初回申請向け!ものづくり補助金の申請手順を簡単解説
「新しい設備を導入し、事業をどんどん発展させたい!」と思っているものの、設備投資に多額の費用がかかるので、後ろ向きになっている事業主の方は多いのではないでしょうか。
そんななか、ご紹介したいのが「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下:ものづくり補助金)」です。
ものづくり補助金とは、中小企業が経営革新のための設備投資などに使える、1,000万円または3,000万円(補助率1/2~2/3)の補助金となります。
例えば、1,500万円の設備を新たに導入する際にものづくり補助金を活用すると、補助率2/3の場合では1,000万円が補助されます。非常に嬉しい内容ですね。
しかし、ものづくり補助金を初めて申請する際に具体的な申請方法がわからず、申請を諦めてしまう事業者も少なからずいらっしゃると思います。
そのため、本コラムでは、ものづくり補助金を活用したいと考えたときにどういった流れで作成すれば良いか、ものづくり補助金一般型を対象に解説していきます。
※注意事項:本記事の内容は、2021年10月27日時点のものづくり補助金公募要領に基づき作成しております。
1.公募要領の確認
はじめに実施していただきたいことは、ものづくり補助金の公募要領の確認です。
公募要領とは、ものづくり補助金の公募に際してのルール・規則を定めたもので、ものづくり補助金総合サイトに記載されています。以前に申請経験があった場合でも締切ごとに中身が変わっていることが多々ありますので要注意です。しっかりと読み込みましょう。
特に「申請スケジュール」「事業対象者」「申請要件」「補助対象経費」「審査・加点項目」はしっかりと把握しておきましょう。ここを把握せずに事業計画書の作成を先走ってしまったものの、対象設備等が補助金対象に当てはまらずに苦労して書いた事業計画書が水の泡に・・・なんてことになると本当に悲しいですよね。
また、ものづくり補助金は申請が採択された後も実績報告など多数の手続きが発生します。採択後に「こんなに多くの手続きがあるなんて・・・」と慌てないように心づもりをしておきましょう。
2.電子申請サイトへの登録
ものづくり補助金の申請は、電子申請のみの受付になっています。
この電子申請を行うサイトへログインするためには「GビズIDプライム」のアカウントが必要となります。そのため、取得されていない方は急いで申請を行いましょう。
アカウントの申請方法は“印鑑証明書(個人事業主は印鑑登録証明書)と登録印鑑で押印した申請書を運用センターに郵送し、審査(原則2週間以内)ののち発行されます。この手続きに約2~3週間ほど時間がかかりますので、申請直前にならないように余裕をもって申請をしておきましょう。
せっかくものづくり補助金の申請書を作成したとしても、アカウント登録ができていなくて申請ができない!なんて悲しすぎますよね。
注意点として、アカウントの種類には「プライム」「メンバー」「エントリー」の3種類がありますが、ものづくり補助金の申請は「プライム」のみ可能です。間違えないようしましょう。
3.電子申請内容の確認
ID登録が完了すれば、次はものづくり補助金の電子申請サイトにログインし、入力する項目を確認しましょう。
申請サイトへログインし、申請画面へ進むと以下のような画面がでてきます。この項目ごとに入力をしていき、すべてが作成済になれば申請をすることができます。
“参照:ものづくり補助金の電子申請サイトの申請画面より抜粋”
入力する内容について、以下の表に簡単にまとめました。
【入力する項目の概要】
項目 |
内容 |
1.応募者の概要1 |
事業者の概要を入力いただくことになります。 |
2.応募者の概要2 |
|
3.事業内容 |
本項目では、事業計画名(30字程度)や事業計画の概要を記載しなければなりませんので、事業計画書を作らないと入力ができない個所も多くなっています。 しかし、締め切り直前で悩まないように事前確認のつもりで確認しておきましょう。 |
4.実績説明 |
過去に補助金を受領している場合入力が必要です。 |
5.経費明細表、資金調達内訳 |
補助金の申請額や、本取り組み事業にかかる費用の資金調達方法を記載します。 そのため、事前に業者から導入する設備等の見積書を入手すること、銀行から融資を受ける場合は事前に相談を行っておきましょう。 |
6.その他加点項目 |
ものづくり補助金の採択に加点となる項目を登録します。 公募要領を確認し、申請する(該当する)加点項目をしっかりと入力しましょう。 |
7.労働者名簿 |
労働者の基本情報を入力する必要があります。 項目にしたがって記載していきましょう。 |
実際に確認してみると、不明な点などが生じる可能性があります。
そういった場合の問い合わせ先として、ものづくり補助金総合サイトに「事務局サポートセンター」の連絡先が掲載されています。不明点は都度問い合わせを行いましょう。
4.必要な書類の確認と作成
申請を行う準備ができたら、次はどういった書類が必要になるのか確認し、作成していきましょう。
一般型の申請で必要な書類は以下の通りです。必須書類が3点と、加点をするために必要な書類が4点あります。
書式はものづくり補助金総合サイトに掲載されていますので、ダウンロードして使用しましょう。
書類名【必須】 |
概要 |
①事業計画書 |
ものづくり補助金の採択に一番影響する事業計画書 |
②賃金引上げ計画の表明書 |
補助要件である賃金引上げを、従業員へ表明したことを示す書類 |
③決算書 |
過去2年分の決算書(確定申告書)が必要です ※2年未満の場合は直近1年分のみ、1年未満や設立まもなく 決算書の添付ができない場合は事業計画書及び収支予算書 |
書類名【加点】 |
概要 |
④経営革新計画承認書等 |
経営革新計画の認定書(成長性加点) |
⑤開業届or履歴事項全部 証明書 |
個人事業主の場合は開業届、法人の場合は履歴事項全部証明書が必要になります。(政策加点) |
⑥(連携)事業継続力強化計画 認定書(申請中であれば写) |
事業継続力強化計画の認定書(災害加点) |
⑦特定適用事業所該当通知書 |
特定適用事業所該当通知書(賃上げ加点等) |
5.事業計画書の作成について
ものづくり補助金で一番重要な部分が事業計画書の作成です。事業計画書作成にかかる時間は、統計で約65~70時間ほどになる結果が出ています。さすがに一夜漬けでは作れないので、計画的に作成を進めましょう。
具体的な事業計画書の作成ですが、審査項目である「技術面」「事業化面」「政策面」の3つの面を理解し、その審査項目を満たすように事業計画書を作成しましょう。
事業計画書の様式は、「その1:補助事業の具体的取組内容」「その2:将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果」「その3:会社全体の事業計画」の3つのパートに分けて作成する必要があり、A4サイズで合計10ページ以内にて作らなければなりません。
審査項目すべてを盛り込み、かつ図や表を盛り込んで丁寧に作成していくと、10ページにまとめることが意外と大変です。
革新的な内容で記載することを意識しすぎて、専門用語が盛りだくさんの難解な内容を記載される方もいらっしゃいますが、ものづくり補助金の審査員は必ずしもその業界に精通している方とは限りません。そのためわかりやすく表現することを心がけましょう。
6.申請を完了させる
必要な書類が整い、申請の準備ができたらいよいよ申請しましょう。
添付漏れや入力間違いがないよう見直し、締切日よりもできるだけ早めに完了させましょう。締切日の前日や当日は電子申請サイトへのアクセスが急増するため、サイトに接続ができなくなる恐れがあるからです。
また、添付書類や入力する項目も多いので、間違いや漏れがないように何度も見直しすることを心がけましょう。
いかがでしょうか。以上がものづくり補助金の申請の流れになります。
実際に取り組んでみると、事業計画書の作成などで悩むことも多いと思います。
しかし、事業計画書を作成することは自社の経営や事業展開を見つめ直す良い機会になりますし、ものづくり補助金の対象となる設備投資などが本当に正しいのかどうかを判断することにもつながるはずです。
多くの時間と労力が必要なものづくり補助金の申請ですが、無事採択されて今後の事業展開にぜひお役立てください。