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パートタイム労働法とは? 改正ポイントをわかりやすく解説

著者:きた社労士事務所 代表  北 光太郎

パートタイマーやアルバイト、契約社員、準社員など、労働時間が短い労働者を「パートタイム労働者」といいます。

パートタイム労働法とは、パートタイム労働者の適正な労働条件の確保や雇用管理の改善などを図るため、1993年に施行された制度です。その後、2008年と2015年に改正が行われ、2020年4月には「パートタイム・有期雇用労働法」に改正・改名されました。

この記事では、パートタイム労働法の概要や改正ポイントをわかりやすく解説します。

企業に求められている対応もあわせて紹介しますので、人事や総務のご担当者様はぜひ参考にしてください。


パートタイム労働法とは? 改正ポイントをわかりやすく解説

パートタイム労働法とは?

まずは、パートタイム労働法の概要を確認しましょう。

パートタイム労働者の概要

パートタイム労働者とは、1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者のことです。

「通常の労働者」とは、正社員がいればその労働者が該当し、同種の業務に従事する正社員がいない場合は、非正規のフルタイムで働く労働者が「通常の労働者」となります。

パートタイマーやアルバイト、契約社員、準社員など、呼び方は異なっていても、通常の労働者より所定労働時間が短ければ「パートタイム労働者」であり、パートタイム労働法の対象になります。

参考:パートタイム労働者とは|厚生労働省

パートタイム労働法の制定目的

パートタイム労働者の割合は2016年に雇用者全体の約3割を占め、日本経済を支える重要な役割を担っています。しかし、正社員と比べて賃金などの待遇が働きや貢献に見合っていない状況が見られました。

そうした背景から、パートタイム労働者の適正な労働条件の確保や雇用管理の改善などを図るため、1993年に施行されたのが「パートタイム労働法」です。

その後、パートタイム労働法は2008年と2015年に改正されました。さらに、働き方改革関連法案の改正において、2020年4月に正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者の不合理な待遇格差を是正するため、「パートタイム・有期雇用労働法」に改正・改名されました。

参考:パートタイム・有期労働法のあらまし|厚生労働省


パートタイム労働法・3つの改正ポイント

ここでは、パートタイム労働法の改正について3つのポイントを紹介します。

不合理な待遇格差の禁止

パートタイム労働法の改正により、雇用する通常の労働者とすべてのパートタイム・有期雇用労働者の待遇について、不合理な格差が禁止されました。

基本給や賞与、各種手当などの賃金だけではなく、食堂や休憩室の利用、教育訓練も「待遇」に含まれます。待遇の違いが不合理と認められるかどうかは、個別の待遇ごとに性質や目的に照らし合わせて判断されます。

企業は、業務の内容や責任の程度、配置の変更の範囲などを比較し、不合理な待遇差があれば是正しなければなりません。

参考:パートタイム・有期労働法のあらまし|厚生労働省

待遇についての説明義務の強化

パートタイム労働法の改正により、パートタイム労働者や有期雇用労働者は、同じ仕事をしているのに正社員と待遇が違う場合、企業に説明を求めることができるようになりました。

企業は説明が求められた従業員に対して、待遇の説明をする義務が生じることになります。当然のことながら、説明を求めた従業員に対して不利益な扱いをしてはいけません。

参考:パートタイム・有期労働法のあらまし|厚生労働省

裁判外紛争解決手続の整備

「裁判外紛争解決手続」とは、裁判以外の方法で紛争を解決する手続きのことです。

当事者同士での話し合いと裁判の中間に位置づけられ、専門的な知識を持った利害関係のない第三者を交えてトラブルの解決を図ります。

パートタイム労働法の改正により、パートタイム労働者の均等待遇や待遇差の内容・理由が裁判外紛争解決手続の対象となりました。

参考:多様な働き方応援サイト|厚生労働省


パートタイム労働法における企業側の対応

パートタイム労働法を受けて、企業はどのような対応をする必要があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

不合理な待遇差をなくす

パートタイム労働者や有期雇用労働者を雇用している企業は、通常の労働者との不合理な待遇差をなくさなければなりません。

社内の状況を点検し、各項目について不合理な待遇差がないかどうか確認しましょう。不合理な待遇差が見つかった場合は、その待遇差を解消する必要があります。

不合理な待遇差の判断が難しい場合には、厚生労働省が提供している「パートタイム・有期雇用労働法等対応状況チェックツール」を用いて確認する方法もあります。

ガイドラインを参照しながら自社の状況を確認し、待遇差の理由を説明できるようにしましょう。

参考:同一労働同一賃金特集ページ|厚生労働省

就業規則の作成や変更

就業規則を作成・変更するには、労働者の過半数で組織する労働組合(労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)の意見を聴く必要があります。しかし、労働者の代表はパートタイム労働者でない場合がほとんどです。

パートタイム労働者や有期雇用労働者に適用される就業規則の作成・変更の際は、パートタイム労働者の意見が反映されることが望ましいとされています。 パートタイム労働者の意見を聴き、実態に合った就業規則を作成するよう努めましょう。

参考:パートタイム・有期労働法のあらまし|厚生労働省

待遇に関しての説明義務

企業は、正社員との待遇差の内容や理由についてパートタイム労働者や有期雇用労働者から説明を求められた場合、説明する義務があります。

そのため、待遇差がある各項目について、理由を明確にする必要があります。説明を求められた場合に備えて、待遇差の理由を明示した資料を準備しておくと良いでしょう。


パートタイム労働法の運用事例

最後に、パートタイム労働法の運用に成功した事例と失敗した事例を、それぞれ紹介します。自社で運用する際の参考にしましょう。

運用に成功した事例

現状分析から就業規則改定までを2ヶ月で行い、待遇是正の手当を充実させた事例

パートタイム労働法の良い運用事例として、等級に基づく賃金制度や通勤手当の実額支給を開始した企業の事例を紹介します。パートタイム労働者や有期雇用労働者を中心に業務運営している企業は、特に参考になるでしょう。

事例として紹介されている企業では、次の2点が課題になっていました。

  • 平均勤続年数が4年で人材の定着率が低い
  • 賃金が店舗によって違う

この状況を改善するため、次のような取り組みを実施しました。

待遇

取り組み前

取り組み後

基本給

店舗ごとに責任者の裁量で時給を決定

店舗・職種とランクによって時給が決まる等級制度を導入

手当

役職手当、技能手当、通勤手当、時間外手当を支給

※通勤手当については上限あり

通勤手当の上限をなくし、正社員と同じ支給基準で支給

課題解決のために人事制度を導入し、パートタイム・有期雇用労働者の働きぶりの評価を時給に反映させる仕組みを導入しました。

これらの取り組みによって従業員のモチベーションが向上し、退職率は減少傾向にあるといいます。

参考:多様な働き方応援サイト|厚生労働省

運用に失敗した事例

今度は、パートタイム労働法の運用に失敗した事例を紹介します。是正着手に遅れたことによって、罰則を受けた企業の事例です。

その企業で有期労働契約の準社員として雇用されていた労働者の労働契約が期間満了によって終了し、契約の更新がなかったことに対して、労働者が雇止め無効を訴えました。

さらに、正社員と準社員で賞与額が大幅に異なる点や、週休日の日数が異なる点などについて、「パートタイム労働者の差別的取扱いを禁止したパートタイム労働法8条に違反する」として、地位確認と損害賠償などを請求しました。

裁判所は、「正社員と同一の地位にあることの確認請求については、パートタイム労働法8条1項において差別的取扱いの禁止を定めているのであって、同一の待遇を認めるものではない」ことを理由に、訴えを斥けました。

一方で、賞与額が大幅に異なる点や、週休日の日数が異なる点については、パートタイム労働法8条1項に違反すると判断され、事業主に賃金差額相当分の損害賠償請求を認めたのです。

参考:パートタイム労働法8条1項違反について|HRプラス社会保険労務士法人


パートタイム労働法についてのまとめ

パートタイム労働法の概要や改正ポイントをわかりやすく解説しました。

短時間労働者であるという理由で、パートタイム労働者に対してフルタイムの労働者と不合理な待遇差を付けることは認められていません。また、労働者から待遇差について説明を求められた場合、企業はそれに応じる義務があります。

労働条件の改善は、長期的に見れば企業の成長につながります。パートタイム労働法が制定された背景を正しく理解し、従業員が活き活きと活躍できる環境を整えましょう。

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著者プロフィール

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北 光太郎

きた社労士事務所 代表

2012年に社会保険労務士試験に合格。

勤務社労士として不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善など様々な取り組みを行う。

2021年に社会保険労務士として独立。

労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。

法人向けメディアの記事執筆・監修のほか、一般向けのブログメディアでも労働法や社会保険の情報を提供している。

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