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インポスター症候群とは? 症状や原因を理解して上手な接し方を知ろう

監修者: 税理士・米国税理士・認定心理士  竹中 啓倫

インポスター症候群とは? 症状や原因を理解して上手な接し方を知ろう

インポスター症候群という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。本記事では、どういった心理状態のことを指すのか、その原因となるものは何であるのかを説明します。

どういうタイプの人がインポスター症候群になりやすいのか。それを知っているかいないか、理解があるかないかでは、業務に支障が出るかもしれません。

もし従業員にインポスター症候群の人がいたら、どのように接したらよいのかについても具体的に紹介します。ぜひ参考にしてください。


インポスター症候群とは

まずは、インポスター症候群についての概要から説明します。その後、具体的な例を挙げながら症状を見ていきましょう。

インポスター症候群の概要

インポスター症候群とは、自分自身を過小評価してしまい、自分の能力や実績を認められない状態を指します。

自分がいくら成果を上げても、「単に運がよかっただけ」「他人のサポートのおかげ」と考えがちに。第三者の介在で目的が達成され、自分の実力を信じることができず、自分の功績を認めようとしない心理傾向があります。

インポスター症候群の具体的な症状

では、インポスター症候群の具体的な症状について見ていきましょう。

症状1:私なんかにできるわけがないと考えがち

自分自身を過小評価しているために、これまでは単に運が良かっただけで、私の実力では物事を成し遂げることはできないと考えがちです。

さらに、自分にできない言い訳を考え、その考えに引っ張られて失敗してしまうケースもあります。

症状2:物事に対して積極的に関わらうとしない

自分ではやり遂げることができないと考えるので、着手自体が遅くなります。

やりたくないという気持ちもあるが、失敗した時は準備時間が十分でなかったと自分自身への言い訳を用意している一面があるでしょう。

症状3:物事を成し遂げることに不安を感じる

自分が成功することに対する、周囲の変化(妬み、誹り、いじめ)を想像してしまい、自分が変化することに臆病になってしまいがちです。

また、自分はいいように使われているという被害妄想(実際にそうかもしれないが)から、仕事を増やされることへの拒否感から警戒してしまうこともあります。


インポスター症候群になってしまう原因

インポスター症候群の主な原因として、三つ挙げられます。それぞれ見ていきましょう。

原因1:文化的なもの

特に女性に多いパターンとして、文化的な原因があります。

いくらいまどきの女性を装っても、心の奥底にある「女性はこうあるべき」というステレオタイプに縛られてしまっているケースも多く、「女性らしさ」に反すると思い込んでしまうことがあります。

また、いわゆる「優等生」で育ってきた子供が、「個性」を表に出すことに対して過度に保守的になってしまうことによって、引き起こされてしまったりするケースも。

原因2:心理的なもの

インポスター症候群の人は、変化に対する潜在的な恐怖心により、第三者からの目が変化することを嫌う傾向があります。

特に、過去の失敗体験から周囲が変化したことに対するつらい経験から、これまで受けたストレスや不安から身を守るという、自己防衛本能から生じているといえるでしょう。

環境の変化が人間関係の変化に直結してしまい、不安が先行してしまう状況が想定できます。どうしても達成が難しく思え、自分自身の限界に直面して自信を喪失するケースもあるでしょう。

原因3:家庭環境によるもの

家庭環境その他の要因によって、生じるケースもあります。

兄弟や姉妹がいる家庭で育ち、常に優劣を比較されてきた場合や、個性ではなく同調を大切にするよう教育されてきた場合などは、周囲に気を遣いがちになりやすいです。

結局、自己肯定感が低くなりがちであり、自己の成功は周囲や運であると思い込んでしまい、インポスター症候群を引き起こしてしまうこととなります。


インポスター症候群になりやすいタイプとは

ここでは、インポスター症候群になりやすいタイプの例を挙げていきます。

完璧主義者やキャリアアップを望まない人に多い

インポスター症候群は、完璧主義者やキャリアアップを望まない人に多い症状といわれています。その傾向があるのは確かでしょう。

実際に、完璧主義者は自分の成果に目を向けず、いたらない部分に目が行きがちです。キャリアアップを望まない人も、自分の存在価値には疑問を呈しがちです。

ただ、インポスター症候群は病気ではなく、あくまで心理傾向や気質に過ぎません。そのようなことを気にせず、生活を送っていくことが寛容でしょう。

近年は男性も増加している

近年、男性におけるインポスター症候群の割合が増加してきています。一つの原因には、景気が下降している現在、企業内での締め付けが厳しくなってきたことが挙げられるでしょう。

そのため、過去においては女性のインポスター症候群の割合が高かったのですが、男女ともに割合が上昇するに従い、男女比の差が詰まってきていると考えられます。


インポスター症候群の社員との接し方・付き合い方

もし、あなたの周り(ビジネスシーン)でインポスター症候群の部下がいたら、どのように接したらいいのでしょうか。ここでは、上手に接していく方法を説明します。

1.能力や実績を口に出して褒める

実際に、部下の能力や実績を認めている場合、口に出して褒める必要があります。その時、能力や実績を見える化し、みんなで成果を確認し納得できることが重要です。

口に出して褒めることにより、部下は納得でき、インポスター症候群に対しても、ポジティブな効果を及ぼし、モチベーションにも貢献します。

2.適当な責任と仕事を分担する

部下にはいきなり大きな仕事ではなく、また適度な仕事を与えるのではなく、本人と話し合いのうえ、どのような仕事が適切かを考え、与えるようにします。

本人と話し合うことによって、部下にも自覚と納得感が芽生えてきます。本人の満足度が上がり、自信につながり、インポスター症候群解消に役立つことが期待できるでしょう。

3.環境の整備に努める

環境を整えるためには、失敗しても頭ごなしに怒るようなことはせず、職場の雰囲気を重点的に考えます。成果に対しても、叱るだけではなく、教育的指導が和やかに行われる職場風土を目指していきましょう。

また、部下が不安にならないように、十分なサポート体制を敷き、業務フォローだけではなく、心のフォローができるような体制を整えてください。


インポスター症候群についてのまとめ

ここまでインポスター症候群について説明してきました。

まとめると以下のとおりです。

  • インポスター症候群は病気ではなく、心理傾向や気質のことをいう
  • インポスター症候群には三つの原因がある
  • インポスター症候群の人との上手な接し方がある

社員にインポスター症候群を疑われる人がいたら、まずは、上記で示したような接し方や付き合い方を行ってみるといいでしょう。

また、誰もがインポスター症候群になるかもしれないと周囲が理解をすることが重要です。インポスター症候群について考える、いい機会になるといいですね。

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監修者プロフィール

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竹中 啓倫

税理士・米国税理士・認定心理士

上場会社の経理部門で個別決算を中心とした決算業務に従事する傍ら、竹中啓倫税理士事務所を主宰する。
税理士事務所では、所得税・法人税を中心に申告業務を行っている一方で、外国税務に関するセミナー講師を行っている。
心理カウンセラーとして、不安を抱える人々に対して寄り添って、心の不安に答えている。
税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

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