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ビジネス文書の書き方 第24回 お中元のマナー

著者:   bizocean編集部

ビジネス文書の書き方 第24回 お中元のマナー

この連載では、ビジネス文書の適切な書き方をお伝えします。

今回は、お中元のマナーを考えてみましょう。

日ごろお世話になっている方に感謝の気持ちを込めて贈るお中元は、日本ならではの習慣です。昔ながらの贈り方や品選びは時代の流れにより形を変えつつありますが、先方の顔を思い浮かべながら喜んでくれそうな品を選んでみましょう。


贈る時期

お中元を贈る時期は、地域によって差があります。自分の住む地域と贈り先の地域で期間が異なる場合がありますので、注意が必要です。

北海道

北海道では、旧盆の7月15日ごろから8月15日ごろまでと、比較的長い期間がお中元シーズンとなります。

8月15日を過ぎると「お中元」ではなく「残暑見舞い」になります。

東北・関東

一般的に、東北・関東地方は7月初旬から7月15日までがお中元の時期です。しかし期間が短いため、近年は6月20日ごろから贈る方も増えています。

7月16日以降は「お中元」ではなく「残暑見舞い」になります。

北陸

北陸は、関東と同様に7月初旬から7月15日までに贈る地域と、北海道と同じように7月15日から8月15日に贈る地域があります。

都市部では関東と同様のところが多いようですが、地域によって異なるため確認してください。

東海・関西・中国・四国

北海道と同様に7月15日から8月15日までがお中元の期間ですが、関東の影響を受けて早まる傾向があります。

8月16日から9月上旬までは「残暑見舞い」となりますが、お中元が早まっている影響で、9月に入ってから贈ると「遅い」という印象を与えます。残暑見舞いとして贈る場合は、8月25日くらいまでに届くようにすると良いでしょう。

九州

九州のお中元の期間は他の地域と異なり、8月1日から8月15日までのため、九州の方に贈る場合は注意が必要です。他の地域と同様に年々早まる傾向にあり、7月中に贈る方も増えています。

8月15日以降は「残暑見舞い」となります。

沖縄

沖縄は中国文化の影響を強く受けているため、旧暦を利用することが多いようです。

お中元も、旧暦のお盆シーズンである7月15日までに届くようにしましょう。なお、旧暦は年によって異なるため、確認が必要です。


のし紙の選び方

贈り物の表に付ける紙を「のし紙」と呼びます。

のし紙には、「水引」と呼ばれる紐のようなものが付いています。水引は、色・形・結ぶ向きによって、ふさわしいシーンが異なります。

お中元に適しているのは、紅白の蝶結びの水引です。

蝶結びは、ほどけてもまた結べることから、何度でも繰り返したい慶事やお中元に適切です。

お中元用の水引の本数は、5本か7本が一般的です。

表書きは、水引の結び目の上に「お中元」と書き、贈り主の氏名は水引の下に記します。

複数で贈る場合は、右から年齢・役職などの高い順に書きます。同じ地位なら五十音順、4名以上の場合は代表者名を書き、その左に「有志一同」「他一同」などと記します。

また、縦長の札を箱に貼り付ける「短冊のし」と呼ばれるものもあります。

短冊のしは一般的なのし紙より小さく簡素化されたものであるため、改まったお中元には不向きですが、親しい間柄の親戚や友人なら使っても構いません。短冊のしを付ける位置は、品物の表面の右上です。

なお、のし紙の掛け方には、「内のし」と「外のし」があります。

  • 内のし 品物のパッケージにのし紙を掛けた後、包装紙で包むスタイル
  • 外のし 包装した上でのし紙を掛ける方法

内のしは、贈り主の名が包装紙の内側に隠れるため、控えめに贈り物をしたい場合に用います。

また配送サービスを利用する場合は、配送中にのし紙が破損するのを避けるため、内のしが選ばれることが多いようです。

外のしは、直接会って手渡しする場合に用います。


喪中にお中元を送っても良い?

お中元は感謝の気持ちを伝えるものであり、祝いの品ではないため、先方または自分が喪中の場合でも、贈ることそのものに問題はありません。

ただし、のしは慶事の際に付けるものなので、喪中にお中元を贈る場合は、紅白の水引が印刷されていない白無地を利用するのが良いでしょう。


今年のみ贈る場合

お中元は毎年の慣習であるため、お世話になった方に今回一度だけ贈る場合、表書きは「お中元」ではなく「御礼」とします。


お中元を贈ってはいけない先もある

政治家や公務員、学校の先生など公の立場にある人は、贈り物を受け取ることが禁止されています。相手が利害関係者でなければ、社会儀礼の範囲内で受け取ることができるとされていますが、利害関係者かどうかの判断が難しい場合もあり、公務員への贈答は控えるのが一般的です。

大手企業や外資系企業など一部の民間企業でも、お中元などの授受を禁止している場合があります。金銭的負担が大きいことや、古くからの儀礼を廃止したいといった理由があるようです。

お中元のマナーは、お歳暮と同様です。詳しくは、本連載の第9回「お歳暮のマナー」をご覧ください。


送り状

お中元は本来、挨拶を兼ねて訪問し手渡しするのが基本ですが、近年は宅配を利用することが多くなりました。

しかし品物だけを送るのではなく、送ったことをお伝えする「送り状」もあわせてお出ししたいものです。

送り状は、品物に同封する場合と、先に送付する方法があります。先に送る場合は、品物が届く2~3日前に届くようにしましょう。

宛先別に2種の文例を紹介します。

<会社宛>

お中元送り状(会社宛).png

お中元の送り状(会社宛)


お礼状

お中元を受け取ったら、時間を置かずにお礼状を出しましょう。宛先別に2種の文例を紹介します。

<会社宛>

お中元お礼状(会社宛).png

お中元のお礼状(会社宛)


お中元の歴史

お中元の由来は、中国の暦にあります。中国では古代から、旧暦で1年を三元(上元・中元・下元)に分ける暦法がありました。

上元は1月15日で、日本では小正月に当たります。中華圏では「上元節」「元宵節」などと呼ばれ、現代でも色とりどりの提灯や灯篭をともして盛大に祝います。台湾のランタンフェスティバルをご存じの人も多いでしょう。

一方、下元(10月15日)は日本ではなじみがありませんが、「十日夜(とおかや)」と呼ばれる旧暦10月10日の夜に行われる収穫祭として、地域の年中行事に名残をとどめているようです。

そして中元(7月15日)は、道教の教えにより贖罪の日(神様に供え物をして身の汚れを清める日)とされています。

この風習が日本に伝わって仏教の盂蘭盆(うらぼん)の行事と結びつき、先祖を供養する日になったと言われます。そして神様や祖霊へのお供え物を人々が共に食べる「共食」の習慣が定着し、現代のような進物を贈り合うスタイルになったと考えられています。

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