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【2022年改正】創設された特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)

【2022年改正】創設された特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)

令和4年4月、特定求職者雇用開発助成金に、支給額が既存コースの1.5倍となる新コースが創設されました。新たに設けられた「成長分野人材確保・育成コース」は、高年齢者や障害者、就職氷河期世代など、就職がしづらい方を雇用し、デジタル・グリーン分野及びこれに関連する分野(成長分野等)の業務に従事させる事業主を支援するものです。

今回は、創設された特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)について説明します。


特定求職者雇用開発助成金とは

特定求職者雇用開発助成金は、高年齢者や障害者、母子家庭の母、被災離職者などの就職困難者を雇い入れる事業主を支援する助成金です。

コース名

対象労働者

特定就職困難者コース

高年齢者・障害者・母子家庭の母などの就職困難者を雇い入れる

生涯現役コース

65歳以上の高年齢者を雇い入れる

被災者雇用開発コース

東日本大震災における被災離職者等を雇い入れる

発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

発達障害者または難病患者を雇い入れる

就職氷河期世代安定雇用実現コース

正規雇用の機会を逃したこと等により、十分なキャリア形成がなされず、正規雇用に就くことが困難な者を雇い入れる

生活保護受給者等雇用開発コース

自治体からハローワークに就労支援の要請があった生活保護受給者等を雇い入れる

本助成金に、令和4年4月から新たに「成長分野人材確保・育成コース」が加わりました。就職が特に困難な方の雇用機会の増大を図るとともに、成長分野への労働移動の円滑化を図ることが目的です。

【特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)】

高年齢者や障害者等の就職困難者を、ハローワーク等の紹介により継続して雇用する労働者として雇い入れて成長分野等の業務に従事させ、人材育成や職場定着に取組む場合に支給される

成長分野等の業務とは、デジタル・DX化関係業務やグリーン、カーボンニュートラル化関係業務をいいます。

【成長分野等の業務に該当する代表的な業務例】

デジタル化
DX化

ソフトウェア・アプリの設計開発業務
ネットワークの設定・デジタル機器の運用保守業務
自社デジタル製品の営業販売業務
自社業務のDX化業務 など

グリーン化
カーボンニュートラル化

次世代太陽光電池の技術開発業務
バイオマス素材製品の製造業務
ZEHの建設業務
電気自動車の販売業務 など

(参考:厚生労働省パンフレット)

テレワーク・在宅勤務による事務作業、デジタル製品や技術を扱う会社の警備・清掃業務、電気自動車を利用した配送業務などはデジタル等の製品や技術を使用しますが、主な業務内容が成長分野と関連性が低いため、成長分野等の業務に該当しません。また、少しでも成長分野等の業務を行えばよいというものではなく、対象労働者が従事する業務の主たる部分が成長分野等の業務に該当する必要がありますので、注意してください。


支給要件

「成長分野人材確保・育成コース」の支給要件をみてみましょう。

  1. 先にみた対象労働者種別に応じた特定求職者雇用開発助成金の他のコースの支給要件をすべて満たすこと
  2. 対象労働者を成長分野等の業務に従事させること
  3. 対象労働者に対して、雇用管理改善または職業能力開発にかかる取組を行うこと 
  4. 2と3に関すること等について記載した計画書及び報告書を提出すること

本コースで助成金を受給するには、単に就職がしづらい方を雇用するだけでなく、雇用した労働者を成長分野等の業務に従事させること、また、雇用管理改善や職業能力開発にかかる取組を行うことが求められています。

雇用管理改善

職業能力開発

・諸手当制度
・研修制度
・健康づくり制度
・メンター制度

・短時間正社員制度
・人事評価制度
・賃金表の作成

・テレワーク環境の整備

・その他雇用管理改善に資する制度

・事業主による職業訓練の実施
・他社が実施する教育訓練の受講機会の提 供
・職業能力検定の受検機会の提供
・実習併用職業訓練の実施
・キャリアコンサルティング機会の提供
・有給教育訓練休暇、長期教育訓練休暇、再就職準備休暇の付与
・事業内職業能力開発計画の作成
・事業内職業能力開発推進者の設置
・熟練技能等の習得の促進
・その他職業能力開発に資する取組の実施


支給額は?

本コースでは、対象労働者に支払われた賃金の一部に相当する額として、次の金額が支給されます(支給対象期ごとの支給額は、支給対象期に対象労働者に支払った賃金額が上限)。

【短時間労働者以外】

対象労働者

支給額

助成対象期間

支給対象期(6か月)ごとの支給額

高年齢者(60歳以上65歳未満)
母子家庭の母等
就職氷河期世代不安定雇用者
生活保護受給者等  など

90万円

(75万円)

1年

45万円×2期
(37.5万円×2期)

65歳以上の高年齢者

105万円

(90万円)

1年

52.5万円×2期
(45万円×2期)

身体・知的障害者
発達障害者、難治性疾患患者

180万円

(75万円)

2年

(1年)

45万円×4期
(37.5万円×2期)

重度障害者等(重度障害者、
45歳以上の障害者、精神障害者)

360万円

(150万円)

3年

(1年6か月)

60万円×6期
(50万円×3期)

(  )は中小企業以外

【短時間労働者】

対象労働者

支給額

助成対象期間

支給対象期(6か月)ごとの支給額

高年齢者(60歳以上65歳未満)
母子家庭の母等
生活保護受給者等  など

60万円

(45万円)

1年

30万円×2期
(22.5万円×2期)

65歳以上の高年齢者

75万円

(60万円)

1年

37.5万円×2期
(30万円×2期)

障害者
発達障害者、難治性疾患患者

120万円

(45万円)

2年

(1年)

30万円×4期
(22.5万円×2期)

(  )は中小企業以外

なお、短時間労働者とは、一週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者をいいます。


申請の流れ

申請の流れは次の通りです。

1.ハローワークからの紹介

2.対象者の雇入れ

3.計画書の提出

雇入れ日から起算して1か月以内に計画書を提出します。計画書には、対象労働者の従事する業務内容や、雇用管理改善・職業能力開発への取組を記載してください。

4.第1期の支給申請

支給申請期間は、各支給対象期の末日の翌日から2か月以内です。報告書等を添付して申請します。

5.申請書の調査・確認

6.支給・不支給決定

審査結果は通知書で告知されます。

7.助成金の支給

※第2期以降の支給申請も同様の手続き(4~7)となります。

支給申請にあたっては、様々な添付書類を求められます。

【求められる書類の例】

対象労働者の区分の確認

雇用契約書や雇入れ通知書で1週間の所定労働時間を確認し、対象労働者の区分が短時間労働者となっていないか等を確認します

対象労働者の労働時間の確認

雇用契約書や雇入れ通知書、申立書、賃金台帳、出勤簿などで、支給対象期における対象労働者の実労働時間の合計を把握します

雇用管理改善に係る制度を対象労働者に適用した場合、いずれかの雇用管理改善を対象労働者に適用したことの確認

いずれかの雇用管理改善に係る制度が導入されていることが記載された書類(就業規則や労働協約など)で確認します

申請時に慌てることのないように、日ごろから雇用契約書、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)や、就業規則等の内容を確認して整備しておきましょう。

※本内容は、令和4年6月10日現在、厚生労働省より公表されている情報に基づいております。申請にあたっての詳細は、管轄の都道府県労働局等に確認をお願いいたします。

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著者プロフィール

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角村 俊一

社労士事務所ライフアンドワークス 代表

明治大学法学部卒業。地方公務員(杉並区役所)を経て独立開業。
「埼玉働き方改革推進支援センター」アドバイザー(2018年度)、「介護労働者雇用管理責任者講習」講師(2018年度/17年度)、「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」サポーター(2017年度)。
社会保険労務士、行政書士、1級FP技能士、CFP、介護福祉経営士、介護職員初任者研修(ヘルパー2級)、福祉用具専門相談員、健康管理士、終活カウンセラー、海洋散骨アドバイザーなど20個以上の資格を持ち、誰もが安心して暮らせる超高齢社会の実現に向け活動している。

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