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秘書業務の基本3

秘書業務の基本3

秘書の役割と重要性が理解されたところで、次は組織としてどのように設置するか、その体制作りについて解説しましょう。

企業規模や役員の数、任せる仕事を明確にして、組織として運営することを考えていきます。

属人化せず、誰でも対応できるように考慮しておくことが重要です。


この記事の著者
株式会社月刊総務 代表取締役社長   戦略総務研究所 所長 

秘書の心得

秘書業務に当たっての姿勢や能力開発の手法などのほか、秘書選任、登用の際に参考となる事項をまとめました。

秘書が果たすべき役割とその業務によるさまざまな効果を考慮し、教育、能力開発には力を入れて取り組みたいものです。


秘書の心構え

秘書の心構え、その一つは「秘密を守る」ということです。

自分の上司である社長や役員(トップマネジメント)、あるいは部長(ミドルマネジメント)の仕事を補助するには、プライベートな問題も含めて多くの情報が必要です。

私生活上の問題は言うに及ばず、会社内外のお付き合いなどの人間関係やつながり、集まってくる情報等すべては「公的」なものです。

秘書の独断で扱って良いものではありません。細心の注意を払って扱うべきです。

だからといって、無口で寡黙な人になっていては社内外の情報等を得る良き人間関係を作ることもできません。まずは、「公的情報」は上司の許可なくして明かさないことを心に誓ってください。

次に秘書の仕事は、幅広く、そして深いところまで掘り下げることが多いことを認識してください。

指示された仕事の仕上げについては、どこかで線を引く必要はあります。

「これで良し」と仕事を切り上げる基準は、最初に上司と確認しておく必要があります。

それぞれの役員の考え方や仕事の基準が違うからです。

独りよがりで「まあ、このあたりで切り上げよう」とするのは間違いです。

ただし、たとえ確認した基準に近い出来上がりであったとしても、もう一度見直すくらいの慎重さが求められていると心得てください。

役員を取り巻く人間関係のメンテナンスでは、同じ人であっても常に一期一会の精神で向き合い、新しい側面を見つけることを喜びにすると、信頼をいただくことにつながります。

自分が果たした仕事で、上司が評価を受ける、喜ぶ、幸せを感じてくれる。

おそらく、秘書に任命された当初は、自分の功績を強く感じたり、他の人と比べた自分の能力を高く評価してほしいと願う気持ちを強く感じたりすることでしょう。

上司の協力を得られるかどうかも秘書である自分の働きかけの結果であると信じて、まずは信頼関係を創ること、そして築き上げた信頼関係をさらに強化すること。

そのためには、上司の思考の癖や性格、好みを徹底的に理解して、「かゆいところに手が届く存在」を目指しましょう。


秘書の資質

秘書はあらゆるものとの距離を保つバランス感覚が求められます。たとえば仕事との付き合い方。

突然の残業や休日の変更などは、秘書の宿命かもしれません。

また、人とのバランス。社内外問わず、人との連携の中で業務が健全に効率良く回っていく仕事ですから、人との調和を人切にすることができ、また、どんなタイプの人でも好きであり上手にお付き合いができるのであれば、仕事も楽しくなることでしょう。

次に重要な資質は「目」配り、「気」配り、「心」配りです。

上司や上司のお付き合いする方々に「目配り」をしてサポートする。

上司の置かれる環境に対しては「気を配り」ます。

たとえば、移動中の乗り物の中でくつろぐ上司にコーヒーを差し出すタイミングは、気を配っているとおのずと理解することができるようになります。

相手の立場になって感じる「心配り」。

独りよがりにならず、お節介しない、その微妙な人と人との間を考え、感じる気持ちを行動で示す。

次に、「縁の下の力持ち」です。

上司任せにして指示されたことに対して動くだけでは、決して務まりません。

何事にも興味や関心を持ち、貪欲に追究する探究心や向上心。そんな資質があれば、すぐに信頼関係を築くことができます。

ほかには、素直であること、心からの感謝ができること、人を肩書や地位で区別しない純粋性があること、明るく朗らかであるなどの人柄であれば、秘書という仕事を天職だと思って楽しめることでしょう。


秘書の身だしなみ

クールビスはすっかり社会に定着しました。秘書も社内で仕事をするときなどは、ネクタイを外したり上着を脱いで過ごしたりすることはかまいません。

女性はパンツスーツでかまいません。

また、スカートやパンツ上下おそろいのスーツでなくても、替え上着をうまく組み合わせてみましょう。

スーツの色は黒でなければならないことはありませんが、あまり派手な色使いにならないよう配慮しましょう。

上司が好きな色使いがあると思いますので、早めに好みを知ると洋服選びに時間をかけずに済むようになるでしょう。

インナーを工夫することによって「おしゃれ感」を演出すると自分も気分を上げることができるでしょうし、上司もそれによって明るく仕事ができるようになるかもしれません。

女性の場合、香りには十分配慮が必要で、自分の好みの香りを必ずしも周りの人が好むかどうかわかりません。

また、爪の手入れは、全身に気を配っていることを感じさせるためのポイントは外せませんが、流行のネイルアートなどは不要です。

さりげなく爪を磨くだけ、あるいは透明、薄いピンク、ベージュ色くらいに抑えるようにしましょう。

男性はネクタイ着用のときはネクタイの色・柄に工夫を凝らしてみましょう。

冷静さや知的な感じをアピールしたいときはブルー系、相手に調和を意識させたいときはグリーン系、相手を刺激したいときや自己主張をするときは赤系、上品さをアピールするなら紫系、明るさや元気さをアピールするなら黄色系がベースです。

柄はごちゃごちゃしたものをなるべく避け、シンプルなものにすると、人柄との総合的な印象を残すことができます。

ワイシャツは、急な面会や外出のことを考えれば、常に白で織り柄がある程度のものを着用していると安心です。

急なお悔やみごとへの対応も考えておく必要があるので、ロッカーやデスクの引き出しには、ダーク系の口紅、除光液(シートタイプがベスト)、黒いストッキング(タイツ)、靴下、黒いハイヒールの靴、黒いネクタイ、喪章、数珠などを準備しておきましょう。

上司の分のネクタイや数珠も準備の中に入れておくことを忘れないでください。

サイズの問題があるので、上司が代わったときには早めにワイシャツを頂かるようにしましょう。

万が一のことを考えると、白・黒ネクタイとも秘書管理のものがあると便利です。


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著者プロフィール

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豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

毎日投稿 総務のつぶやき 

毎週投稿 ラジオ形式 総務よもやま話

毎月登場 月刊総務ウェビナー

著作

マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター) 

経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター) 

リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)

講演テーマ:総務分野

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