作業日報の書き方
各部署が縦割りになっており、従業員間の連携に課題を抱えている企業は多いのではないでしょうか。
部署内でさえ、各個人がどのような業務をやっているのか、進捗状況はどうなっているかなどの情報が入ってこないこともあるかもしれません。
そのため、定期的に業務報告の場を設ける必要がありますが、担当者が全員集まるためのスケジュール調整が必要で手間がかかります。
このようなときに役立つのが作業日報です。各担当者が空き時間に作業日報を作成して提出するようにすれば、簡単に情報が共有できます。
このページでは、作業日報の書き方と使えるテンプレート、その活用方法を説明します。
作業日報の目的
作業日報は日記ではないので、その日あったことを何でも書けば良いわけではありません。作業日報は、主に以下の3種類の目的で利用します。
作業の振り返り
作業日報の目的のひとつが、作業の振り返りです。その日対応した業務について書き出すことで、成果やうまくいかなかったこと、その原因などを整理するのに役立ちます。
また、定期的に作業日報を書いていると、自分の課題や問題点が見えてきます。そうして明確化された課題や問題点の改善策を考え克服できれば、仕事へのモチベーションもアップしやすくなるでしょう。
タスクの進行管理
作業日報は、抱えているタスクの進行管理にも活用できます。企業の業務は基本的に納期や完了日が決まっており、その日までにすべての作業を終わらせなくてはなりません。
そのため、今どこまで作業が進んでいるのか、遅れはないかなど、常に進捗を把握しておく必要があります。
しかし、「今これくらいかな」と自分の体感で進捗を測っていると、想像よりも作業が進んでおらず、納期に間に合わないなどのトラブルにつながることがあるでしょう。毎日作業日報を書き、正確な進捗を把握しておけば、このようなトラブルが防止できます。
現状の共有
作業日報は、チーム内・部署内のメンバーに現状を共有するためのものでもあります。
企業では日々たくさんの業務が発生しますが、1人で完結する業務は少ないものです。自分のやっている作業が他の人の作業と合わさり、大きな成果につながっていきます。
そのため、他のメンバーの作業内容や進捗状況を把握しておきたいところですが、相手も仕事をしているなか、その手を止めさせて確認するわけにもいかないでしょう。
このようなときに作業日報があれば、わざわざ聞きに行かなくても、簡単に各メンバーの作業内容や進捗がわかるようになります。
また、作業日報を受け取る上司側も割り振った作業の進捗がわかるので、業務量に問題はないかを考えたり、納期に間に合わせるための対策を考えたりしやすくなるでしょう。
日報の項目
日報は基本、毎日作成して提出します。項目が多ければそれだけの時間を費やす必要があるため、必要以上の項目を記載しないようにしましょう。一般的な日報には以下の項目があります。
本日の目標・計画
その日に立てていた目標や計画について記載します。目標や計画を記載しておくことで、その日得た成果や課題などが明確化しやすくなるでしょう。
業務内容
その日に対応した業務内容について記載します。いつどこで、どのような業務をどれくらいこなしたのかを、時系列でわかりやすく書きましょう。複数の業務にあたった場合は、業務別にまとめて書くのがおすすめです。
翌営業日やること
翌営業日にどのような業務を行うか、具体的な内容や目標・計画などを記載します。次にやるべきことが整理できるため、作業がスムーズに進みやすくなります。
新たな気づき/成長できたこと
「こうしたら作業効率が良くなった」「新しい仕事を覚えた」など、新たな気づきや成長できたと思うことを記載します。自分の良いところ、頑張ったことが見える化されて業務へのモチベーションアップにつながるほか、ほかの社員へのノウハウ共有にもつながるでしょう。
課題点・改善策
その日の作業で感じた課題と、その改善策を記載します。ここも「営業で〇〇を提案したが、反応が芳しくなかった」「次回は実物を持参して見てもらう」など具体的に書きましょう。
困っていること/相談したいこと
この項目は必須ではありませんが、何か困っていることや相談したいことがある場合は、作業日報に書いておくと良いでしょう。
配送作業日報の項目
日々の配送業務に日報を使用する場合、その作業の特性から日報に記載する項目は異なります。その特性とは「安全に」「確実に」お客様に荷物を届けるという使命から、日報の項目には特性に関連したチェック項目が必要です。配送作業には配送前の準備作業を含めると項目は以下の通りです。社内で事前に行なう作業があれば、その内容を実施確認項目として記述します。
- 配送地域別の仕分け(地域別の量の確認)
- 配送ルートの決定
- 配送ルートを考慮した荷物の積み込み
- 出荷伝票の準備
- 代引き配送のための現金及びIT端末などの準備
また、実際の配送に出かける場合の作業日報記載項目としては以下の項目が挙げられ、担当者に課せられた仕事の領域によって作業日報の項目は多種多様です。
- 使用車両の車両No.
- 車両始業点検の結果記述
- 同乗者氏名
- 積み込み荷物件数、配送結果件数、持ち帰り件数
- 翌日同一地域への配送担当への申し送り事項(配送履歴など)
作業日報の書き方のポイント
作業日報は情報を整理して共有するために書くものなので、読む相手にきちんと内容が伝わるように意識することが大切です。どうすれば伝わる作業日報が書けるのか、書き方のコツを知っておきましょう。
当日中に書く
作業日報でとくに重要なポイントが、当日中に書くことです。後回しにして作成が遅れると、その日何をしたのか、何を考えたのか、共有すべき情報をどんどん忘れていき、作業日報の役割が薄れてしまいます。
終業前にまとめて書くと時間がかかるので、1つ作業を終えるごとにこまめに書いておくのがおすすめです。
箇条書きでまとめる
作業日報をつらつらと長文で書くと日記のようになってしまい、内容が伝わりにくくなります。箇条書きでまとめて、必要な情報が簡潔に伝わるように配慮しましょう。
複数の作業をこなした場合は、作業ごとに見出しをつけ、分けて書くと読みやすくなります。
数字などを使い、具体的に書く
数字などを用いて、具体的に書くことも重要です。たとえば、「〇〇に関する資料を作成した」だけだと、資料作成がどこまで進んだのかがわかりません。
「〇〇に関する資料作成が〇%まで完了した」のように具体的な数字を挙げて、成果や進捗が一目でわかるようにしておきましょう。
誰に見せるか意識する
作業日報は自分用のメモではなく、上司や同じ部署内のメンバーなどに見せるものです。「指示された〇〇の作業が完了しました」「〇〇の業務が〇日に完了予定」のように、作業日報を読む相手を意識して、必要な情報を漏れなく書いておきましょう。
誤った情報が拡散されることのないように、書いた情報に間違いがないかをチェックすることも大切です。
形式に縛られない
作業日報のテンプレートの形式を意識しすぎると、ただの穴埋め作業になりがちです。テンプレートの形式に縛られすぎずに、箇条書きや見出しを活用して、必要な情報が伝わるようにしましょう。
ただし、テンプレートを完全に無視すると、どこに何の情報が書いてあるのかがわかりにくくなるので、ある程度はテンプレートに合わせることも大切です。
上司の日報活用術
部下から日報を提出されたら、上司もただ流し読みすればいいものではありません。部下が見落としているかもしれない問題を発見すると同時に、業務の改善点をアドバイスするなど、活用方法はたくさんあります。
では部下が見落とすかも知れない項目とはどんなことでしょうか。
これは計画上に表現される目標値や条件などが可視化されず、管理するべき項目が暗黙知の環境になっている場合に起こりがちです。この状況ではその日の体調や精神的な集中度合いにより、作業の正確性が一定にならないからです。そもそも仕事は計画に基づいているもので、計画には目安となる達成目標値があります。ゆえに作業の条件がある場合は、事前に前提条件として明確にしておく必要があります。したがって部下に対しては、仕事を進めるうえでの施策や到達目標、要件(条件)などをできるだけ可視化して、確認を簡単に行なえるように働きかけましょう。こうした日報や作業環境の整理が、見落としのない現場をつくります。
日々の作業の中で改善が必要な業務の場合は、作業日報から得た情報をもとに管理者が改善ポイントのヒントを示唆すれば、作業者は取り組みやすくなりモチベーションも上がります。また日常的に対面で話しながら指導できないところは、日報でコメントを書き合うなど、交換日誌のようなものを双方向のコミュニケーションツールとして活用することも良いでしょう。最近は社内メールシステムが日常化していますが、日報は作業者と上司がより具体的に向き合えるツールです。この活用によって担当者はメールで意見を伝えるよりも更に自然な、現状に即した形でコミュニケーションを取ることができると思います。