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はじめての事業計画書作成!顧客に価値を提供する仕組みづくり編

はじめての事業計画書作成!顧客に価値を提供する仕組みづくり編

事業計画書では、顧客に対して商品やサービスをどのように提供するか、その一連のプロセスを盛り込み作成しなければ、相手にどのような事業をするかが伝わりません。

また、一連のプロセスの中でいかに価値を生み出すのか、具体的にそのプロセスを分析・改善していくことで、さらなる競争力を獲得することにも繋がります。今回は顧客に価値を提供する仕組みづくりについて解説していきます。


この記事の著者
  中小企業診断士 

1.一連の供給プロセスを確認する

価値を生み出す一連のプロセスを分析する際には、バリューチェーンというフレームワークを用います。バリューチェーンでは事業活動をそれぞれのパートに分けて、どこで価値が生み出されているのかを分析します。

今回は、京都特産の漬物をつくる食品製造業(以下:K社)が事業計画を立てると仮定して、バリューチェーン分析を考えてみましょう。
まず、K社の事業全体をそれぞれの供給プロセスに分けるところからスタートします。
これはバリューチェーンと似たような言葉ですが、モノの供給の流れを見るためサプライチェーンと呼びます。

①原料の調達

漬物を製造するために、まずは原料となる野菜を調達する必要があります。
農家で栽培された野菜を購入し、工場へ搬入します。複数の農家から野菜を調達し、配送業者もうまく手配をする必要があるとしましょう。

②製造活動

次に調達した野菜を工場でカットするなど加工を行い、漬物にしていく活動が必要です。
野菜の加工だけでなく、包装なども終えて出荷できる状態までを製造活動とします。

③出荷物流

工場から各地の物流拠点までの配送、そこからさらにアンテナショップ・スーパーマーケット・K社の自社店舗などへ配送を行う必要があります。そして、配送された漬物は、店頭に並べられ、購入されて我々の手元に届きます。

④販売・宣伝

前項の出荷物流と似ているように思いますが、こちらはどのように販売するか、例えば、自社店舗のみで販売を行うのか、それともオンライン販売なども並行して行うのかといった、販売方法についてメインで考えます。

⑤アフターサービス

製造後の食品保証や、より良い製品を開発するために現在の製品に対するアンケートなど市場調査も含みます。

まずバリューチェーンを考える前に、どのようにして製品やサービスを提供するのか、供給の流れについて確認しました。

今回は説明のため簡略化しましたが、このサプライチェーン分析の際には、自社だけでなく連携している物流事業者・販売会社についても明確にすることがポイントです。今回のケースであれば、原材料の京野菜農家と直接契約できることが、K社の強みを形成している要因かもしれないからです。

また、その逆のパターンもあります。配送業者との連携がうまくいっておらず、出荷に時間がかかってしまうなど、マイナスの要素を生み出していることもあるので、十分注意しましょう。


2.バリューチェーン分析を行う

次に、前述したサプライチェーンに対して、どこで価値が生み出されているのか、またどのようにして価値を付け加えるのかをバリューチェーンによって分析していきます。

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1 原料の調達

K社では、長年の営業努力によって京野菜を直接農家から買い付けすることのできるルートを有しています。新鮮な京野菜を農家直送で仕入れられることで、価値を生み出していると考えられます。

一方、配送は少し効率が悪く余分な費用が発生しています。そのため、より高い価値を生み出すためには、配送システムを見直すことが必要です。

2 製造活動

次にK社は、漬物の味に定評があり、長年にわたり地元顧客に愛されてきました。
そのため、製造活動においては味付け、つまり製造方法に強みがあるといえるでしょう。
しかし、K社ではマニュアル化ができておらず、従業員の作業効率にかなりムラがある状況です。そこで、マニュアル化を含めた人材育成を事業計画に盛り込むことで、効率化を図ります。

ここで留意したいのが、マニュアル化を行う際の範囲です。
製造方法の中で味付けのレシピまで全社員に共有しないことです。マニュアル化することで、業務効率化には繋がりますが、他社に漏れやすくなるリスクも生じます。そのため、マニュアル化を行う際には十分留意して取り組みましょう。

3 出荷物流

出荷物流の場面では、K社では付加価値が付け加えられていませんでした。
今後の課題として、在庫切れを起こした得意先に対してのスピード出荷対応や、顧客によっては配送時に梱包指定があったりするため、それに対応する付加価値がある配送を計画します。
 配送に関しては、配送業者に委託することが多いでしょう。そういった場合は、一度でうまくいかないことも多いので、お互いにルールを取り交わしてブラッシュアップをすることが大切です。

4 販売・宣伝

販売・宣伝での強みとして、地元では長年にわたり漬物製造事業者として培ってきたブランド力があります。しかし、地元地域に根付いた企業ですが、遠方での知名度があまり高くありません。

そのため、遠方での知名度を高めるために、CMを行ったり催し物などに参加することも一つの手です。また、現状の地元に根付いたブランドを活かし、地域での拡販にさらに注力することも有効でしょう。

5 アフターサービス

自社店舗を有しており、顧客の意見を吸い上げ新製品づくりに役立てています。このように顧客との距離が近く、意見を吸い上げることができることも十分大きな強みなのです。
今後、自社のファンを増やすために、会員制度や工場見学を実施するなど、施策を検討していきます。



3.バリューチェーン分析によって得られるメリットとは

最後に、バリューチェーン分析の結果で得られるメリットについて考えます。

1 どこにコストをかけるのか、削減するかが明確になる。

バリューチェーンで考えてみると、さまざまなプロセスを経て届けられる漬物ですが、事業を継続する上では、この一連のプロセス終了後に利益を出さなければなりません。

そのためには、付加価値を付けて販売単価を上げるか、どこかの活動プロセスにおいてコストを減らすか、それをバリューチェーンで分析します。

2 自社と他社のバリューチェーンを比較することで強み・弱みが把握できる

自社と他社のバリューチェーンを比較することで、自社では何気なく行われていた活動が、実は大きな価値を生み出していることに気付くことがあります。また、バリューチェーンを活用して競合他社を分析することで、相手の強みがどのようにして生み出されているのかを可視化できるので、戦略を立てやすくなるのです。



まとめ

今回は顧客に価値を提供する仕組みを分析する「バリューチェーン」について解析していきました。

企業活動はさまざまな活動の積み重ねで成り立っています。今回の例のような食品製造業でも、ただ「味がおいしい」だけが強みなのではなく、その「味がおいしい」といった強みは、「仕入れ先」や「製造方法」そして「顧客からのフィードバック」によって成り立っています。

こうして細分化することで明確になった強みを伸ばすこと、また、弱みを少しでも補うことで、より良い事業計画を生み出してください。

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著者プロフィール

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牧野 孝治

中小企業診断士

PROFILE
ライター,コンサルタント
1992年生まれ,京都府京都市出身。
2018年中小企業診断士登録
商社営業を経て、現在は経営コンサルタントとして活動中。
得意分野は、顧客目線で展開するマーケティング施策、低コストでITを活用しコスト削減と売上拡大、従業員のモチベーション向上施策立案、M&Aなど。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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