議事録の書き方のコツ・見本
議事録とは会議やセミナーの討議内容や議決結果をまとめ、社内や部署内で共有するために利用される文書です。
フォーマットに大きな決まりはありませんが、書き方のテクニックやコツが必要とされるものになります。
単なるメモにならないよう、ここでは議事録について分かりやすく書く方法を解説します。
議事録に求められること
議事録とは、会議やセミナーの経過や結果をまとめ、記録するための文書です。議事録に求められることは、会議での決定事項を正確に記録することです。人間の脳は、使わない情報はすぐに忘れてしまうようにできています。たとえ覚えている自信があっても、人間の脳は自分の都合の良いように解釈し、記憶違いを起こすこともあります。正確な情報を残しておくためにも、議事録を残しておくことは大切です。その場にいなくても、時間が経ってから見返しても、議事録さえ見れば内容がわかるように記録をしておく必要があります。
社会では、『言った、言わない』の揉め事がよく起こります。また、日本人が行う会議では、議論をしていても、結局決裁を取りたいことが曖昧なまま終わってしまうということも往々にして起り得ます。いつ、どこで、だれが、何を、どのようにしなくてはならないのか、5W1Hを明確に定めておかないと後から責任の所在がわからなくなってしまうことがよくあるのです。そうならないためにも議事録をつけ、会議で決めた内容の裏づけにとする必要があります。
しかし議事録は、ただ書けば良いというものではありません。後で読み返しても肝心なことが書かれていなければ、あまり役には立たないのです。議事録を書くにあたっては、必要なポイントを必要なだけ、誰にでもわかりやすく書くということが大切です。
議事録を書く流れ
(1)簡単にメモを取る
時系列に沿って大切なことだけを箇条書きでメモしましょう。会議はどんどん進んでいきますから、きれいに書こうとしなくて構いません。トピックごとに段落を変えたり、ペンの色を変えたり、工夫しながらメモします。後から議事録にしやすいように、重要そうな情報があればマーカーをつけておくとわかりやすいです。
(2)人の発言に注意する
会議では、誰が何を言ったか、誰が承認をしたか、誰が責任を取るのか、ということが大切になってきます。会議のなかに決裁権限を持った役職者がいれば、その人の発言でプロジェクトが進むこともあります。キーパーソンの発言には注意をしましょう。
(3)議事録を書く
会議が終わったら、議事録を清書します。上記でメモした内容を元に必要事項を記入していきます。どんな項目を書けば良いかのポイントは後ほど説明します。わかりやすく簡潔に書き、なるべく1枚にまとめると良いでしょう。
(4)出席者に回覧する
議事録を書く会議に出ていた人に回覧し、漏れが無いかを確認します。ここで書き漏れや解釈の違いがあれば訂正をします。議事録の書き手の主観が入ってしまうこともありますから、出席者のコンセンサスを取っておけば、後から認識の違いを指摘されることもありません。
議事録に必要なポイントを押さえる
簡潔にわかりやすく議事録を書くにはどのようなポイントを押さえれば良いのでしょうか。必須項目として7つ挙げられます。それは、日時・場所・出席者・テーマ・目的・議題・討議内容の7つです。それぞれの項目がなぜ必要なのかを見てみましょう。
日時 | あとで議事録を見返すときに、事柄がいつ決定したかという情報が必要になることがよくあります。例えば、その会議で決定されたときから有効なルールであるのならば、いつ決まったのかどうかによって○月○日以前のルールが適用されるか否かの判断材料になることがあるからです。 |
場所 | 一見するとあまり重要ではなさそうな『場所』ですが、TV会議システムがある会議室なのか、社外の会議室を借りたのかなど、その状況を把握しておくと今後の参考になります。この会議はここでなければならないというルールがあるかもしれませんし、この規模の会議ならこの会議室を予約しよう、というように開催準備の指標になります。 |
出席者 | 出席者の記録はとても大切です。誰が出席していたかを記録しておけば、出席者に話を通しやすくなります。 |
テーマ | テーマは、その会議が何のために開催されたのかを大枠を示すために必要です。 |
目的 | 目的は、その会議の目標、ゴールであるといえます。その会議でどこまで達成したいのかを設定しておかなければ、結局何も決まらずに終わってしまうこともあります。今回のゴールはどこにあるのかを明確化するためにも必要です。 |
議題 | 議題は、決められたテーマのなかで決めなければならない項目を細分化したものです。会議は議題が設定されていなければ脱線してしまいがちです。何について討議がなされたのか、箇条書きにして記録しておきましょう。 |
討議内容 | 会議で何が決まったのか、誰の発言なのか、誰の責任範囲となったのか等、討議の経過や結果を記録します。詳細を残そうとして全てを文字に残そうとすると大切なことを書き漏らしてしまうこともあります。大切なことだけにポイントを絞って書くようにしましょう。 |
必須項目として上記7点を挙げましたが、議事録の作成日・作成者も記録しておきましょう。その他、必要であれば回覧ルートや承認欄を設けても良いでしょう。
議事録を上手に書くコツ
ボイスレコーダーのように、全ての発言をそのとおりに記録する必要はありません。また、いきなり素晴らしい議事録を書こうと頑張る必要もありません。
順番に議事録を上手に書くコツをご紹介します。
5W1Hを意識して構成する
メモだけでは文章になりません。取ったメモを自分でまとめ上げるところから始めます。
会議では内容が前後することが多いため、5W1Hを意識して発言を分類し、再構成していくことがポイントです。
【5W1H】
- Who(誰が)
- What(何を)
- When(いつまでに)
- Why(なぜ)
- Where(どこで)
- How(どのようにするのか)
ロジカルライティング
議事録を書くにあたっては、ロジカルライティングの手法を利用することをおすすめします。ロジカルライティングとは、伝えたいことを論理的に整理して書くことです。日本人はロジカルシンキングが苦手であるといわれています。話をするときも、伝えたいことを論理的に整理してからではなく、思いつきでつらつらと話してしまうので話の脱線や抜け落ちが起こります。
ロジカルライティングではまず、伝えたいことを階層に分けて整理し、縦と横のつながりを持たせます。読み手を納得させるためには読み手が知りたい情報すなわち原因・理由・結果を紐付けにして提示してあげることが必要です。どこかが抜けていると読み手の疑問は解消されずに疑問が残ってしまいます。A社の主力製品の売上状況の例を挙げてみましょう。
【例】
<項目> → <結果> → <対象> → <理由>と階層を分けた場合
- 圧力IH炊飯器 1000台 達成 50代メイン 高級モデルだが、質が良ければ高くてもいいという意見が多い。
- IH炊飯器 500台 達成 30代メイン 汎用性あるモデルで一般家庭に好まれる。それゆえ、一部競合へ流れた。
- マイコン炊飯器 100台 未達成 20台メイン
小型モデルで単身者向け。戸建住宅地のため、需要が低かった。
決まったフォーマットを使う
議事録で書くべきポイントを押さえていざ実際に書こうと思ったとき、Word(ワード)で書くべきか、Excel(エクセル)か、パワーポイントか、フォーマットはどうすればよいのか、悩みますよね。そんなときはテンプレートやフォーマットを使いましょう。
先ほど説明した7つの必須項目が、全て網羅されている便利なフォーマットがあります。わかりやすい見本もついていますので、こちらを参考にして議事録を書くだけでロジカルライティングの手法を取り入れることができます。1枚で簡潔しますので、とてもオススメです。
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議事録を提出するタイミング
一般的に議事録の提出は会議が終わってから「24時間以内」といわれています。
情報の共有を素早く行うことが重要ですので、議事録作りにあまり時間をかけるべきではありません。
会議の前に、会議名や日時など事前に分かっている項目は会議前に埋めてしまうように段取りをしておきましょう。
また、作業時間を気にするばかり焦って作成し、内容に間違いがあっては、読み手に誤解を与える可能性または後に訂正版作成の手間なども発生します。
提出前には必ず記載内容に不備が無いかを上司にチェックしてもらいましょう。
まとめ
議事録は、会議やセミナーの討議内容や結果を社内で共有するために必要な文書です。会議から時間が経ってもそれを見れば思い出すことができる大切な記録です。一から作成するのは難しくても、フォーマットを使えば簡単に議事録が作成できます。5W1Hやロジカルライティングを意識して、読み手がわかりやすい議事録を作成してください。