやすいストーリーおよび実現可能性が重要になります。経営計画書との整合性も考慮しながら記載するようにしましょう。

<補助事業で行う事業名>
単に「WEBサイトの構築」などではなく内容が具体的にイメージしやすい事業名を記載しましょう。ただし30字以内という字数制限があるので注意しましょう。
<販路開拓等の取り組み内容>
補助金を使ってどのようなことをやるのか、全体像および具体的な実施内容を記載しましょう。
取り組みによって、
  • 自社の課題がどのように解決されるのか
  • 目標をどのように達成するか
  • 自社の強みがどう発揮されるか
を審査員に理解してもらわなければいけません。「この取り組みなら売上が増える」とイメージできることがポイントです。
<補助事業の効果>
補助事業を行うことで、売上・利益・集客数・客単価などにどのような影響があるのか。見込みでよいので具体的な数値で記載しましょう。

3.最後に

以上、小規模事業者持続化補助金の概要や申請書類の書き方等をご紹介しました。2021年度の公募はすでに始まっています。一般型は6月、10月、2月の年3回締切、低感染リスク型ビジネス枠は、5月、7月、9月、11月、1月、3月の年6回締切で募集される予定です。
補助金は、返済を必要としない資金調達です。手間を惜しまずしっかり準備して挑めば採択される可能性も高まります。また、申請して不採択だったとしても、次の募集回で再申請することもできます。ぜひ諦めずにチャレンジしてみてください。
なお本サイトに記載の内容は2021年5月時点のものです。申請される際は必ず最新の情報をご確認ください。

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著者プロフィール

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佐藤 智美

中小企業診断士 社会保険労務士

PROFILE
ライター,コンサルタント
大阪府豊中市出身。神戸大学大学国際文化学部卒
2019年中小企業診断士および社会保険労務士登録
保険会社で勤務しながらコンサルタントとしても活動中。得意分野はマーケティング、助成金申請支援。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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