通知書の書き方とは? 記載すべき項目やポイントを詳しく解説!【例文テンプレートあり】
通知書は、会社の組織変更や情報を社内外に発信するためのものです。社内においては人材を採用・解雇する場合に多く用いられ、社外においては取引先との契約や自社製品の広告などに幅広く用いられます。
そのため、内容には正確性が求められますが、書き方には定型のパターンがあり、テンプレートも一般化されているので、初めて書く方は文例を参考にし、テンプレートを活用することが望ましいでしょう。
このページでは、社外向け・社内向けの通知書の役割と書き方のポイント、シーンごとのテンプレートを紹介します。
通知書の書き方
通知書に決められた書式はありませんが、ある程度のパターンは決まっています。正確に情報を伝える必要があるので、一から作成するよりも、目的に合った通知書のテンプレートを活用するのがおすすめです。
また、通知書は組織変更や人材採用などの際に用いるビジネス文書であるため、ビジネス文書の基本的なマナーを押さえて書くようにしましょう。
記載すべき事項
通知書に記載すべき事項は、以下のとおりです。
- 日付
- 宛名
- 差出人名
- タイトル
- 本文
本文は以下のような構成にするのが基本です。
- 頭語:「拝啓」など
- 時候の挨拶:「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」のような文章
- 日頃のお礼:「平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます」のような文章
- 主文:今回伝えたい要件。「さて、この度弊社では…」のように、接続詞を用いて主文に移るのが一般的
- 締めの挨拶:「今後とも引き続き、宜しくお願い申し上げます」のような文章
- 結語:「敬具」など
社内向けの文書の場合は、頭語・結語や時候の挨拶などは必要ありません。宛名や差出人名に企業名・個人名を記載する際には、省略せずに正式名称を記載するようにしましょう。
通知書を書く時に注意したいポイント
通知書は企業側の意思を取引先や顧客、従業員などに知らせるためのものです。内容を正確に伝えるためには、いつ、誰が、誰に対して、何を通知する文書であるのか、わかりやすく記述する必要があります。
ここでは、特に注意したいポイントを5つ紹介します。
日付を明記する
日付は、受け取った相手がいつ・どのような通知を受け取ったのかを把握しやすくするうえでも重要です。通知状を作成した日付は忘れずに明記します。
また、会議や催し物などの通知を出す場合には、先方がスケジュールの調整をすることも考えて、日程に余裕をもって出すことを心がけるべきでしょう。
あて先は担当者名まで正確に書く
通知書の内容を伝えたい相手に正確に伝わるようにするには、あて先を詳細に明記することが必要です。
従業員全員が対象であれば「従業員各位」となりますし、特定の部署宛であれば会社名と該当する部署名、個人宛であれば所属部署と氏名を記載します。
用件がひと目でわかるタイトルをつける
タイトルは通知書の内容を簡潔に伝えるものです。従業員への節電要請であれば単なる「従業員へのお願い」とするより「6月からの節電についてのお願い」としたほうが伝わりやすいでしょう。
通知書が届いた時に相手が多忙だったことも視野に入れて、一目でわかるタイトルをつけることがスムーズに伝わるコツでもあります。
本文は簡潔に書く
通知書は誰が読んでも正確に伝わるように書くのが原則です。
回りくどい表現を使うと受け取る側によっては意図しない方向に受け止められてしまう可能性があるため、ときには箇条書きを使うなどして、簡潔な文章を心がけます。
文体は命令口調を避けて「です・ます調」にする
通知書は発行する側の意思を一方的に伝えるもののため、ともすれば威圧的な文章になってしまったり、命令口調になってしまうことがあります。相手が社内であっても社外であっても、丁寧に伝える姿勢が大事です。
文末は「です・ます調」に統一し、高圧的な印象を与えないようにしましょう。
社外向けに使用する主な通知書
社外向けに使用する通知書の内容は、主に取引先へのお知らせや自社の変更についてです。たとえば、契約解除通知書、売買契約解除通知書、新製品発売通知書、支払通知書などがあります。
会社が関わる様々な場面において業務に関する情報を相手方に伝えるため、事実関係に間違いがないように正確な記述が求められます。
また、相手方に一目で内容がわかるように、必要事項を簡潔に記すことが必要です。特に件名は、一目でなんの文書かわかるようにしなければなりません。
契約解除通知書(賃貸契約)
賃貸契約を解除する場合、主に2つの契約が考えられます。
ひとつは社屋を移転する場合。今まで事務所として使用してきたオフィススペースよりもより交通の便の良い場所に、より低価格で事務所が借りられることになったので、従来借りていた事務所の貸主に賃貸借の解約を申し入れる場合などがこれに当たります。
もうひとつは顧客に貸し出している賃貸物件の契約を解除する場合です。あらかじめ取り決めておいた家賃が支払われない場合は、家賃を支払うよう催告したうえで、なお支払いがなされない場合は契約解除を通知することができます。
契約解除通知書(請負契約)
契約した物品が納入されない場合に、取引先に契約の解除を通知するものです。たとえばシステムの構築や自社の製品を完成させるための部品、不動産の建築などがこれに当たります。
請負契約の場合、仕事が完成するまでは発注側が契約を解除できることになっていますが、請負側に過失がなければ報酬の支払い義務が発生するため、契約解除通知書には契約を解除する理由を明記することも大切です。
売買契約解除通知書(買主から)
売買契約によって購入を約束しているにもかかわらず、買主の都合によって購入しないことになった場合に発行します。
売買契約をすると買主が売主に手付金を支払うことになりますが、売買契約を解除する場合、この手付金は買主が放棄することになります。売買契約通知書にも手付金を放棄する旨を記載しておきます。
新製品発売通知書
自社が新商品を発売する際に、お客様に商品の魅力や特徴などを知っていただくための説明会を開催することを知らせるものです。
新商品を購入してもらえるかどうかは説明会がカギを握っているといっても過言ではありません。
新製品発売通知書はその説明会に来ていただくよう促すお知らせなので、どのような商品を発売するのか、商品の魅力をアピールすることも大切です。新製品発売通知書とともに商品のパンフレットを同封することもあります。
また、すでに取引がある相手先のみならず、新たな購入を期待できる新規の顧客にも送付することも多いです。
支払通知書
取引先に売買代金などをこれから支払うことを知らせるものです。通常、納品書を受け取ってから支払通知書を送付し、その後で金融機関などを通して支払いを行います。
支払通知書はかならずしも発行しなければならないわけではありませんが、取引の内容や支払金額などを取引先とともに双方で確認できるため、トラブル回避のためにも有用です。
また、自社の株主に配当金を支払う場合にも、株主に対して発行されます。
社内向けに使用する主な通知書
社内向けに使用する通知書の内容は、制度の変更や、雇用関係がメインです。社内通知文書は、儀礼的色彩の強い社外向けの文書とは異なり、実用本位で簡潔に記載されます。
行事や会議の開催通知、健康診断の実施のお知らせ、人事制度変更のお知らせ、組織、部門の改廃のお知らせなど、社内の業務にかかわる様々な通知文書があります。
雇用にかかわる通知書
人材の雇用にあたっては、さまざまな場面で通知書が使われます。たとえば新たな人材を雇用しようとする場合は、入社試験後に、応募者に採用予定であるのか採用できないのかの結果を伝えなければなりません。
採用することが内定した場合はその旨を通知し、さらにどのような条件で採用しようとしているのかを明確に相手に伝えることが決められています。
また、従業員を解雇する場合でも、会社側の一方的な都合で自由に解雇してよいわけではなく、事前に解雇予定であることを知らせなければなりません。
このように雇用や解雇については法律で厳密に定められているため、いずれの通知書も労働基準法などの法律を遵守した内容であることが求められます。
内定通知書
採用することが内定した求職者に発行します。新卒に限らず、中途採用者に対しても用いられます。
内定通知書は採用通知書と混同しやすいのですが、採用通知書は採用が決定したことを伝えるものです。内定通知書は採用通知より前に承諾書とともに送付され、求職者が承諾書を返送した後に採用通知書を送付するのが一般的です。
労働条件通知書
採用することが決まった求職者に労働条件を知らせる通知書です。「雇入通知書」と呼ばれることもあり、企業が人材を雇用するにあたって発行することが義務付けられています。
通知書には、賃金や契約期間の有無、就業場所、業務内容、勤務時間、休日などを記載します。
労働条件通知書を渡すタイミングは企業によりまちまちで、内定通知書に同封する企業もあれば、入社日に手渡しする企業もありますが、入社前に労働条件を提示するためには内定通知書とともに渡すことがのぞましいでしょう。
不採用通知書
求人募集に応募した求職者を採用できないときに使う通知書です。応募者の期待に応えられない結果を伝えるため、誠意のある書き方が大切です。
まずは応募していただいたことへのお礼を述べ、次に不採用となった旨を伝え、最後に今後の活躍を祈る一文を添えるのが定型となっています。
また、最近では厳密な個人情報の取り扱いが求められるため、不採用通知書とともに応募者の履歴書や職務経歴書を返却するのが一般的になっています。応募者の人数が多く、返却が難しい場合は、責任を持って破棄する文言を付け加えます。
解雇予告通知書
問題社員を解雇する場合や、事業所を閉鎖するためやむを得ず会社都合で従業員を解雇する場合などには、解雇通知書を作成することになります。
解雇にあたっては、労働基準法で少なくとも30日前に解雇の予告をすることが原則と定められているため、この予告の際に解雇予告通知書を渡します。
まとめ
通知書は社内にも社外にも発行する文書です。内容を誤解なく伝えるには、日付や宛先を明記し、簡潔な文章で伝えることが大切です。
基本的な書き方はほぼ定型となっているので、テンプレートを参考にしながら「です・ます調」で丁寧に書くように心がけましょう。