第12回:確定申告に間に合わなかったらどうなる? 対応方法は?<2/2>
確定申告のコラムも、今回でついに最終回となります。
本コラムも、確定申告期限を過ぎてしまった場合の対応方法がテーマとなりますが、そのなかでも個別延長を中心に説明します。
図表を多く用いて詳しく説明したこれまでのコラムをしっかり読んで、確定申告の知識をしっかり身に付けましょう。
災害による申告、納付等の期限延長申請書
個別延長の具体的な手続き方法は、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」に、所定の事項を記載し、所轄税務署長に申請、その承認を受けることにより行います。
なお、令和3年4月15日以前は、個別延長の方法として、申告書に「新型コロナウイルス感染症の影響による申告納付期限の延長申請」と記載する方法が認められていましたが、令和3年4月16日以降はこの方法によることができなくなりました。
この延長申請書を提出し、その承認を受けることにより、、災害が止んだ日から2カ月以内の範囲で、個別指定による期限延長が認められます。
実務上は、申告等の業務が可能となった状態で提出することが多いと思います。例えば、4月30日から申告等ができるようになった場合は、2カ月以内の6月30日までを限度として延長申請書を提出します。
個別延長後の申告・納付期限
個別延長を行った場合の延長期限については、その申請書に基づいて、個々の状況を確認したうえで、税務署長が申告・納付期限を指定することとされています。
なお、期限延長申請書と申告書等を同時に提出した場合は、その日が申告・納付期限となります。
また、納付の方法に、銀行の引き落とし(口座振替)を指定している場合は、税務署から振替日のお知らせが届くことになります。
個別延長の対象
更正の請求等の申告以外の届出や申請についても、期限の個別延長の対象となります。
例えば、申告所得税について、期限の個別延長の対象となる主な申告・納付等の手続きは次のとおりです。
- 所得税及び復興特別所得税の更正の請求
- 所得税の青色申告承認申請
- 青色事業専従者給与に関する届出(変更届出)
- 所得税の青色申告の取りやめ届出
- 純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求
- 所得税の減価償却資産の償却方法の届出
- 所得税の減価償却資産の償却方法の変更承認申請
- 所得税の有価証券・仮想通貨の評価方法の届出
- 所得税の有価証券・仮想通貨の評価方法の変更承認申請
- 個人事業の開廃業等届出
- 国外財産調書の提出
- 財産債務調書の提出
青色申告の承認申請書を、期限までに出せなかった場合
白色申告者が、令和5年度から青色申告を行おうとする場合には、令和5年3月15日までに「青色申告承認申請書」を所轄税務署に提出する必要があります。
しかし、その提出できなかった理由が新型コロナウイルスの影響であり、やむを得ない理由と認められる場合は、個別延長の対象となります。
ただし、令和4年度の申告を先に行っている場合は認められないことになるので、注意が必要です。
例えば、4月20日に確定申告書の提出を、4月30日に青色申告承認申請書の提出を行った場合、青色申告承認申請書は無効になります。申告は行えるのに、申請は行えないという主張はできないということですね。
つまり、上記の場合は確定申告書と青色申告承認申請書を、同日に提出する必要があります。そして、もちろん両者に対して個別延長の申請を行う必要があります。
引用・参考:国税庁「1 申告・納付等の期限の個別延長関係」
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