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【2022年度】見直された両立支援等助成金

【2022年度】見直された両立支援等助成金

両立支援等助成金は、職業生活と家庭生活が両立できる「職場環境づくり」を行う事業主を支援するために設けられている助成金です。

育児・介護休業法の改正によって、「出生時育児休業」という主に男性労働者を対象とした、子の出生後8週間以内に4週間までの間で労働者が希望する期間取得できる制度が、10月1日よりスタートする予定となっています。この法改正も見据えた助成金の改正が行われています。


この記事の著者
本山社会保険労務士事務所  所長 

令和4年4月1日の施行にあたり、雇用環境の整備、個別の周知、意向確認の措置の義務化があり、助成金の申請時の要件にもなっているものがあります。

例えば雇用環境の整備義務として、次のいずれかの措置を講じる必要があります。

① 育児休業・出生時育児休業に関する研修の実施
② 育児休業・出生時育児休業に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の育児休業・出生時育児休業取得事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ育児休業・出生時育児休業制度と育児休業取得促進に関する方針の周知 

では、今年度の両立支援等助成金4つのコースの内の3つの要件等概要を見ていきましょう。

なお、3つの内すべてを記載しているわけではありませんし、申請を検討する場合には必ず要綱等を確認の上、慎重に行っていただきますようお願いします。



 

(1)出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)(中小事業主のみ対象)

この助成金は新しく設けられたものです。男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境整備や業務体制整備を行い、育児休業を取得した男性労働者が生じた事業主に支給されます。

≪支給額≫ 

支給額

① 第1種

20万円

代替要員加算

20万円

(代替要員を3人以上確保した場合には45万円)

② 第2種

1事業年度以内に30%以上上昇した場合60万円【75万円】

2事業年度以内に30%以上上昇した場合40万円【65万円】

3事業年度以内に30%以上上昇した場合20万円【35万円】

※【】内は生産性要件を満たした場合の支給額、以下同じ

≪主な要件≫

① 第1種 (男性労働者の出生時育児休業取得)

  • 育児・介護休業法に定める雇用環境整備の措置を複数行っていること
  • 男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得すること(所定労働日が4日以上含まれていることが必要)
  • 育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規定等を策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていること  

〈代替要員加算〉

育児休業取得男性労働者の業務を代替する労働者を新規雇用した場合(派遣を含む)、加算して支給される。


② 第2種 (男性労働者の育児休業取得率上昇)

  • 第1種の助成金を受給していること
    育児・介護休業法に定める雇用環境整備の措置を複数行っていること
  • 育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規定等を策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていること
  • 第1種の申請をしてから3事業年度以内に、男性労働者の育児休業取得率が30%以上上昇していること
  • 育児休業を取得した男性労働者が、第1種申請の対象となる労働者の他に2人以上いること

(2)介護離職防止支援コース(中小事業主のみ対象)

この助成金は、介護支援プラン(※)(以下、「プラン」という)を作成し、プランに沿って労働者の円滑な介護休業の取得・職場復帰に取り組み、介護休業を取得した労働者が生じた、または介護のための柔軟な就労形態の制度(介護両立支援制度)の利用者が生じた場合に支給されます。

(※)介護支援プランを介護休業終了後または介護両立支援制度利用終了後に作成した場合には支給対象となりませんので、ご注意ください。

≪支給額≫

支給額

①介護休業

◎休業取得時

28.5万円【36万円】

◎職場復帰時

28.5万円【36万円】

②介護両立支援制度

28.5万円【36万円】

③新型コロナウイルス感染症対応特例

5日以上10日未満 20万円

10日以上     35万円

※①~③いずれも1事業主1年度5人まで支給

≪主な要件≫

① 介護休業

◎ 休業取得時

  • 介護休業の取得、職場復帰について、プランにより支援する措置を実施する旨をあらかじめ労働者に周知すること
  • 介護に直面した労働者との面談を実施し、面談結果を記録した上で介護の状況や今後の働き方について希望等を確認の上、プランを作成すること
  • プランに基づき業務の引き継ぎを実施し、対象労働者が合計5日(所定労働日)以上の介護休業を取得すること


◎ 職場復帰時

  • 休業取得時と同一の対象介護休業取得者であって、休業取得時の助成の対象者であること
  • 「休業取得時」の受給対象である労働者に対し、介護休業終了後に上司または人事労務担当者が面談を実施し、面談結果を記録すること
  • 面談結果を踏まえて、対象労働者を原則として原職等に復帰させ、原職等復帰後も申請日までの間、雇用保険被保険者として3か月以上継続雇用していること


② 介護両立支援制度(介護のための柔軟な就労形態の制度)

  • 介護両立支援制度の利用について、プランにより支援する措置を実施する旨をあらかじめ労働者に周知すること
  • 介護に直面した労働者との面談を実施し、面談結果を記録した上で介護の状況や今後の働き方についての希望等を確認の上、プランを作成すること
  • プランに基づき業務体制の検討を行い、以下のいずれか1つ以上の介護両立支援制度を対象労働者が合計20日以上(※下表カ、クを除く)利用し、支給申請に係る期間の制度利用終了後から申請日までの間、雇用保険被保険者として継続雇用していること

 ア 所定外労働の制限制度

 イ 時差出勤制度

 ウ 深夜業の制限制度

 エ 短時間勤務制度

 オ 介護のための在宅勤務制度

 カ 法を上回る介護休業制度

 キ 介護のためのフレックスタイム制度

 ク 介護サービス費用補助制度

※上記カ及びクは、利用期間が利用開始から6か月を経過する日の間に一定の要件を満たすことが必要


③ 新型コロナウイルス感染症対応特例

  • 介護のための有給休暇(新型コロナウイルス感染症対応)について、所定労働日を前提として20日以上取得できる制度及びその他就業と介護の両立に資する制度を設け、あらかじめ労働者に周知すること
  • 対象労働者が介護のための有給休暇(新型コロナウイルス感染症対応)を合計5日以上取得すること
  • 対象労働者を休暇取得日から申請日までの間、雇用保険被保険者として継続雇用していること

(3)育児休業等支援コース 業務代替支援(中小事業主のみ対象)

育児休業取得者の業務を代替する労働者を確保し、かつ育児休業取得者を原職等に復帰させた事業主に支給されます。

なお、紹介するものの他に、「育児休業取得時・職場復帰時」と「職場復帰支援」もあります。

≪支給額≫

支給額

① 新規雇用

47.5万円【60万円】

② 手当支給等

10万円【12万円】

③ 有期雇用労働者加算

  • 育休取得者が有期雇用労働者の場合に加算

9.5万円【12万円】

※ 1事業主あたり①、②合わせて1年度10人まで支給(5年間)

≪主な要件≫

  • 育児休業取得者を育児休業終了後原職等に復帰させる旨を、就業規則等に規定すること
  • 対象労働者が3か月以上の育児休業(産前産後の終了後引き続き育児休業をする場合は、産前産後休業を含む)を取得し、事業主が休業期間中の代替要員を新たに確保する(①)または代替要員を確保せずに業務を見直し、周囲の社員により対象労働者の業務をカバーさせる(②)こと 
  • 対象労働者を上記規定に基づき原職等に復帰させ、原職等復帰後も申請日までの間、雇用保険被保険者として6か月以上継続雇用していること

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著者プロフィール

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本山 恭子

本山社会保険労務士事務所 所長

特定社会保険労務士、行政書士、公認心理師、産業カウンセラー、消費生活アドバイザー
ストレスが多く、事業運営もグローバル化の中厳しく、企業、労働者共に大変な今、少しでも働きやすい環境を作るお手伝いをすることを通して、企業、労働者の皆様のお手伝いを精一杯してまいります。法律だけの四角四面でない、気持ちを汲んだサポートを心掛けています。

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