エバンジェリストとは? 意味や業務内容について解説
エバンジェリストは、IT業界の新しい職種として注目されています。自社製品やサービスの認知度の向上に貢献する人材ですが、どのような業務を担っているのでしょうか。
今回は、IT技術の急激な進化にともない必要性が高まっている、エバンジェリストの意味や業務内容について解説します。エバンジェリストが社内にいるメリットや育成方法についても説明していますので、ぜひ参考にしてください。
エバンジェリストとは?
まずは、エバンジェリストとはどんな職種なのか、その目的について解説します。
エバンジェリストの意味
「エバンジェリスト」とは英語の「evangelist」が語源であり、近年IT業界を中心に耳にする機会が増えている職種の一つです。一般人や業界の入門者に高度で理解が難しい技術を分かりやすく伝えることができる人のことを意味します。
エバンジェリストという職種は、1980年代にApple社が、個人向けのコンピュータの有用性と可能性を宣伝するために設けられたと言われています。
evangelistは、元は宗教の分野で用いられてきた言葉であり、一般的には「伝道師、福音書記者、福音伝道者、巡回説教者、福音宣伝者」などと訳されます。
エバンジェリストの目的
エバンジェリストは、以下のような目的を持ちながら仕事を行います。
- 高度で複雑な技術を利用者が理解できるように、正確に分かりやすく伝える
- 利用者が直面する課題に対する解決策を提案する
- 利用者にとってベストのソリューションを優先する
エバンジェリストの最大の目的は、技術の開発者や提供者の利益ではなく、利用者の利益を最優先にした情報を伝えることです。そのため、仮にある会社の一員であったとしても、自社の製品や技術だけを使うソリューションではなく、他社の製品も含んだ利用者にとって最適なソリューションを提供することを目指します。
IT業界のありとあらゆる製品や技術の有効性や品質について熟知したうえで、課題に対する解決策を提供することが、エバンジェリストの最終的な目的です。
エバンジェリストの業務内容
次に、エバンジェリストが具体的にどのような業務を担当するのかについて見ていきましょう。
イベントでのプレゼンテーション(デモンストレーション)
技術知識のない一般向けも含めて、不特定多数を対象にしたイベント(IT系展示会など)でのプレゼンテーションや実機を使ったデモンストレーションを行います。難しい技術を簡単な言葉で説明して、一般利用者の理解と興味を促します。
見込客または既存客向けのプレゼンテーション(デモンストレーション)
自社の技術者やセールス担当者と協力し、見込客や既存客に対して、自社の製品や技術がどのようなソリューションとなり得るかを分かりやすく説明します。時には、他社製品や技術を組み合わせた、企業の課題を解決するためのオリジナルの提案を行います。
自社の営業、広報やカスタマーサポートに対するプレゼンテーション(デモンストレーション)
複雑で難しい技術は、自社の営業や広報、カスタマーサポートの担当者にも理解が難しいケースが出てきます。必要に応じて、社内スタッフ向けの説明やQ&Aセッションなどを担当することも珍しくありません。
エバンジェリストに求められる能力(スキル)
エバンジェリストは一般人から顧客、社内の人間まで、幅広い対象に向けてプレゼンテーションを行うため、複数のスキルが求められます。ここからは、エバンジェリストに求められる能力について解説します。
利用者に信頼される、中立性を保った行動が取れる能力
営業やプリセールスエンジニアとは立場が異なり、自社の製品や技術を最優先せず、利用者の利益を最優先にした視点を持つ、中立性が求められます。
課題解決能力
エバンジェリストが会社や業界を超えて、利用者にとって最適なソリューションを提供しようとするのは、利用者の課題を解決するためです。さまざまな可能性を探りながら、最適な解決策を見出す能力は必須と言えるでしょう。
技術の進化に対する情熱をベースにした情報収集力
エバンジェリストは自社以外の技術や製品知識の収集と、絶え間ない勉強が欠かせません。技術の進化そのものに対する情熱と情報収集能力が求められます。
エバンジェリストが社内にいるメリット
エバンジェリストが社内にいることで、企業にはどのような影響があるのでしょうか。ここからは、エバンジェリストがもたらすメリットについて解説します。
自社製品やサービスの認知度が向上する
エバンジェリストの存在によって、社外だけでなく、社内に対しても各技術や製品の特徴・品質レベルの認知度が向上します。
人材育成や技術革新につながる可能性がある
エバンジェリストの役割が重要視されるにつれて、比較的新しいこの職種が今後さらに発展、進化していく可能性があります。人材育成やさらなる技術革新にもつながるメリットがあるでしょう。
エバンジェリストを社内で育成する際のポイント
新しい職種であるエバンジェリストを育成するノウハウを持つ企業は、まだ多くはありません。ここからは、エバンジェリストを社内で育成する時のポイントを解説します。
社内公募で育成する
適任者を社内公募して育成する場合、自社にエバンジェリスト職を設定する目的と期待する役割を最初に定義します。自薦と他薦のどちらも機能する可能性があります。
社外公募で適任者を探す
自社に適任者がいない場合は、他社でエバンジェリスト職を経験している人材を社外から公募して、育てる方法があります。すでに自社の技術について、ある程度知識と理解がある人材が望ましいでしょう。
エバンジェリストについてのまとめ
エバンジェリストは、一般の人に高度で難しい技術を分かりやすく伝える専門職です。自社の製品だけではなく、他社の製品や業界全体の知識に精通して、利用者にベストな解決策を提案します。
利用者の利益を最優先にした行動を取ることが、自社製品やサービスの認知度の向上につながります。エバンジェリストが社内にいることで得られるメリットは、今後ますます大きくなると考えられるため、この記事を参考に、エバンジェリストの導入や育成を検討してはいかがでしょうか。