秘書業務の基本2
秘書の役割と重要性が理解されたところで、次は組織としてどのように設置するか、その体制作りについて解説しましょう。
企業規模や、役員の数、任せる仕事を明確にして、組織として運営することを考えていきます。
属人化せず、誰でも対応できるように考慮しておくことが重要です。
社内体制の作り方
秘書業務を担う部署を立ち上げる際、誰に必要性があるかによって社内体制が変わります。
たとえば、「役員全員に秘書が必要である場合」「一人の役員に一人の秘書が必要である場合」、または「二~三に一人の秘書が必要である場合」という場合は「秘書室」という組織を作ります。
人事部や総務部などの中に設けるのであれば「秘書課」を作り、人事課や総務課の中に設けるのであれば「秘書係」を作ります。
また役員対応の秘書は、それぞれの役員に対する担当秘書を割り振るのか、グループ秘書のように誰か一人が専属の秘書役にならずにグループ内のみんなでそれぞれを補い合うようにするかによって、業務の進め方が変わります。
身辺業務やスケジュール管理、来客対応などの接遇、電話対応だけならグループ秘書でも業務に差し支えることはありませんが、より高度な要求に応え、役員にしかできない意思決定や大きな商談をまとめることなど重要で責任ある仕事の補佐をするのであれば、役員付きの個別の秘書を登用することが望まれます。
部署を作るメリットは、情報の共有化や一元化がはかりやすい、予算管理がしやすいことです。
また組織的に業務が行えるので、秘書業務を担う部署を立ち上げる場合に解決の指示が出しやすい、得意な社員が業務に当たれるよう釆配することにより生産性が上がることなどが挙げられます。
デメリットは、情報の共有化に成功する分、漏えいに対する配慮や工夫が必要になること、また誰かがやるだろうというように意識が緩むときに責任の所在が不明になることなどがあります。
次に、業務分掌を決めます。スケジュール管理、来客応対・接遇、電話対応、情報収集とファイリング、資料作成、ビジネス文書の発送、社長の身辺業務、慶弔対応など、会社が必要とし、また役員が日々の雑務から解放されてやるべきことに集中できるような環境を整えるために必要な業務を洗い出します。
現在すでに他部署が行っている業務との切り分けを明確に決めておかないと、どちらも責任が果たせなくなり、生産性が低くなる場合があります。
これを機会に社内業務の見直し、改善を行うと良いでしょう。
社内体制整備のためのポイント整理
1.秘書を設置するための組織を作る
A:役員1人に1人の秘書が必要なのか
B:複数(2~3人)に1人の秘書が必要なのか
C:当面は、複数の役員に対して特定の秘書を指名せず、複数の秘書が業務に当たる体制で良いか
D:現行の部、課、室にいる部長に対して、1人の秘書が必要なのか
E:社長1人に秘書が必要なのか
A~Cに該当する場合は、いずれの場合も、秘書室・課を設けます。
Dに該当する場合は、現行の部・課・室内に、業務秘書〔係〕を任命します。
Eに該当する場合は、個人付き秘書を任命します。所属部署は、上司は社長なので「社長室付」のようにします。
2.秘書組織が担う業務分掌を明確にする
秘書の仕事を決め、部・課・室内および社内全体との調整をはかります。
A:スケジュール調整・管理
・社長や役員と同行する社員の出張の手配などを行います。
B:来客応対・接遇
・社長や役員とのアポイントメントのある来客接遇を行います。
・部下と一緒に会議に参加する場合のお客さま対応と社内調整を行います。
・社長や役員が関与しない場合の来客応対を行います。
・お土産品などの手配と内容の確認をします。
C:電話対応
・社長室や役員室へのダイヤルインのものに限るかどうかを定めます。
・社長や役員個人の携帯電話への入電の場合の取り決めも定めておきます。
D:情報収集とファイリング
・業界、関係団体の情報収集とファイリング、その保管場所について取り決めます。
・必要となる企業情報の収集とファイリングの担当者を定めます。
E:ビジネス対外的な文書作成・発信について
・私信、親展、DM、返信が必要な郵便物の開封範囲を定めておきます。
・会社代表宛て、社長個人宛ての電子メールの開封と返信のルールを定めておきます。
・社内メールの発信、受信のルールを定めておきます。
F:慶弔対応
・地域社会、業界、関連団体との付き合いの範囲を定めておきます。
・訃報の確認と社内への告知ルールを定めておきます。
・弔電、弔意、香典、供花などの手配の確認をしておきます。
・部下(社員)の慶事に対するルールを定めておきます。
・業界、関連団体の慶事に対するルールを定めておきます。
G:その他
・社業に必要な業務の見直しとルール作りをしておきます。
・規則のない業務に対応する際の決めごとの手順の確立と確認をしておきます。
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