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給与計算ってどうやるの? 算定基礎届と月額変更届

著者:社労士事務所ライフアンドワークス 代表  角村 俊一

給与から天引きする健康保険料と厚生年金保険料は、標準報酬月額という物差しを使って計算します。各人の標準報酬月額は実際の給与を参考にして定められ、一定期間、変わることはありません。今回は、標準報酬月額の決定に関するルールを解説します。


給与計算ってどうやるの? 算定基礎届と月額変更届

標準報酬月額の決定場面

標準報酬月額が決定される場面は、①資格取得時決定、②定時決定、③随時改定の3つです。給与計算における保険料控除と密接に関係してきますから、それぞれの内容を確認しておきましょう。

まずは資格取得時決定について見てみます。例えば、新たに採用した労働者の給与が265,000円であれば、報酬月額「250,000円以上270,000円未満」に該当するので20(17)等級、標準報酬月額は260,000円となります。

【標準報酬月額表の一部】

※()は内の数字は、厚生年金保険の標準報酬月額等級

令和4年1月の採用であれば、資格取得時に決定された標準報酬月額がその年の8月まで適用され、9月以降の標準報酬月額は4月~6月の給与をもとに決定されます。ただし、昇給があり基本給等が大きく上がったなど、固定的賃金の変動があった場合は、定時決定を待たずに標準報酬月額が見直されることがあります。


決定の対象となる給与

標準報酬月額を決定する給与(以下でいう「報酬等」)とは、「労働者が、労働の対償として受けるすべてのもの」とされています。具体的には、以下を参考にしてください。

【具体的事例】

現実に提供された労働に対する対価に加え、給与規程等に基づいて使用者が経常的(定期的)に被用者に支払うものは、「報酬等」に該当する。労働の提供と対償の支払が時間的に一致する必要はなく、将来の労働に対するものや、病気欠勤中や休業中に支払われる手当であっても労働の対償となり、「報酬等」に該当する。また、雇用契約を前提として事業主から食事、住宅等の提供を受けている場合(現物給与)も「報酬等」に含まれる。

  • 【例】賃金、給料、俸給、賞与、インセンティブ、通勤手当、扶養手当、管理職手当、勤務地手当、休職手当、休業手当、待命手当

定時決定とは

採用時に決められた給与は、定期昇給や新たな手当の支給などにより変更されることがあります。そこで、実際の給与と標準報酬月額との間に大きな差が生じないよう、定期的に標準報酬月額を見直します。そのため、事業主は7月1日現在で使用している全被保険者の3か月間(4月~6月)の給与等を届け出なければなりません(算定基礎届の提出)。ただし、以下の①~④のいずれかに該当する方は、算定基礎届の提出は不要です。

  • ① 6月1日以降に資格取得した方
  • ② 6月30日以前に退職した方
  • ③ 7月改定の月額変更届を提出する方
  • ④ 8月または9月に随時改定が予定されている旨の申出を行った方

提出する算定基礎届は、6月上旬から6月下旬までの間に順次、日本年金機構から会社に送られてきます。必要な情報を記入の上、7月10日までに返送してください。3か月間(4月~6月)の給与の平均額に基づいて、標準報酬月額が見直されます(定時決定)。決定し直された標準報酬月額は、9月から翌年8月までの各月に適用されます。

定時決定では、基本的に4月、5月、6月の給与(残業手当等を含む)を合計して3で割ることにより、3か月分の給与の平均を求めます。先の例で見ると、採用時の報酬が265,000円だった方の給与が4月に上がり280,000円となっていれば、平均額は「280,000円×3÷3=280,000円」となり、報酬月額「270,000円以上290,000円未満」に該当するので、9月以降の標準報酬月額が280,000円に見直されます。

【標準報酬月額表の一部】

※()は内の数字は、厚生年金保険の標準報酬月額等級

なお、算定基礎届の対象となるのは支払基礎日数が17日以上の月です。17日未満の月は、給与が通常の月とかけ離れる場合があるため、算定の対象外です。例えば、5月に欠勤をして支払基礎日数が17日未満であった場合は、4月と6月の2か月で算定されることとなります。


随時改定とは

大幅な昇給や降給があった場合など給与の額が著しく変動すると、実際の報酬と標準報酬月額がかけ離れてしまいます。そこで、以下の①~③をすべて満たした場合には、定時決定を待たずに標準報酬月額が見直されます。これを随時改定と呼びます。

【随時改定が行われる場合】

  • ① 昇給又は降給等により固定的賃金に変動があった
  • ② 変動月からの3か月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額と、これまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた
  • ③ 3か月とも支払基礎日数が17日以上である

随時改定に該当する被保険者がいる場合、事業主は月額変更届を速やかに日本年金機構へ提出しなければなりません。固定的賃金の変動月から4か月目に標準報酬月額が改定されますので、遅れないようにしましょう。

【随時改定の対象となる可能性がある場合】

  • 昇給や降給があった
  • 結婚して家族手当が支給されるようになった
  • 子どもが生まれて家族手当が増額された
  • 引っ越しにより、通勤手当が増額または減額された
  • 一人暮らしを始めて住宅手当の対象となった
  • 時給制のアルバイトから月給制の正社員になった  など

先の例で、採用時の給与が265,000円だった方の給与が4月ではなく8月に上がり295,000円となった場合はどうでしょうか。8月、9月、10月の3か月平均は「295,000円×3÷3=295,000円」です。22(19)等級となりますから、従前の20(17)等級と比べ2等級以上の差が生じています。よって、随時改定の対象となり月額変更届の提出が必要です。この場合、新しい標準報酬月額は11月から適用されます。

※()は内の数字は、厚生年金保険の標準報酬月額等級

以上、算定基礎届と月額変更届に関する原則的なルールについて見てきましたが、実務では様々なケースが登場します。3か月ではなく年間平均額で標準報酬月額を算出する仕組みもありますし、今回のコロナ禍における特例のように、新しい仕組みが突然設けられることもあります。正確な給与計算を行うため、疑問がある場合は役所のHPを確認したり、問い合わせをするなどして対応しましょう。

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著者プロフィール

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角村 俊一

社労士事務所ライフアンドワークス 代表

明治大学法学部卒業。地方公務員(杉並区役所)を経て独立開業。
「埼玉働き方改革推進支援センター」アドバイザー(2018年度)、「介護労働者雇用管理責任者講習」講師(2018年度/17年度)、「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」サポーター(2017年度)。
社会保険労務士、行政書士、1級FP技能士、CFP、介護福祉経営士、介護職員初任者研修(ヘルパー2級)、福祉用具専門相談員、健康管理士、終活カウンセラー、海洋散骨アドバイザーなど20個以上の資格を持ち、誰もが安心して暮らせる超高齢社会の実現に向け活動している。

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