稟議書の書き方と例文
稟議書とは、行いたい施策や購入したいものなどに対し、会社が決裁するための書類。
上司や経営者まで閲覧するため、目的や理由、実施する施策の内容、予算と効果がしっかり伝わることが重要です。書き方のテクニックを学ばなければ、自分が企画した施策を行えないことになってしまいます。
本コラムでは、例文を交えて、稟議書の書き方を解説します。
決裁がおりる稟議書の書き方とコツとは
会社の費用を使って何らかの施策を講じたい場合や何か必要なものを購入したい場合は、会社の決裁を取らなければなりません。稟議書が通らず、却下されてしまっては、せっかく計画をした仕事もできなくなります。
決裁がおりる稟議書を書くには、決裁者に、「これは会社の業績を上げるために必要な施策である」ということをわかってもらわなければなりません。それゆえ、説得力のある文書にしなければならないのです。何かを始めるためには投資が必要です。そしてその投資によって効果が得られることを示せなければ稟議書は通りません。決裁がおりる稟議書を書くコツは、費用対効果がいかに大きいかを示すように書くことです。
新規取引開始の稟議書、書き方とテンプレート
それでは、新規取引を開始したい場合の稟議書の書き方をご説明します。まず稟議書は、部署内でフォーマットを統一して置くことが望ましいです。個々の社員が別々のフォーマットで稟議書を提出してしまうと、決裁者は混乱してしまいます。全社員が同じフォーマットを利用していれば、決裁者側も確認すべきポイントがわかっているので稟議の時間を短縮させることができます。後ほど、Excelで作る便利なテンプレートをご紹介します。
新規取引開始の稟議で一番重要なポイントのひとつは、新規取引先の情報です。どのくらいの規模の会社なのか、どのくらいの実績があるか、信用のおける会社であるか、倒産の危険性はないか、などです。
会社の社命を預けることにもなるのが取引先との関係ですから、決裁者はその点を非常に気にします。決裁者が知りたい情報が抜けてしまっていると、決裁がおりなかったり、さらなる宿題がきて稟議に時間がかかったりしてしまいます。そのため、あらかじめ決裁者が知りたいであろう情報をしっかり入れておくことが大切なポイントです。
必要な項目
具体的にどのような項目を入れるべきかを解説していきます。
決裁区分
承認、条件付承認、保留、差戻し、否決といった稟議結果を表す決裁区分です。これは、稟議書を提出した後、決裁者がチェックをつける項目となります。
決裁日と申請日
決済日は決裁者が記載し、申請日は起案者が記載します。特に決裁日は以降、新規取引を進める許可がおりたという日ですから、大切です。
決裁番号と起案部門
決裁番号は必要に応じて記載します。管理しやすい番号を設定しましょう。特に番号は設定せず、稟議書の提出頻度が少ない会社などでは年月日をそのまま決裁番号として管理しているところもあります。
起案部門はどの部門が取引をするのか、記録しておく必要があります。
ある程度の規模の会社では、どこの部門がどの会社と取引をしているのか全く把握していないということが多々あります。ですが、取引先から見れば、それがどこの部門であろうと、その『会社』と取引をしていることになります。後で取引先から問い合わせなどがあったとき、担当部門がわからない、という事態がよく発生します。その混乱を防止するためにも、起案部門を記録しておくことが大切です。
決裁者の承認欄
決裁者の承認欄には稟議責任者の氏名を記載する欄のほか、部門長、担当役員、社長といった権限者がサインできる欄を設けます。事案や予算によって決裁者が変わる場合があります。部門長まででよいこともあれば、社長の決裁まで必要な場合もあるでしょう。どこまでの範囲が必要になってもよいように、デフォルトでは全ての権限者の欄を設けておくと良いでしょう。
決裁者コメント欄
稟議の結果、条件付承認になった場合や保留、差戻しになった場合など、なぜそうなのか、どうすれば承認されるのか、決裁者のコメントをもらうことができます。決裁者から宿題をもらい、それをクリアすれば承認が得られることもよくあります。
件名と内容
一番重要なのが内容です。件名は内容につながる、わかりやすくシンプルなものにしましょう。内容は、どんな取引をするのか、それによって自社にどんな利益が見込めるのかを論理的に、説得力をもたせて書きます。具体的に数値で表すことができれば承認がもらえる確率は上がります。虚偽を書くのはいけませんが、上手な見せ方をすることで決裁者に良い印象を残すこともできるのです。
例えば、これまでの取引先と比べて今回の取引先にすることで投資費用はかかるものの、効率が上がり経費が下がるため年間で見ると利益率が10%アップする等です。ロジックをうまく組み立てて内容を記載するようにしましょう。
取引先の概要
次に重要なものが、取引先の情報です。会社概要、所在地、資本金、社員数など、どのくらいの規模の会社であるのかを記載します。その取引先は過去どんな企業と取引をしているのか実績を知りたがる役員もいます。あらかじめ調べておくとよいでしょう。
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備品購入のための稟議書、書き方とテンプレート
次に備品購入のための稟議書の書き方ですが、テンプレートの項目は基本的には同じですから、ポイントが異なる点にフォーカスして説明します。
備品購入の場合は取引先の情報よりもその備品、製品自体の説明を詳しく書く必要があるというところです。その備品を購入することでどのようなメリットがあるのか、費用対効果を数値で表すことができれば記載しましょう。新規取引と備品購入の稟議書は、色分けをするなどして区別をしておくと使いやすいです。
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ネット広告出稿の稟議書、書き方とテンプレート
次に、ネット広告出稿の稟議書について、Wordでの書き方をご説明します。稟議書のフォーマットはExcelでなければならないということはありません。稟議内容によってはWordのほうが適している場合もあります。Wordで作成する場合は、項目ごとに区切り、ブロック単位にまとめて記載すると見やすくなります。ネット広告出稿の稟議書をWordテンプレートで書く場合の必要項目は下記のとおりです。
ネット広告出稿の必要項目
出稿先
これがわからなければ判断のしようがありませんので、どこの会社に出稿するのかは必須項目です。
広告の特徴
どのような強みがある広告なのか、また、料金はどのように発生するのか、ほかの広告とはどのように差別化ができるのかを書きます。
広告の内容
広告の誘導先や、対象層などを記載します。
掲載期間と費用
掲載期間と費用も必須項目です。期間が長期間に渡るのであれば、総費用と共に月間換算費用の記載もあると親切です。
効果予測
効果予測は決裁者が承認の判断をする重要な材料となります。できるだけ正確に数値化したものを提示できるようにしておきましょう。
稟議書の管理方法
書類というものは日々の業務に忙殺されていると、つい紛失してしまうこともあります。見たいときにすぐ見つけられず、書類を探すのに余計な時間を割いていませんか?
過去にいつ、どんな稟議が通ったのか、いつでも確認できるように保存をしておくことをオススメします。管理方法の例を挙げてみましょう。
管理方法の4つの例
保管期限を設定する
保管管理するといっても、20年前の情報など、あまりに古すぎるものは必要ない場合もあります。書類だけがどんどん増えてしまって管理しきれなくなることもありますので、必要に応じて保管期限を設けるとよいでしょう。
ファイリング管理する
稟議書が多い場合は新規取引、備品購入、ネット広告出稿など、種類別に分けて年度ごとにファイリングしておくと探す時間をかけずに見つけることができます。
サーバー上に保管する
紙でファイリング管理をするとキャビネットの場所を取ったり、紙の出力が多くなったりしますので、サーバー上でデータ保管するのもよいでしょう。誰でもデスクにいながら閲覧できるようサーバー上にフォルダを作っておくと便利です。
ナンバリングを忘れずに
保管する際、管理IDをつけておくと時系列で管理することができて便利です。
サーバーで検索をかけるときにも役に立ちます。
まとめ
稟議書は、新たな事業のために施策を講じたいときや備品を購入したいとき、決裁をもらうために必要な書類です。決裁権限者の承認をもらうことができなければ、新規事業を進めることができません。
通りやすい稟議書とは、決裁者の知りたい情報が網羅されていて、効果があると納得させることができる材料が揃っていることです。稟議書のテンプレートを参考にして、説得力のある稟議書を作成してみましょう。