ハッカソンとは? 企業で行う目的やメリットをわかりやすく解説!
ハッカソンという言葉を耳にしたことはあるでしょうか。IT業界では知る人ぞ知る言葉ですが、最近では非IT業界でも耳にすることが増えているようです。
一体、どのようなことをハッカソンというのか、詳しく説明します。また、非IT業界においてハッカソンを行う目的や意味、メリットなども解説します。
ただの流行追いにならぬよう、ハッカソンを行ううえでの注意点も紹介しますから、今後の業務の参考にしてください。
ハッカソンとは?
まず、ハッカソンという言葉がどのように生まれたのかを解説します。
また、ハッカソンを調べると必ず対となって出てくるアイデアソンについても、セットで理解するようにしましょう。
ハッカソンとプログラミングの関係
ハッカソンとは、IT業界で生まれた造語です。技術を駆使してシステムを操るという意味の「ハック(Hack)」と、42.195kmを走り抜く「マラソン(Marathon)」を掛け合わせて名付けられたイベントです。
エンジニアやデザイナーらがチームを結成し、特定のテーマについてアイデアや意見を出し合った後、決められた期間内で集中的に開発を行い、最終日にシステムやアプリケーションといった成果を競います。
開発の間、マラソンを走るようにプログラミングに没頭することから、マラソンに例えられます。
2000年前後に米シリコンバレーで生まれ、GoogleやAppleのイベント開催で知られるようになりました。
ハッカソンとアイデアソンの違い
ハッカソンと似ているのが、アイデアソンです。
発想や思い付きという意味の「アイデア(Idea)」と「マラソン(Marathon)」からなる造語で、もともとはハッカソンの事前準備の位置付けでした。
ハッカソンとアイデアソンには、「チームを結成して行う」「時間に制限がある」「成果を競い合う」「IT領域以外でも開催されている」と、多くの共通点があります。
相違点は、ゴールの違いです。
ハッカソンが何らかの成果物をつくるのがゴールなのに対し、アイデアソンはプランニングが実現可能かどうかは重要視されず、新たな発想などを生み出すことです。
ハッカソンの目的
ハッカソンには以下の4つの目的があります。まとめると以下のとおりです。
- 新規事業や商品の開発
- コミュニティの形成
- 自社のPR活動につながる
- 人材の教育や育成など
それぞれ、詳細に見ていきましょう。
新規事業や商品の開発
ハッカソンの目的でまず挙がるのが、事業や商品の新たな創出のヒントです。
異なる経験やスキルを持った人が集まり、これまでにない新しい発想などブレークスルーが起きやすいのが特徴です。
生まれたアイデアは新規事業や新商品、サービスの創出につながりやすいと言えます。
商品やサービスの潮流サイクルが短くなってきているため、オープンイノベーションのツールとして企業側も期待しています。
コミュニティの形成
ハッカソンの目的の1つに、コミュニティの形成も挙げられます。
社内のみならず、社外の人を集めてハッカソンが行われると、新たなコミュニティが形成されていきます。
また、コミュニティ内での交流が繰り返されることで、情報収集や技術の向上といった高め合いにも期待できます。
自社のPR活動につながる
社外の人も含めて行うハッカソンは、自社の商品やサービスを参加者に幅広くアピールできるきっかけになります。
自社のPRにつながることで、人材採用にも活用されているケースも見られます。
人材の教育、育成
ハッカソンは、もともとプログラミングを行うイベントで、テーマによっては新規の技術やフレームワークに触れられる機会となります。
参加者同士の情報交換の場にもなり、新たな知識や技術を吸収できるというメリットがあります。
そのため、教育目的の勉強会としてハッカソンを取り入れている企業もあります。
ハッカソンを企業で行うメリット
ハッカソンを企業で行うメリットとしては、さまざまあります。
なかでも、以下に挙げた3つは大きなメリットとなりますから、ぜひ参考にしてください。
組織力や帰属意識の向上に期待ができる
ハッカソンでは、チームを組んで1つのテーマに取り組むので、組織力や帰属意識の向上が期待できるというメリットがあります。
普段、交流のない人ともチームを組む可能性が高く、コミュニケーションを取りながら共同作業を進めなければなりません。
当事者意識を持って参加するため人間関係が円滑になり、普段の業務にも良い影響をもたらします。
また、ハッカソンでは役割分担もなく一丸となって取り組みます。そのため、担当外の業務を知り、理解を深める機会にもなります。
オープンイノベーションにつながりやすい
ハッカソンには、「オープンイノベーションにつながりやすい」というのもメリットの1つです。
異なる専門性を持つさまざまな人が参加するので、参加者が多ければ多いほど、多様性も大きくなります。問題解決のために、多岐にわたる幅広いアイデアが提案されるでしょう。
結果として、今まで気付かなかった観点や物の考え方に触れて視野が広くなるだけでなく、柔軟性も高まり、新たなイノベーションが生まれやすくなるのです。
人材育成につながる
ハッカソンにはコミュニケーションとスキルの両面から、人材育成につながるメリットもあります。
どのようなハッカソンも最終日にはチームの成果物を提出するため、メンバーは今までの経験やスキルを持ち寄り、互いにコミュニケーションを取りながら開発に取り組まなければなりません。
自然とコミュニケーション能力やリーダーシップなどが磨かれていきます。
また、ハッカソンはスキルアップにも寄与します。最新技術をテーマとしたハッカソンもあり、人工知能(AI)やIoT、フィンテックなど、注目を集める分野の専門家のアドバイスを受けながら製作できる可能性も。
参加するエンジニアにとっては、最新技術に触れる貴重な機会であり、大きな財産にもなります。
ハッカソンを企業で行う際の注意点
ハッカソンは、形式的に行うだけでは意味がないものになってしまいます。
以下のような可能性も考慮しておくと良いでしょう。
1.単なるイベントで終わってしまう
ハッカソンは、1日から数日といった短期間で、アイデア出しから開発までを行うもののため、きちんとした成果物ができあがるとは限りません。そうなると、ハッカソンの効果を感じにくいでしょう。
また、ハッカソンの目的の1つである「コミュニティの形成」についても、参加者の主体性やモチベーションに左右されるものであることも覚えておいてください。
単なるイベントで終わらせないために、イベント終了後にもコミュニティが維持できるような工夫や対策も必要です。
2.参加者が集まりにくい
開発を目的としたハッカソンは、技術職(プログラマー、エンジニア、デザイナーなど)が参加対象となるため、そもそも参加できる人が限られてしまうという可能性も挙げられます。
参加できるメンバーがいつも変わらないというケースもあるようです。
ハッカソンを主催する場合は、参加対象の設定や集客の工夫が必要です。好例なのが、岩手県石巻市で行われている「石巻ハッカソン」。
現役のエンジニアと地元の学生たちがチームを組むことで、参加のハードルを下げることに成功しています。
ハッカソンについてのまとめ
IT業界で生まれた言葉、ハッカソンについて解説しました。
非IT業界でも、ハッカソンのような取り組みを行うことは、よりよい企業へ発展するためのステップとなるでしょう。
ぜひ、研修や講習などで活用し、今後の人材育成に取り入れてみてください。
より幅広い視野と幅広いスキルが身に付くことが期待できます。