このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

フレックスタイム制とは? 就業規則に取り入れる時のポイントを解説!

フレックスタイム制とは? 就業規則に取り入れる時のポイントを解説!

フレックスタイム制は、従業員にとって柔軟な働き方を実現できる制度の1つです。

東京都が行った調査では、既に21.9%の事業所が導入しており、今後もさらに普及することが期待されています。

しかし、導入する際には、就業規則の見直しが必要不可欠です。本記事では、フレックスタイム制の基本的な仕組みと、企業が導入する際に考慮すべき就業規則のポイントについて詳しく解説します。

制度導入を検討中の企業は必見です。


フレックスタイム制とは

フレックスタイム制は、1日8時間、1週40時間という法定労働時間にとらわれない柔軟な労働時間制度です。1か月や3か月など一定の期間について、あらかじめ定められた総労働時間の枠内で日々の始業・終業時刻、労働時間を労働者が自ら決めることができます。

通常、労働時間は「午前9時から午後6時まで」などと定められますが、フレックスタイム制では、今日は「午前8時から午後5時まで」、明日は「午前10時から午後8時まで」など、出退勤時刻や働く⻑さを労働者が決定します。

日々の都合に合わせて労働時間を自由に設定することができますから、仕事とプライベートのバランスがとりやすい働き方といえます。

【フレックスタイム制の利用例】

・社労士資格の取得に向けて月曜日と金曜日は資格学校に通うため、午後5時に仕事を切り上げる。その分、火曜日~木曜日に長く働く。

・通勤ラッシュが苦手なので、毎日出勤時間を遅らせて通勤している。

フレキシブルタイムとはいつ出社してもよい時間帯のことで、コアタイムとは必ず勤務しなければならない時間帯をいいます。

上記の例では、出社時刻は7時~10時の間で、退社時刻は15時~20時の間で自由に決めることができます。コアタイムである10時~12時と13時~15時は必ず勤務しなければなりません。

フレキシブルタイムやコアタイムを設けるにあたり、フレキシブルタイムの時間帯が極端に短かったり、コアタイムの時間が1日の労働時間とほぼ同程度になるような場合は、労働者が始業・終業時刻を自由に決定するというフレックスタイム制の趣旨に反するので注意してください。

なお、フレキシブルタイムやコアタイムは設けなくても構いません。


フレックスタイム制を導入するには

フレックスタイム制を導入するには、就業規則への規定と労使協定の締結が必要です。

【就業規則の規定例】

第○条(フレックスタイム制)

1 第○条の定めにかかわらず、労使協定の締結により、毎月1日を起算日とするフレックスタイム制を実施することができる。

2 フレックスタイム制が適用される従業員の始業及び終業の時刻については、従業員の自主的決定に委ねるものとする。ただし、始業時刻につき従業員の自主的決定に委ねる時間帯は、午前7時から午前10時まで、終業時刻につき従業員の自主的決定に委ねる時間帯は、午後3時から午後8時までの間とする。

3 午前10時から午後3時までの間(正午から午後1時までの休憩時間を除く)については、所定の労働に従事しなければならない。

4 フレックスタイム制が適用される従業員の範囲、清算期間、清算期間における総労働時間、標準となる1日の労働時間、その他の事項については労使協定で定める。

フレックスタイム制とは、「労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることができる制度」ですから、必ず「始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねる旨」を定める必要があります。

労使協定には、以下の事項を定めてください。

① 対象となる労働者の範囲
② 清算期間
③ 清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)
④ 標準となる1日の労働時間
⑤ コアタイム(任意)
⑥ フレキシブルタイム(任意)

【労使協定の規定例】

フレックスタイム制度に関する労使協定


株式会社        従業員代表        とは、フレックスタイム制について、次のとおり協定する。


第1条(フレックスタイム制が適用される労働者の範囲)

営業部と企画部に所属する従業員にフレックスタイム制を適用する。


第2条(清算期間)

清算期間は1か月間とし、毎月1日を起算日とする。


第3条(清算期間中の総労働時間)

清算期間における総労働時間は、1日7時間に当該清算期間における所定労働日数を乗じて得られた時間数とする。


第4条(1日の標準労働時間)
1日の標準となる労働時間は7時間とする。


第5条(フレキシブルタイム)
 始業時刻につき従業員の自主的決定に委ねる時間帯は、午前7時から午前10時までとし、終業時刻につき従業員の自主的決定に委ねる時間帯は、午後3時から午後8時までの間とする。


第6条(コアタイム)

必ず労働しなければならない時間帯は、午前10時から午後3時まで(正午から午後1時までの休憩時間を除く)とする。


第7条(超過労働時間)

 清算期間中の実労働時間が総労働時間を超過したときは、超過時間を時間外労働とし、時間外労働手当を支給する。


第8条(不足時間)

 清算期間中の実労働期間が総労働時間に不足したときは、不足時間を次の清算期間にその法定労働時間の範囲内で繰り越すものとする。


第9条(協定の有効期間)

協定の有効期間は、○○年〇月〇日から1年とする。ただし、有効期間満了の1か月前までに、会社、従業員代表いずれからも申し出がないときには、さらに1年間の有効期間を延長するものとする。

フレックスタイム制の清算期間の上限は3か月となりますが、清算期間が1か月を超える場合には、労働基準監督署長へ労使協定の届出が必要です。


清算期間における総労働時間

清算期間における総労働時間とは、労働者が清算期間において労働すべき時間です(所定労働時間)

通常の労働時間制では、1日8時間や1日7時間45分などと定められますが、フレックスタイム制では清算期間(1か月や3か月など)を単位として所定労働時間を定めることになります。

清算期間における総労働時間は、法定労働時間の総枠の範囲内でなければなりません。

なお、労使協定において、例えば1か月160時間というように各清算期間を通じて一律の時間を定めても構いません。また、清算期間における所定労働日を定め、所定労働日1日当たり○時間といった定め方をすることもできます。


労働時間の過不足の処理

フレックスタイム制を導入した場合、定められた総労働時間の枠内で日々の労働時間を労働者自らが決定することとなります。そのため、清算期間における総労働時間と実際の労働時間との間に過不足が生じることがあります。

例えば、清算期間を1か月とした場合に過不足が生じたときの処理は次のとおりです。

日々の出退勤時刻や働く⻑さを労働者が自由に決定することがフレックスタイム制の特徴です。働き方改革により清算期間の上限が3か月に延⻑され、月をまたいだ労働時間の調整も可能な制度となりました。

ただし、フレックスタイム制においても企業には労働時間の把握義務があります。企業としては労働時間管理が煩雑となりがちですが、厚生労働省の手引きなどを参考に適切な導入・運用を心掛けてください。


この記事に関連する最新記事

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

著者プロフィール

author_item{name}

角村 俊一

社労士事務所ライフアンドワークス 代表

明治大学法学部卒業。地方公務員(杉並区役所)を経て独立開業。
「埼玉働き方改革推進支援センター」アドバイザー(2018年度)、「介護労働者雇用管理責任者講習」講師(2018年度/17年度)、「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」サポーター(2017年度)。
社会保険労務士、行政書士、1級FP技能士、CFP、介護福祉経営士、介護職員初任者研修(ヘルパー2級)、福祉用具専門相談員、健康管理士、終活カウンセラー、海洋散骨アドバイザーなど20個以上の資格を持ち、誰もが安心して暮らせる超高齢社会の実現に向け活動している。

この著者の他の記事(全て見る

テーマ/キーワードから記事を探す

カテゴリ別テーマ一覧へ

フリーワードで探す

bizoceanジャーナルトップページ