採用規定・採用基準の書き方・作り方
優秀な人材を採用するために、明文化された基準・規定は必要不可欠です。
規程を設けることで選考基準がある程度統一され、書類選考から面接までの採用工程が効率化できるだけではなく、スキルの低い人材を誤って採用してしまうことを防ぎ、公正な採用を行うことができます。
ここでは、採用規定・採用基準の作り方や書き方を詳しく解説します。
採用規定で定めること
採用規定は、いわばマニュアルのようなものであるといえます。必要項目を定めておけば、人材登用の際に決められた工程に則って採用手順を進めればよいので、担当者が変わったとしても作業レベルが変わることなく採用活動を進めていくことができます。規定で決めておくべき6つのポイントを解説します。
6つのポイント
1.目的
まず、規定を作るに当たって、目的は必須です。なんのためにこの採用規定があるのかを大前提におきましょう。
2.要員・欠員補充計画
要員とは、ある業務を完遂するために必要な人員のことをいいます。ここでは各部署の要員について、欠員が出た際に補充する計画を誰が立て、どのように運用するかということを定めておくものです。人事部長がその権限を持つことが一般的です。
3.採用計画
人員募集から採用までを何ヵ年で計画するのか、毎年何月までに計画を立てるかという全体的なスケジュールを定めておく必要があります。
4.計画の決定
最終的な計画を誰がとりまとめ、誰の権限で決裁するのかを決めておきます。
5.採用方針の決定
採用方針を誰がいつまでに作成するのかを明記します。作成すべき採用方針の内容には、①当該年度の採用方針、②募集方法、③選考方法、④初任 給の4点につき主に作成しておく必要があります。
6.学校へ募集依頼
新卒採用では、大学・高専・高校回りなどをして会社説明をし、募集をかけてもらうことになります。学校の就職担当者と調整をしながら推薦者を出してもらうこともあります。採用規定には、その募集依頼に関わる条項を盛り込みます。
採用計画
優秀な人材を採用するために、採用計画を立てます。それができなければ人材不足に陥り、それを補おうと慌てて採用活動をすると、スキル不足な人材を採用することにもなってしまいかねません。定年退職者に比べて新入社員が少なければ年代ピラミッドがいびつな形になってしまうため、バランスが悪くなってしまいます。また、新卒採用活動開始時期については、政府からの要請に沿って立てなければなりません。その年によって変わる場合もありますので、臨機応変に対応しながらも、何ヵ年で計画を立てるのかを俯瞰した計画組みが求められます。
採用方針
採用方針とは、会社が求めているのはどのような人材であるのかを明確に示したうえで、募集方法や選考方法を告知します。初任給や福利厚生などの待遇面の情報も公開すれば、多くの学生が注目します。採用活動は、会社が出す募集要項に対して学生が魅力を感じる活動でなければなりません。より多くの学生に興味をもってもらうことで、優秀な人材が集まるからです。
募集方法
募集方法は、大学等の就職課へ求人票を出すほか、若手社員がリクルーターの役割を担い大学を回ったり、会社説明会を開催したりという方法があります。そのほか、多くの学生が利用する就職サイトでの募集は、近年メジャーになっています。厚生労働省では新卒ハローワークが設置されたり、経済産業省ではドリームマッチプロジェクトと呼ばれる就職支援サービスなども展開されたりしています。新卒ハローワークで既卒者を採用すると企業に助成金が出ることもありますので、色々な募集方法を検討してみるとよいでしょう。
募集時の配布資料
募集に必要な書類、配布資料として下記が挙げられます。
・会社案内
・募集要項(職種、募集人数、選考方法、初任給など)
・入社申込関連書類(推薦書、履歴書、エントリーシート等会社指定様式)
・その他必要書類
職種によっては課題を出されることや、資格取得が必須となることもあります。
応募方法・応募時の資料
応募方法は、まず会社説明会やセミナーに参加することから始まります。会社に興味を持ったら履歴書や志望動機、自己PRなどを書いた書類を提出します。会社側は、どんな学生に入社してほしいのかを元に、ここで必要情報を確認します。在学証明書や資格証明書、課題などを応募時の資料として学生に持参を依頼することもあるでしょう。
選考方法(書類選考、適性試験、面接など)
一般的な選考の流れとして、まず会社説明会を実施して興味を持った学生が書類選考にエントリーし、第一関門を突破した学生が筆記試験に進み、一次面接、二次面接、役員面接とコマを進めていきます。書類選考では採用担当者が募集要項に沿った応募内容であるかチェックをかけ、筆記試験の採点までを担当する場合が多いです。
一次面接では、面接官の研修を受けた課長クラスの社員が担当します。二次面接に進むと統括部長、部長クラスの社員が担当します。役員面接になると社長、専務、常務クラスの取締役が担当し、最終判断をします。そのため、あらかじめ面接スケジュールを組み、面接官の選定や、予定の確保をしておかなければなりません。特に営業職の担当者は社内にいないことも多いため、早い段階での調整が必要になります。
内定方法、入社までの流れ
一般的には、最終面接まで進めばほぼ内定したとも同然といわれています。しかし、内定を出した学生が全て入社してくれるわけではありません。辞退者が出ることも想定して内定を出す必要があります。予想以上の辞退者が出てしまった場合には再募集をかける必要がでてきます。
内定の出し方は企業によって口頭のみであったり、文書のみであったりするところもあります。誤解やすれ違いを防止するためには、まずは電話で伝える方法が有効であるといえるでしょう。その後、内定通知書や入社必要書類を送付します。
内定を出してから入社までの間に、特に優秀な学生であれば他社からも内定をもらうことがほとんどでしょう。そのなかでも自社を選んでもらうために、企業はさまざまな手を打つ必要があります。内定者同士のつながりを持たせるために懇親会を開催したり、入社までにeラーニングを受講させてビジネススキルを学ばせたりする企業もあります。社員教育に力を入れていることをアピールできる機会にもなります。自社の持ち味をアピールできるイベントを開催するのもよいのではないでしょうか。
採用規定・採用基準の作り方
採用規定・採用基準は、冒頭で解説した『規定で決めておくべき6つのポイント』を盛り込んで作成しましょう。といっても、一から作るのは手間がかかります。Wordテンプレートを利用して作成するのが便利です。テンプレートの文章を自社の実際の規定に合わせて書き換えるだけで簡単に採用規定・採用基準を作ることができます。
採用規定は何種類用意すべき?
採用規定とひと口にいっても、ダイバーシティが進む現代では、雇用形態はひとつではありません。そのため、採用・選考方法が異なる場合は複数の採用規定を用意しておく必要があります。用意すべき内容として新卒、中途社員、契約社員、嘱託社員、パート・アルバイトなどが挙げられます。社内の人員構成などを鑑みて採用規定を作成しましょう。
まとめ
企業における採用活動は、会社の未来を支えることになる優秀な社員獲得のためにも、とても重要な活動です。近年の少子化に伴い、日本の労働人口は減少の一途を辿っています。今後は外国人労働者の登用や、女性の活躍推進などで、ますます雇用形態は多様化していきます。そんな労働環境の中では、いかに計画的に採用活動を行い人員を確保していくのか戦略を立てなければなりません。テンプレートを是非利用して、オリジナルの採用規定作りに役立ててください。