株式管理に使える文書の書き方
株式管理は、株式会社であれば対応は必須です。自社が今まで発行している部数、誰がどれだけ所有しているのか、自己株式取得などの株式の取扱い規程など、項目は多数に及びます。
また、株式管理が難しいのは法律や専門知識から来る複雑さにもあります。
ベンチャー企業では、立ち上げたところから社長が一任して管理している場合も多く、適切な管理ができていない場合もあります。営業成績が好調で、会社の売り上げの成長に管理が追い付かないことも多々あります。
このページでは、主に株式管理の方法やそのために使える書類を紹介しています。
株式管理の目的
株式会社の取締役・監査役の選任、増資・減資、合併、解散、重要な資産や営業の譲渡など重要事項は株主総会の専任事項です。この株主総会でその決議を左右するものは株式です。
株式管理の目的は、自社の株が誰にどれだけ保有されているかを知ることで、配当金などの支払先を確定し、株主総会への出席者を確定し、さらに今後の経営戦略、または株主総会の進め方などを考えることに活用することです。
なお、株式を取得してもその株式の発行会社に所有者として記録されない実質株主は、発行会社に対し株主としての権利を行使することはできません。
管理に使える文書
管理の目的を踏まえて、そのために使える書類をいくつか紹介します。
株式取扱規定
事務取扱場所、手続きの方法、名義書換、質権の登録・抹消、信託財産の表示・抹消、届出の方法、共有、再発行、手数料や所管部署を定めるものです。
自己株式取得―株主総会議事録
自己株式を取得する前に、株式の種類、総数、価格の総額を株主総会で定めるものです。
自己株式取得―取締役会議事録
株主総会の自己株式取得決議に基づき取締役会でその取得の方法と取得の期間を具体的に決定するものです。
新株式発行―取締役会議事録
新たに発行する株式の種類、総数、発行価格、払込期日などを定めるものです。
株式分割―取締役会決議
分割の方法、株券の提供期間・場所、新株券の交付などを定めるものです。
株主名簿
誰が、どの種類の株式を何株所有しているか、またその株式の前株主は誰かなどを記録し、配当を受ける者や株主総会招集通知の発送先を明らかにするものです。
他社に任せることはできる?
会社が大きくなるにつれ、株式を自社で管理することが困難になっていきます。その場合、株式の管理を自社に代わって管理する会社があります。
それが、信託銀行といわれる業種になります。信託銀行を使う会社は、株式を一般に公開しているところが多いですが、個人投資家などから出資を受けていて複数の株主の利害が対立しているなどの未公開の会社でも使われています。特にIT、ネット系のベンチャー企業では近年多くみられます。