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働くパパママ育休取得応援奨励金

働くパパママ育休取得応援奨励金

少子化が止まりません。

厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、2021年に生まれた子供の数は81万1604人となり、6年連続で過去最少を更新しました。

こうした中、少子化対策の一環として、子育てしやすい環境整備に向けて改正された育児・介護休業法が今年4月から施行されています。10月には産後パパ育休(出生時育児休業)制度が始まり、また育児休業の分割取得が可能となります。

今回は、育児休業に関連して東京都が実施している「働くパパママ育休取得応援奨励金」を説明します。


育児休業とは

仕事と育児の両立支援のため、育児・介護休業法には育児休業制度が設けられています。

育児休業は、労働者が子を養育するための休業です。もちろん父親、母親のいずれでも育児休業をすることができます。

企業は、要件を満たした労働者からの育児休業の申し出を拒むことはできません。育児休業をすることができるのは、原則として、子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間となります。

ただし、子が保育所に入所できない等、1歳を超えても休業が特に必要と認められる場合には、子が1歳6か月に達するまで、子が1歳6か月に達する時点でも保育所に入所できない等、1歳6か月を超えても休業が特に必要と認められる場合には、子が2歳に達する日まで休業することができます。


「働くパパママ育休取得応援奨励金」の3つのコース

厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」によると、男女別の育児休業取得率は次の通りです。

【育児休業取得率の推移】

1999年

2004年

2008年

2013年

2018年

2020年

女性

56.4

70.6

90.6

83.0

82.2

81.6

男性

0.42

0.56

1.23

2.03

6.16

12.65

(参考:厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」)

女性の取得率は下がりつつあり、男性の取得率は伸びているとはいえまだ1割程度。

こうした状況の中、東京都では男性の育児休業取得や育児中の女性の就業継続を応援する都内企業を支援するため、「働くパパママ育休取得応援奨励金」を設けています。

【働くパパママ育休取得応援奨励金(3つのコース)】

コース名

働くパパコース

働くママコース

パパと協力!ママコース

対象企業

男性従業員に15日以上の育児休業を取得させ、育児休業を取得しやすい職場環境を整備した都内企業

女性従業員に1年以上の育児休業を取得させ、就業継続しやすい職場環境を整備した都内中小企業(常時雇用する従業員が
300
名以下)

女性従業員に子の父と協力して子育てすることを前提とした育児休業を取得させ、仕事と育児の両立に向けた取組計画を作成した都内中小企業(常時雇用する従業員が300名以下)

支給額

最大300万円

125万円

100万円

受付期間

令和4年4月1日()~令和5年3月31()

令和4年7月15()
~令和5年8月31()


働くパパコース

働くパパコースの目的は、男性の育児参加を促進し、育児休業を取得しやすい職場環境の改善を図ることです。

【奨励金の対象となる取組】

養育する子が2歳になるまでの間に、男性従業員が15日以上の育児休業を取得した後、育児休業に引き続き原職に復帰して3か月が経過するとともに職場環境を整備している場合

環境整備要件は、次のいずれかを行うことです。

  • ①育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
  • ②育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
  • ③従業員の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
  • ④従業員への育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

奨励金の支給額は育児休業の取得日数に応じて定められており、最大で300万円となります。

育児休業

取得日数

15日以上30日未満

30日以上45日未満

45日以上60日未満

60日以上75日未満

75日以上90日未満

90日以上105日未満

支給額

25万円

50万円

75万円

100万円

125万円

150万円

育児休業

取得日数

105日以上120日未満

120日以上135日未満

135日以上150日未満

150日以上165日未満

165日以上180日未満

180日以上

支給額

175万円

200万円

225万円

250万円

275万円

300万円

申請の流れは、次の通りです。

(東京しごと財団「令和4年度版 働くパパママ育休取得応援奨励金募集要項」より)

働くママコース

働くママコースの目的は、女性の育児休業取得を促進し、就業継続を可能とする職場環境の整備を図ることです。

【奨励金の対象となる取組】

女性従業員の養育する子が1歳に達するまでに育児休業を開始し、1年以上取得した後、育児休業に引き続き原職に復帰して3か月が経過するとともに職場環境を整備した場合

環境整備要件は次の通りです。

  • ① 女性従業員が産後休業から原職に復帰するまでの間に復帰支援として面談を1回以上行い、かつ復帰に向けた社内情報の提供を定期的に行ったこと
  • ② 育児・介護休業法に定める制度を上回る取組について、令和4年4月1日以降、次のいずれかを就業規則に整備したこと
    ア.育児休業期間の延長(理由を問わない1年を超える育児休業)
    イ.育児休業延長期間の延長(保育園に入れない等理由がある場合の2年を超える延長)
    ウ.看護休暇の取得日数の上乗せ(1人の場合6日以上、かつ2人以上の場合11日以上)
    エ.中抜けありの時間単位の看護休暇導入(中抜けできることを明記していること)
    オ.育児短時間勤務制度の利用年数延長(3歳を超える年齢の子も対象とする)

「1年以上の育児休業」に関しては、次のように定められています。

  • ① 法定の産後休業から引き続いて育児休業を取得した場合は、産後休業期間も育児休業 
    期間に含む
  • ② 1年以上とは、364日以上のことを指す
  • ③ 育児休業を分割取得した場合は、令和4年10月1日以降かつ、子が1歳に達するまで
    に取得を開始した育児休業のうち1回分に限り、初回の育児休業期間との合算を可能とする
  • ④ 合算可能な育児休業期間は、子が2歳の誕生日を迎える前日までの期間とする

支給額は125万円で、申請の流れは次の通りです。

(東京しごと財団「令和4年度版 働くパパママ育休取得応援奨励金募集要項」より)

パパと協力!ママコース

パパと協力!ママコースの目的は、女性の活躍推進と男性の育児休業取得促進を後押しすることです。

【奨励金の対象となる取組】

女性従業員の養育する子が1歳に達するまでに育児休業を開始し、子の父と協力しながら6か月以上1年未満の育児休業を取得した後、その育児休業から引き続き原職に復帰して3か月が経過するとともに育児休業取得促進等に関する取組計画を作成した場合

「子の父と協力」に関しては、次のように定められています。

  • ① 子の父が令和4年4月1日以降に合計30日以上の育児休業を取得していること(予定でも可)
  • ② 子の父の育児休業とは、子の出生日以降に取得したものを指す
  • ③ 子の父の育児休業は、子が2歳に達するまでに終了していること

また、「6か月以上1年未満の育児休業」に関しては、次の通りです。

  • ① 180日以上364日未満のことを指す
  • ② 育児休業は子が1歳に達するまでに開始していること
  • ③ 令和4年4月1日から令和5年3月31日の間に育児休業終了日を含むこと
  • ④ 法定の産後休業から引き続いて育児休業を取得した場合は、産後休業期間も育児休業期間に含む
  • ⑤ 育児休業を分割取得した場合は、令和4年10月1日以降かつ、子が1歳に達するまでに取得を開始した育児休業のうち1回分に限り、初回の育児休業期間との合算を可能とする

支給額は100万円で、申請の流れは次の通りです。

(東京しごと財団「令和4年度版 働くパパママ育休取得応援奨励金募集要項」より)

育児・介護休業法の段階的施行

労働者の離職防止や、男性労働者の育児休業取得促進を目的として、今年4月から改正育児・介護休業法が施行されています。

令和4年4月1日施行

① 育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産等を申し出た労働者への制度の個別周知・取得意向確認の措置の義務付け

② 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

令和4年 10 月1日施行

③ 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設

 育児休業の分割取得

令和5年4月1日施行

⑤ 育児休業取得状況の公表(従業員数 1,000 人超の企業が対象)

10月からは産後パパ育休と育児休業の分割取得が開始されます。法律に沿った制度運営を行うことはもちろんですが、育児休業を取得しやすい環境整備づくりも重要です。

制度内容を十分に周知するとともに、周りに気兼ねなく制度を利用できる環境整備を進めてください。

※本内容は、令和4年7月20日現在、(公財)東京しごと財団より公表されている情報に基づいております。申請にあたっての詳細は、(公財)東京しごと財団に確認をお願いいたします。

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著者プロフィール

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角村 俊一

社労士事務所ライフアンドワークス 代表

明治大学法学部卒業。地方公務員(杉並区役所)を経て独立開業。
「埼玉働き方改革推進支援センター」アドバイザー(2018年度)、「介護労働者雇用管理責任者講習」講師(2018年度/17年度)、「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」サポーター(2017年度)。
社会保険労務士、行政書士、1級FP技能士、CFP、介護福祉経営士、介護職員初任者研修(ヘルパー2級)、福祉用具専門相談員、健康管理士、終活カウンセラー、海洋散骨アドバイザーなど20個以上の資格を持ち、誰もが安心して暮らせる超高齢社会の実現に向け活動している。

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