総勘定元帳とは? 仕訳帳との違いや書き方について解説!
総勘定元帳は、作成や保管を法律で定められており、会社の会計業務をするうえでとても重要な帳簿です。
この記事では、総勘定元帳の目的や書き方など例を出して解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
総勘定元帳とは
まずは、総勘定元帳をつける目的は何かを解説していきます。
総勘定元帳の目的
総勘定元帳を作成する目的は主に3つあります。
- 勘定科目ごとの取引内容を確認することができる
- 勘定科目ごとに取引内容を把握できるため、勘定科目ごとの残高を確認することが可能で、経営状況を把握することができる
- 決算書は総勘定元帳をもとに作るので、決算書を作成するのに必要な帳簿となる
以下で、さらに詳しく説明していきましょう。
〈勘定科目ごとの取引内容を確認できる〉
総勘定元帳には取引日・相手勘定科目・金額の増減が記帳されるため、勘定科目ごとに「いつ」「どんな取引が」「いくらあったか」を確認できます。
たとえば、現金での取引の場合「7月1日に消耗品を1,000円購入した」「7月2日に雑貨を1,500円購入した」など、勘定科目ごとに増減の原因が確認できるため、取引のふり返りにも役立ちます。
〈経営状況を把握できる〉
総勘定元帳に記帳されている、一つ一つの取引金額を足し算・引き算すれば、勘定科目ごとの残高が確認できます。
費用や収益(損益計算書)の勘定科目では予算の達成度、資産や負債(貸借対照表)の勘定科目では現金や借入金の状況を把握できるので、今後の経営計画を考えるのに役立ちます。
〈総勘定元帳をもとに決算書を作る〉
決算書(貸借対照表や損益計算書)には、勘定科目ごとに残高が記載されています。勘定科目ごとの残高を把握するために、試算表を作成します。
さらに試算表は、総勘定元帳の勘定科目ごとの残高を転記して作成します。
つまり、決算書を作成するには総勘定元帳が必要で、決算を正しく行うためには総勘定元帳が正しく作成されていることが大切です。
総勘定元帳の書き方
ここまでは、総勘定元帳の目的や重要性などをお伝えしてきました。では、実際に総勘定元帳をどう書いたらいいのかを説明します。
仕訳帳から総勘定元帳へ転記
取引があった場合には、以下の順で記帳します。
- 仕訳帳に記帳
- 仕訳の借方勘定科目の総勘定元帳へ内容を転記
- 貸方科目の総勘定元帳へ内容を転記
取引が発生したら、その都度、上記のように転記すると間違いが少なくなります。
会計ソフトの場合は仕訳を入力すると、自動的に総勘定元帳へ転記され、総勘定元帳が作成されることが多いので、転記ミスをなくすことができます。
〈具体的な転記方法〉
たとえば、8月1日に普通預金から現金を10,000円引き出した取引について考えます。
まず仕訳帳に、「8/1(借方)現金 10,000(貸方)普通預金 10,000」と記入します。
現金の総勘定元帳の借方に記入するのは以下のとおりです。
日付 |
摘要 |
仕丁 |
金額 |
---|---|---|---|
8/1 |
普通預金 |
8 |
10,000 |
これで借方科目「現金」の総勘定元帳の記入は完了し、続いて貸方科目「普通預金」の総勘定元帳を同じように転記します。
〈相手勘定科目が複数ある場合〉
相手勘定科目が複数ある場合の書き方についてお教えします。
たとえば、8月10日に20,000円分の商品を仕入れて、その場で5,000円を現金で支払い、残りの15,000円は買掛金とした取引について考えます。
日付 |
摘要 |
借方 |
貸方 |
---|---|---|---|
8/10 |
(仕入)諸口 |
20,000 |
|
(現金) |
5,000 |
||
(買掛金) |
15,000 |
まず、仕訳帳に上記のとおり記入します。
今回の仕入のように相手勘定科目が複数ある場合(今回は現金と買掛金)には仕訳帳に「諸口(しょくち)」と記入するため、仕入の総勘定元帳の摘要欄にも「諸口」と記載します。日付や仕丁、金額欄は相手勘定科目が一つの場合と同じです。
総勘定元帳は必要?
総勘定元帳を導入する目的がわかったところで、次はなぜ総勘定元帳が必要であるのかを解説します。
法律で定められている
総勘定元帳を作成することは、以下のとおり、法人税法施行規則第54条で義務付けられています。
青色申告法人は、全ての取引を借方及び貸方に仕訳する帳簿(次条において「仕訳帳」という。)、全ての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿(次条において「総勘定元帳」という。)その他必要な帳簿を備え、別表二十一に定めるところにより、取引に関する事項を記載しなければならない。
主語は青色申告法人ですが、会社を大きくするうえで総勘定元帳の作成は重要であることがわかります。
外部への提出が必要になる
具体的に総勘定元帳の提出を求められる場合には、以下が挙げられます。
- 税務調査
- 銀行融資
- 会計監査
税務調査とは、税務署が確定申告の内容が正しいか確認することです。確定申告は決算書をもとに作成されるので、確定申告や決算書の内容を確認するために総勘定元帳の提出が求められます。
また、銀行融資では融資の審査のため、会計監査では取引内容や正しく会計処理されているかを確認するために、総勘定元帳の提出を求められる場合があります。
総勘定元帳は青色申告特別控除にも欠かせない
総勘定元帳は、個人事業主にとっても重要な帳簿です。個人事業主が青色申告で確定申告を行うと青色申告特別控除が受けられますが、単式簿記と複式簿記のどちらで申告するかで控除額が変わります。
- 単式簿記で申告した場合の控除額:最大10万円
- 複式簿記で申告した場合の控除額:最大65万円(電子データで申告しなかった場合は55万円)
複式簿記で青色申告を行うには、損益計算書と貸借対照表を作成して提出しなくてはなりません。そのため、個人事業主であっても総勘定元帳の作成が欠かせないのです。
まとめ
ここまでの話をまとめます。
- 総勘定元帳とは、会社のすべての取引を記入し管理する帳簿のこと
- 総勘定元帳と仕訳帳には違いがある
- 総勘定元帳の書き方の例
- 仕訳帳から総勘定元帳への具体的な転記の仕方
この記事では、総勘定元帳についてのあれこれを紹介してきました。 総勘定元帳の目的を知って、会計業務に役立ててください。
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