販管費管理の書き方と書式
商品を直接販売する際にかかった費用や、販売には直接関係ないけれども会社管理にかかった費用を勘定科目ごとに正確に管理し、営業利益を把握することができる販管費管理はとても重要なものです。
正確な経費管理のためにも、本コラムでは販管費管理の使いやすいテンプレートや書き方についてご説明します。
販売費及び一般管理費
損益計算書に記載される販売費及び一般管理費は、会社を経営する上で必要な事業経費のことを表します。一般的に、売上高に関係なく毎月固定的にかかる費用のことをさします。何にどれだけ費用がかかっているのかを詳しく見ることができます。『営業利益』は、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した額として定義されています。
販売費とは
販売費は『販売するためにかかる費用』で、販売活動において直接必要になる費用のことをいいます。営業職の給与、交通費、広告宣伝費、販売促進費、販売手数料等が該当します。
一般管理費とは
一般管理費は『会社を運営・管理するためにかかる費用』で、管理職の報酬、管理部門の給与、事務所家賃、水道光熱費等が該当します。これらの項目が非常に重要で、どれが過大になっているかをチェックすることが大切です。
租税公課について
販管費には、租税公課も含まれます。租税公課には、印紙税、事業税、固定資産税等が含まれます。気をつけなければならないのは、同じ税金でも法人税、法人住民税は利益に対して課税されるものですから、販管費としては計上できないところです。是非覚えておいてください。
ウォーレン・バフェットの教訓
ウォーレン・バフェット氏は史上最強の投資家といわれています。同氏が販売費及び一般管理費に関して次の教訓を呈しています。『販管費は低ければ低いほど永続的競争優位性を持つ。経済界では、粗利益に対する販管費の比率が30%以下なら優良企業とみなされる。』これを簡単にまとめると
- 販管費は少なければ少ないほど良い。
- 販管費は変動が小さく一定して少ない方が良い。
- 粗利益に対する販管費の割合は30%以下が良い。
ということになります。この教訓を意識して販管費管理をすると良いかもしれませんね。
業界別の販管費管理
会社の経営状態を把握するためにも細かく項目を出す必要が出てきますが、業種によって特殊な費用が発生することも少なくないため、記載する項目は業界によっても異なります。今回は、飲食店向けの販管費と建設業向けの販管費を代表にフォーマットをご紹介していきましょう。
飲食店向けの内訳と書き方
飲食店を経営するにあたっては、売上と経費を把握して資金繰りをすることが重要です。特に飲食店を経営する上で2大重要項目とされているのがフードコストとレーバーコスト、つまり食材費と人件費です。一般的にFLコストと呼ばれますが、これが60%-70%以内に収まることが飲食店における健全経営の指標とされています。販売費をしっかり把握しておくことが大切です。販管費の内訳を記録するには、Excelのフォーマットを使用すると集計が取りやすいです。飲食店向けの販管費は、下記項目を参考にしてください。折込チラシの作成や、各種グルメサイトへの掲載費用等の宣伝広告費も多くかかります。
また、看板を取り替える等をした場合は維持修繕費もかかります。お客様が入りやすい店舗作りをするためには清潔さを心がけ、目を惹く外装、コンセプトに合った内装が必要とされるのではないでしょうか。
販管費管理表は、シンプルに科目と金額に分けて記載し、一目でわかる状態にしておきましょう。税務調査が入る際には領収書等の証拠書類と突き合わせて確認がされますので、科目を整理して記載します。
<販売費>
- 販売手数料
- 人件費
- 宣伝広告費
- 保管費
- 旅費交通費(店舗勤務社員)
- 交際費
<一般管理費>
- 旅費交通費(本社勤務社員)
- 交際費
- 消耗品費
- 修繕費
建設業向けの内訳と書き方
建設業の場合は、営業部門の諸経費のほか、工事見積書作成のための設計、測量などの作業が必要となります。それが受注につながれば売上原価として処理されますが、受注が見込めないときは販売費や一般管理費として処理することになります。そのほか、荷造り費として荷造り梱包に要した費用や運搬費等も含まれます。
このように、業種によっても科目が異なりますので、どの費用がどの科目にあたるのかを理解し、また明確にしておく必要があるといえるでしょう。
<販売費>
- 受注前費用
- 販売手数料
- 人件費
- 荷造り費
- 運搬費
- 広告宣伝費
- 見本費
- 保管費
- 旅費交通費(営業職)
- 交際費
<一般管理費>
- 旅費交通費
- 交際費
- 消耗品費
- 修繕費
≫販売管理費管理_01_建設業
≫販売費管理の書式テンプレート
まとめ
会社経営をする上で、正確な経費管理は重要です。販売費及び一般管理費を明確にすることで、経営にあたってどこに経費がかかっているのかを客観視することができます。不要な経費を削れば、例えば仮に経営が傾きかけたとしても立て直すことができるのです。経営数字を見える化し、クリアにしておくことで健全な経営が可能となります。経営数字は見慣れていないと難しく感じるかもしれません。Excelフォーマットを活用して、まずは販売費と一般管理費の経費管理から始めてみては如何でしょうか。