慶弔見舞金規程の作り方 慶弔見舞金制度の概要と種類 その2
従業員向け慶弔見舞金の種類
前回に続き、従業員向け慶弔見舞金の種類と規程作成のポイントを記します。
5、災害見舞金
支給対象となる災害には、火災、風水害、地震などがあり、基本的には住居に損害が発生した場合に見舞金を支給するものとします。その損害も、全壊、半壊、床上浸水などのように、損害の程度により支給額に差を設けます。また、独立の生計を営む世帯主、扶養者を持つ者、独身者との間で差を設けたり、自己所有物件と借家の間でも差を設けます。
6、死亡弔慰金
支給対象は、従業員本人の死亡だけでなく家族の死亡も対象としている場合が多く、その範囲は配偶者、子女、実父母、義父母が一般的でしょう。支給額については、勤続年数に応じて支給金額に差を設ける会社もあります。その場合、「三年未満」「三年以上」、あるいは「五年未満」「五年以上」のような区分とするのが良いでしょう。また、業務上での死亡であるかどうかで区分している場合もあります。
家族の場合の弔慰金は、従業員本人との関係が深い順に高く設定している場合が多いです。
また、弔慰金とは別扱いで、香典や花輪なども支給するのが一般的です。
社葬の取り扱いも規程で定めておくことが必要です。本人の会社内外での地位、職務、死亡理由、貢献度合いなどにもよるかと思いますが、一般的には役員会などで決定されることになります。
社外向け慶弔見舞金の種類
次に、取引先や得意先など社外向けの慶弔見舞金の種類と規程作成のポイントを記します。
1、結婚祝い金
取引先や得意先の親しい関係者が結婚する場合に贈呈します。企業にとって特に重要な取引先とそれ以外の取引先で区分けします。親しい関係者の子女に対して贈呈する場合もあります。祝い金を贈呈しないまでも、祝電を打つことで企業として対応することもあるかと思いますが、自社の社員に情報が入ってこないと対応できません。日頃から接点のある部署に情報収集を怠らないように注意を促しておくと良いでしょう。
2、新社屋落成の祝い金
取引先に新社屋・新工場の完成があった場合に贈呈します。また、花を贈るケースもあるでしょう。重要な取引先とそれ以外の区分けと、祝い金と祝い品でそれぞれ金額を設定しておきます。新社屋や新工場の落成は、ほとんどの場合事前に情報が入ってきます。ちなみに、竣工式と落成式では流れ的には大きな違いはありませんが、行う目的には違いがあります。竣工式が神事を重んじて行われるのに対して、落成式はお披露目が中心ですので、招待されるという意味で情報が入ってきます。
3、新社長就任の祝い金
取引先に新社長が就任した場合に贈呈します。重要な取引先とそれ以外の区分けと、祝い金と祝い品でそれぞれ金額を設定しておきます。新社長の就任時には、あいさつに来られることがあります。その会社のHPに掲載されますので、取引先企業の株主総会開催月には注意しましょう。
4、創業記念の祝い金
取引先に創業記念行事や周年行事がある場合に贈呈します。重要な取引先とそれ以外の区分けと、祝い金と祝い品でそれぞれ金額を設定しておきます。これらの行事は、先方より案内や招待状がくるケースが多いので、出席する場合に贈呈することになります。案内状に金品の受贈を断る旨が記されている場合も多いので、注意しましょう。
5、叙勲の祝い金
取引先の親しい関係者に叙勲があった場合に贈呈します。重要な取引先とそれ以外の区分けと、祝い金と祝い品でそれぞれ金額を設定しておきます。ちなみに叙勲は、国家または公共のために功労のあった方を対象に発令されます。菊花章、旭日章、瑞宝章などの種類があります。
毎年、春と秋に実施される春秋叙勲や、八八歳に達した機会に実施する高齢者叙勲、功績のある方が亡くなられた際に実施される死亡叙勲などがあります。
また、著しく危険性の高い業務(警察官、消防署員、自衛官等)に精励された方を対象とした「危険業務従事者叙勲」が、春秋叙勲とは別に平成一五年秋に創設されました。毎年、全国で春秋叙勲は約四〇〇〇名、危険業務従事者叙勲は約三六〇〇名の方々が受章されています。
春秋叙勲および危険業務従事者叙勲は毎年二回、春は四月二九日、秋は一一月三日に発令されますので、該当しそうな人が取引先にいる場合は碓認しておきましょう。
6、昇進・栄転の祝い金
取引先の親しい関係者が昇進・栄転した場合に贈呈します。一般的には、特に重要な取引先関係者だけに贈呈することになります。
取引先の人事異動がなされる時期を把握して、確認するようにしましょう。祝い金だけでなく祝い品を贈るケースもありますので、その金額も設定しておきましょう。
取引先や得意先の担当者の栄転や昇進の情報が入ったら、すぐに連絡を取り、まずはお祝いの言葉を伝えます。祝い金や祝い品を贈るかどうかは、規程に沿って判断します。いずれの場合でも、正式な辞令が出たことを確認してからするようにします。
なお、栄転かどうかわからないときは、お祝いの言葉に注意しましょう。リストラや左遷など栄転でないことがわかっている異動の場合は、お祝いの言葉やお賤別、贈り物に配慮が必要です。事情があって送別会を催せない場合は、贈り物の予算を多めにします。贈り物の表書きは「御礼」よりも「感謝をこめて」とする方が良いでしょう。
また、左遷か栄転か判断しにくいときもあります。この場合は表書きを「御就任祝」とします。
7、死亡弔慰金
取引先の関係者が死亡した場合に贈呈します。取引先の社長、その家族、取引先担当者、取引銀行の支店長といった関係先がその対象となります。弔慰金だけではなく、供物や供花についても基準を設けておくと良いでしょう。ケースバイケースで判断するのではなく、あらかじめ規程で定めておきます。
取引先関係の訃報を知ったら、情報をきちんと確認した上で、ただちに担当部署の責任者に伝えましょう。その上で、会社としての対応策を早急に決めます。弔事は、タイミングを逃さず対応することが大切です。会社としての対応策は規程にある死亡弔慰金の決定とともに、弔電を誰の名前で打つのか、通夜に弔問するのか、弔問する場合は誰が参列するのかを決めます。特に重要な取引先の場合、通夜・告別式の受付等の手伝いに社員を派遣するケースもあります。供花を出す場合、生花にするか花輪にするかも決めておきます。
8、傷病見舞金
取引先の関係者に傷病があった場合に贈呈します。取引先の社長、関係者との区分けを設けるのが一般的です。取引先関係者の傷病についての情報は、自社の関係部署と取引先との日頃のやり取りから情報を入手することとなります。
9、災害見舞金
取引先企業に災害があった場合に贈呈します。重要な取引先とそれ以外の取引先との区分けを設けます。ただ、災害の状況や取引の関係を考慮して、見舞金ではなくその都度判断して必要物資を贈呈するケースとなることが多いでしょう。
次回に続く