取締役会で使う書類の書き方
取締役会は会社の最高意思決定機関であり、同時にその機関が開催する会議のことを示します。それだけに、その機能を熟知して効率よく機能するように心配りをすることは、会社の機能を直接的にアップさせるものと考えてもいいでしょう。
こう考えれば、取締役会が開催されたときに、議事がスムーズに進行できるように整理された文書が必要不可欠なことはいうまでもありません。
ちなみに、取締役会は非上場企業には義務付けられていませんが、上場企業には会社法によって義務付けられています。近い将来に上場を考えているような会社の場合は、早い段階で設置しておいたほうがいいでしょう。
ここでは取締役会の機能や権限、開催までの進め方、利用できる文書などを紹介していきます。
取締役会の仕事と規程
会社法362条を参照すると、取締役会は以下の職務を行うことを規定しています。「一.取締役会設置会社の業務執行の決定 二.取締役の職務の執行の監督 三.代表取締役の選定及び解職」。代表取締役の選任なども職務のひとつです。なお、取締役会には実際に開催されなくても「書面決議」という手段で職務を果たすこともできると会社法370条で認められています。また委任状の提出も認められています。ただしこれらは、一.定款に定めがあること、二.取締役の全員が同意の意思表示をしていること、三.監査役が異議を述べないことが条件になります。また、相互の意思疎通が即時的に行えるという条件などを整えれば、テレビ会議や電話会議などでの開催も認められています。
取締役会の決議事項
取締役会には専権事項として下記の事項の決定が規定されています。「・重要な財産の処分と譲受 ・多額の借財 ・支配人その他の重要な使用人の選任と解任 ・支店その他の重要な組織の設置、変更、廃止 ・社債を引き受けるものの募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項 ・取締役の職務の執行が法令と定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして会社法施行規則で定める体制の整備・定款の規定に基づく役員等の責任軽減」。難解な条文が並びましたが、要するに、取締役会は会社運営上の最終的な意思決定を行う機関と把握しておけばいいでしょう。
≫(取締役会議事録)招集通知
会議の進め方
会社法では、取締役会は少なくとも三カ月に一度は開催することが義務付けられています。開催を招集する権限は取締役全員が持っていますが、開催するには然るべき手順を踏む必要があります。まず取締役(通常は代表取締役)が会議を「招集通知」を全取締役に配布して招集します。特段出欠を確認しなければいけない規定はありません。また、開催するには取締役の過半数の出席が必要です。この招集通知には招集者名、日時、場所、議決項目を明記しておきます。この場合の議決項目は専権事項に当たるものと考えておけばいいでしょう。ちなみに、会議中に「動議」として議案を緊急提案することも可能ですが、この場合は「動議の賛否を問うた後、賛成多数の場合は動議について検討する」という議会制民主主義の原則に沿った進行が必要になります。通常は招集通知に記載された議題だけを決議すると考えておけばいいでしょう。
≫(取締役会議事録)取締役就任承諾書
取締役会で必要な書類
取締役会で必要になる書類の代表的なものは「招集通知」や「議事録」ですが、議決されたものを文書で残すためには多岐に亘った書類が必要になります。それぞれの書類についてその概略を下記で説明していきましょう。
[招集通知]
取締役会の開催を招集するものです。招集者の氏名、会議の日時、場所、議題を明記して各取締役に配布します。テレビ会議や電話会議の場合にもメールやFAXなどで送付することが必要です。
[議事録]
会議の内容はすべて議事録に記録するのが原則ですが、通常は、会議終了後、議事録を簡潔に要約したものを作成します。内容としては日時、場所、参加者、議決内容を客観的に正確に記載して、後日確認した時に誰が読んでも誤解が起こらないようにまとめることが大切です。
[それ以外の書類]
公開すべきもの、非公開に徹するべきものと種類はいろいろですが、取締役会で議決されたものはすべて文書にして保存するのが原則です。たとえば取締役の就任や辞任、役員報酬の変更など人事に関するものから、本社の移転、支店の新設や廃止、新規事業の承認や既存事業の廃止、内部監査の実行、重要な社内規定の新設など会社運営に必要不可欠な決定まで多岐に亘ります。当然ですが、それに伴う定款の変更なども書類として保存します。このように多岐に亘る書類も『bizocean(ビズオーシャン)』に用意されているテンプレートを活用すれば整頓された書類として残すことが可能です。数多く用意されていますが、項目に合ったテンプレートを探し出してください。ほとんどの場合、文面を変更するだけで利用できます。