【徹底解説】領収書の書き方(サンプル・見本テンプレート付)
領収書とは、金銭支払いを証明する文書・書類です。
領収書は手書きと印字されたもの両方あり、また、印紙税法によって会計金額に応じた収入印紙を貼る必要もあるなど、領収書の取り扱いはさまざまです。
本記事では「領収書」の一般的な書き方、取扱い方法、再発行を依頼された場合、受け取り方など、基本から注意点までを徹底解説しています。
PDFや自動的に控えが作成されるExcel(エクセル)形式の領収書など、そのまま使えるテンプレートも無料でご紹介しているので、ぜひダウンロードしてご利用ください。
インボイスをわかりやすく解説した特集はこちらです。
領収書の役割とは
領収書は金銭支払いを証明する文書で、領収証ともいいます。現金やクレジットカードを使って商品やサービスを受けた証拠として、会計上管理が必要になります。
法人は法人税法、個人の場合は所得税法で定められた期間、保管しなければならない証憑書類の一種です。
また、印紙税法によって金額に応じた収入印紙を貼る必要があります。ビジネスパートナーやお客様にとっては、支払いを証明する大切な書類です。
自社にとっても物品やサービスを提供し、売り上げを計上したことを証明する書類になるので、正しい書き方・ポイントをおさえたうえで作成しましょう。
領収書に必要な項目
領収書を書くときに必要な項目、記載内容と注意するべき点をまとめました。領収書の画像を例に確認してみましょう。
①~⑧は必須で、⑨⑩はあると便利な項目です。
まず①の「タイトル」は、領収書(領収証)であることがわかるように、中央寄せで記載しておきましょう。
それでは②の「宛名」から、細かく書き方を解説していきます。
②宛名
領収書には、氏名や会社名を「宛名」として正確に記載します。漢字・ひらがな・カタカナ・株式会社表記・前後株に間違いがないように書きましょう。
社名確認は名刺が望ましいですが、やむを得ず口頭での確認で不安な場合は、別紙に記入してから領収書に転記すると安心です。
また、後述しますが、「上様」と書くのは、税務調査においてあまり印象が良くありません。受け取る相手から依頼されない限り、上様と書くのは控えましょう。
③金額
領収書の金額を書くときには、「¥」や「金」を先頭に付け、3桁ごとに「,」で区切り、末尾に「※」や「−」を追加します。
「¥66,000※」や「¥66,000-」のような記載が一般的です。この書き方によって金額の改ざんを防ぎ、不正を防止できます。
④但し書き
領収書の但し書きは、代金を具体的に「~として」と表記します。
例えば「お食事代として」「文房具代として」のように、内容まで明記することが重要です。これは税法上の経費証明に必要であるため、「お品物代」のような曖昧な表現は避けましょう。
複数品目の場合は、代表的なものを挙げる形で構いません。また「軽減税率対象」の商品があれば、明確に示しましょう。
証拠として、購入明細や納品書を添付しておくのも良いでしょう。
⑤収入印紙
領収書の金額が税抜き5万円以上で、200円の収入印紙と消印が必要になります。
税抜き49,999円以下は収入印紙は不要です。クレジットカード払いは、その旨を明記すれば収入印紙を貼り付ける必要はありません。
⑥内訳
標準税率(10%)と軽減税率品目を別々に示し、対価の額をまとめて記載します。金額の書き方としては、税込・税別のどちらでも大丈夫です。
2023年10月以降はインボイス制度の開始により、「税率ごとに合計した消費税額」も必要になっています。
⑦日付
日付となる代金受取日は、税務上必須です。そのため、領収書に必ず年・月・日を明記しましょう。
西暦・和暦どちらでも構いませんが、省略は控えてください。商品提供と代金受取が異なる場合は「代金受取日」を優先して書きましょう。
⑧発行者
領収書の発行者情報には、会社名・店舗名・個人の正確な氏名が重要です。住所や電話番号は必須ではありませんが、トラブルや税務調査に備えて記載することがおすすめです。
2023年10月のインボイス制度開始以降は、適格請求書発行事業者の登録番号が必要になりました。印鑑は必須ではありませんが、基本的には押印することが一般的です。
⑨領収書の連続番号
着服や不正を防ぐため、事前に領収書に振っておく連続した番号のことです。連続番号は取引の確実な記録になり、番号がないと不正のリスクが高まってしまいます。
現金売上が多い場合、税務調査でチェックされやすいため注意が必要です。全てのページに番号を振り、誤りがあればバツをつけ、全てのページが残るようにしておきましょう。
特に重要な証拠書類になるため、複写可能な領収書がおすすめです。
⑩備考欄
クレジット払いなどのメモ書きや、再発行のための記述に活用されます。
具体的な日付や領収書番号を記入し、クレジット払い時のメモや二重計上の防止に機能する項目です。
カードの利用控え伝票と一緒に保存すれば、トラブル回避や記録として役立ちます。
おさえておきたい5つのポイント
それではここから、領収書を書くときに特に気を付けたい5つのポイントについて解説していきます。
基本事項なので、しっかりおさえておきましょう。
【宛名】法人・個人それぞれの書き方
会社の場合は正式な会社名を記載しましょう。「株式会社〇〇」「〇〇株式会社」など、正式名称で略さず書きましょう。
個人の場合はフルネームが望ましいです。名刺などを見せて貰い、誤りがないよう正しく書きます。
いまだに商習慣として見受けられる「上様」という表記は、不特定多数にあたる表記のため極力避けましょう。税務調査の際に不正を疑われるなどマイナスの印象を与えるおそれがあります。
そのため、支払う方(宛先となる方)が望んだ場合にだけ使用するようにしましょう。
また、金額が大きい場合は「上様」を使うと問題になる場合もありますので、このような理由からも可能な限り正式な名称を記載することが望ましいでしょう。
【但し書き】飲食代はお客様に確認しましょう
商品の販売であれば商品名の記載となりますが、飲食の場合には、代金を支払う方(領収書を発行してもらう側)に予め確認することをお勧めします。
「お食事代」と「ご飲食代」は同じように見えますが、「ご飲食代」にはお酒が含まれる印象を与えます。
特に記載のルールはありませんので、出来るだけわかりやすく具体的に記載するように心がけましょう。
【収入印紙】必要になる場合
領収書の内容が5万円以上の売上代金の場合に、収入印紙が必要です。これは印紙税法で定められた印紙税を支払うためで、印紙を購入し貼付することで納税をしたことになります。
収入印紙を購入できるのは郵便局や法務局のほか、切手類を扱っているコンビニやタバコ屋でも購入することができます。
売上代金の受取書の場合
記載金額 | 税額 | |
---|---|---|
5万円未満のもの | 非課税 | |
5万円以上 | 100万円以下のもの | 200円 |
100万円を超え | 200万円以下のもの | 400円 |
200万円を超え | 300万円以下のもの | 600円 |
300万円を超え | 500万円以下のもの | 1,000円 |
500万円を超え | 1,000万円以下のもの | 2,000円 |
※上記の金額は本コラム掲載時点のものです。
なお消費税は売上代金ではないため、税抜金額が5万円未満の場合は「非課税」となり収入印紙は不要ですが、5万円以上100万円以下は200円の収入印紙が必要です。
通常、領収書を発行する側が負担をします。具体的な印紙税額については国税庁のホームページで確認することができます。
売上代金以外の受取書の場合
記載金額 | 税額 |
---|---|
5万円未満のもの | 非課税 |
5万円以上のもの | 200円 |
※上記の金額は本コラム掲載時点のものです。
参照:国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」
【印鑑】領収書への押印方法
通常、手書きやパソコン等で作成する領収書であれば、会社の角印や担当者の印鑑を押印します。必須ではありませんが商慣習上、ほとんどの領収書には印鑑が押されています。
昨今では、メールにPDFで添付するなど、紙で出力しないケースもあるため、簡略化されることも少なくありません。
また、店舗でレシートを発行する場合には、領収書という記載や、店舗名・住所なども併せて印字することで、印鑑を押さなくても正式な領収書とすることができます。押印はシャチハタでもOKです。
【保管期間】領収書の控えの保存期間
領収書の控えが必要になるのは、領収書を受け取った人や会社が何らかの都合でその金額を両者で確認する必要が出た場合です。
領収書自体の税法上保存期間は7年が原則となっています(青色申告、白色申告、売上高などによって少し異なります)。
そのため、領収書の控えも7年間は保存しておくことで様々な状況でも対応できるでしょう。
知っていると役に立つ!領収書Q&A
次に、領収書について知っておいた方がよいことをいくつかご紹介します。
Q.領収書の再発行を依頼されたら?
A.金銭支払いを証明する文書のため、原則、重複して発行しません。
金額修正や汚損してしまったことを理由に、やむを得ず再発行する場合には、先に発行したものを回収します。
店舗などで、「レシートではなく、領収書を」と求められた場合には、必ずレシートを回収しましょう。
また、紛失してしまい、回収ができない場合の対応は、再発行の可否、発行する場合の履歴の残しなどのルールを社内で決めておくとよいでしょう。
Q.領収書を受け取ったらどこを確認すればいい?
A.タイトル、日付、金額、但し書き、受領者(発行者)が明記されていることを確認します。
店舗でもらうレシートに店名が入っていないものは、経理部門や税務署に「無効」と判断されることもあるため、その場合には領収書の発行を依頼しましょう。
また、新幹線や、電車、バス、高速道路などの公共交通機関の領収書が必要なときには、自動券売機の「領収書発行ボタン」や、有人改札で依頼をすれば発行してもらえます。
ETCを利用する場合は、クレジットカード会社の明細請求書で代用することが多いようです。領収書は支払いを証明する文書です。正しく発行し管理しましょう。
Q.領収書でも割印をすることはあるの?
A.領収書にも原本と控えにまたがって割印を押すことで、整合性を証明し悪用されるのを防ぐことができます。
割印についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
≫【解説図付き】割印の正しい位置とは?契印との違いも解説
Q.個人事業主が領収書を発行する場合、発行者の情報として何を書くと良い?
A.個人事業主の場合は、屋号、氏名、事務所として使っている住所を記載しましょう。
領収書のテンプレート見本
bizocean(ビズオーシャン)では、様々な書式・ファイル形式の領収書テンプレート見本をダウンロードすることができます。
印刷して手書きして使うこともできますし、Excelであれば入力してから印刷することも可能です。
飲食店の店舗等で利用しやすい内訳・消費税も記載できる領収書(PDF)
一番シンプルな領収書です。飲食店や小売店で領収書を求められたときに便利な領収書です。
宛名、日付、金額、但し書き、内訳、税別金額、消費税額を記入することができます。
店舗等で利用しやすい手書きも可能な領収書3枚セット(Excel)
こちらも汎用的な領収書です。A4サイズで3枚の領収書を作成できます。ExcelですのでPCで入力してから印刷すれば手書きする必要がありません。
また、何も入力せずに印刷をすれば手書きでの使用も可能です。
会社間の取引で利用しやすい領収書(Excel)
会社間の取引の場合は店舗等で使用する領収書よりもシンプルなものが適しています。Excelに必要項目を入力し印刷してから捺印して提出しましょう。
控え付きの領収書
控えが必要な場合に2回同じ内容を入力して転記ミスなどが発生することを避けるために、Excelで自動的に控えが作成される領収書です。
まとめ
領収書は金銭の授受についての大切な書類です。代金を支払う側にとっては必要経費の証明として、発行する側は領収書を発行した証明として、双方にとって重要な役割を果たします。
必要な項目に不備や漏れのないよう、しっかりと記載しましょう。領収書の書式やスタイルにも様々ありますので、是非ご自身や事業内容にあったものを利用してください。
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