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中小企業のための「介護離職防止」対策! 第18回 実際の「介護のある生活」事例⑤

著者:一般社団法人 日本顧問介護士協会 代表理事  石間 洋美

今回も実際にあった在宅介護についてお伝えさせていただきます。

今回は、高齢者によくある転倒・骨折を経て在宅介護生活に入った方のお話です。要介護状態になる主な原因を調査した結果、第4位に挙げられているのが「転倒・骨折」なのです。

遠方のご家族さまなど皆さんの身近にもある話だと思いますので、ご紹介させていただきます。


中小企業のための「介護離職防止」対策! 第18回 実際の「介護のある生活」事例⑤

介護実体験~祖母の介護開始から在宅介護までの経緯~

【家族構成】

母と次男の二人暮らし。(静岡)
長女は遠方(関西)で夫と娘と暮らしている。


こんなことで骨折?

母は90歳になるが、身の回りのことも自分でできており元気に生活していた。一人でバスに乗って病院へ通ったり、買い物に出掛けたりしていた。そんな母の口癖は「いつまでも元気で、介護状態にはなりたくない」だった。

ある日、孫がグァム島で結婚式を挙げることになり、母も招待された。家族で話し合った結果、これが最後の海外旅行になるだろうと長女夫婦が旅行計画を立て、万全な体制で過ごせるよう段取りをしてくれた。

そして旅行当日を迎え、母はいつも以上におしゃれをし、人生最後の海外旅行を満喫しようと心を弾ませて出掛け、無事にグァム島へ到着した。翌日の結婚式を控え、ホテルの客室で雑談をしていた母は、ベッドサイドに腰を掛け楽しい時間を過ごしていた。

すると、突然母が腰掛けていたベッドサイドから滑り落ち、尻もちをついた。

海外のベッドは少し高く、90歳の母は足が床についていない状態で話に夢中になっていたのだという。この時、母自身も滑り落ちたことに驚き気が高ぶっていたこともあり、体の異変は感じなかった。もちろん、周りにいた家族も驚きはしたが尻もちをついただけだと心配はしていなかった。


車椅子生活を宣告される

しかし、翌日になり母が「お尻が痛い」と訴えたのだ。

この日は結婚式当日。痛みで歩くことも難しかったため、車椅子を用意してもらい結婚式に参列した。結婚式後の観光も車椅子のまま過ごした。

日本に戻り、整形外科を受診すると骨折と診断された。すぐに手術を行いたかったが、持病の糖尿病の数値が悪く、すぐには手術ができなかった。診断を受けてから一か月後にボルトで固定する手術を行った。

手術後、主治医の先生から、「高齢での骨折のため、今後は車椅子での生活になる」と話をされた。これまで元気で自由に生活してきた母にとって、車椅子生活になることは考えられなかっただろうし、介護状態になりたくないと強く思っていた母にとって、主治医の先生の話は衝撃的でとてもショックを受けた。


母の強い意志

主治医の先生から話を受けた後はしばらく落ち込んでいたが、「子供たちに迷惑をかけたくない」「まだ自由に生活したい」という気持ちを徐々に取り戻していった。

手術をした急性期病院を退院し、リハビリテーション病院へ転院。そこで、病院のスタッフが驚くほど母は一生懸命リハビリを行った。

介護状態になりたくないという意志はとても強く、その想いがリハビリへの意欲にも繋がっていた。母の頑張りが実り、手術の三か月後には杖歩行ができるまでに回復した。

リハビリは「掛けた時間に比例して回復していく」と言われているが、母の強い意志がプラスされ相乗効果となって結果に表れたのだと感じた。


認知症の症状が見られるようになる

しかし三か月間の入院生活では代償もあった。ある日突然の入院生活という環境変化。もちろん外部との刺激も少なくなる。自由に動くこともできない。これらの影響で、軽度の認知症状がみられるようになった。


在宅介護生活

介護サービス利用の計画を立てる

退院後、軽度の認知症状がある母と在宅で二人暮らしを継続していくためには今までのような環境では難しいと考え、介護保険サービスを利用しながら在宅生活を維持しようと介護申請の手続きを行った。

それと同時に、現在の入居は二階にあるマンションのため、一階で生活できるマンションへ引っ越しを決めた。母は要介護度4の介護認定もおりたため、自宅で転倒しないよう手すりなどの福祉用具を活用して住環境を整えた。また、日中はデイサービスへ通い、運動と入浴をする日を設け、訪問介護の方にも掃除や家事援助をしていただくよう介護サービスの計画を立てた。


見守り機能を活用した在宅生活

しかし、次男は正社員として仕事をしているため、どうしても母が自宅に一人で過ごす時間が多くなる。そこで母が日中過ごしているリビングに見守りカメラを設置し、留守の間は見守りカメラで様子が確認できるようにした。この見守りカメラは会話もできるため、同居している次男だけでなく遠方にいる長女も、母の様子を見ることも会話をすることもできた。

一人でぼーっとする時間が多いと認知症状も進行してしまうため、「常に会話ができる見守りカメラを設置して良かった」と家族は思っている。

このような努力の甲斐あって、母の認知症状の進行を防ぐことができ、お正月には一人で新幹線に乗り、関西にいる長女に会いに行けるようにもなり幸せそうだった。

次男は、「忘れることも多くなってきているが、できるだけ自分でできることは自分でやれるよう、見守りながら生活をしていきたい」と話していた。


まとめ

この話にあるように、こんな些細なことで骨折してしまうのかと思いますが、高齢になると骨密度も低下し、骨折しやすくなります。普段は元気でまだまだ健康でいてくれそうだと思っていても、いつ転倒してしまうかはわかりません。

だからこそ、元気なうちに転倒しないように住環境を整備することは、今できる具体的な対策の一つになります。さらに今は、見守りカメラなどの商品も数多く存在する時代になってきました。

仮に「介護のある生活」になったとしても、ICTやIoTを上手に活用して、より快適な生活を送っていただきたいと思います。

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著者プロフィール

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石間 洋美

一般社団法人 日本顧問介護士協会 代表理事

子どもの頃から「人の役に立つ仕事がしたい」という想いを強く持っていて、高校生活のボランティア活動で福祉・介護の世界と出会う。福祉・介護に関わる仕事を目指したく、静岡福祉医療専門学校医療福祉情報科へ入学。卒業後は、介護施設にて様々な経験をする。その後、自身のスキルアップのために介護事務業務、相談業務、マネジメント業務、管理業務を行う。医療福祉接遇インストラクターの資格も取得し、お客様満足度向上のための研修講師も務める。介護の業界に携わり「誰にでも介護はある日突然やってくる」現実を目の当たりにしたとき、もっと多くの方の救いや力になりたいという想いがさらに強くなり、その想いを実現すべく、2020年4月に当協会を立ち上げ、現在は「介護で困る人と困る量を圧倒的に少なくする!」を目標に掲げ活動している。

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