【例文つき】クレーム報告書の書き方と作成時のポイント・注意点を解説!
顧客や取引先からクレームを受けた際に、対応報告や再発防止のために提出を求められるクレーム報告書。
どのような内容にすれば良いのか、悩む人も多いのではないでしょうか。
そこで本コラムでは、クレーム報告書の書き方や、クレーム報告書を作成するときのポイント・注意点などについて解説します。
クレーム報告書とは
クレーム報告書は、顧客からの不満やクレームに対する対応策をまとめた文書です。クレームの経緯や原因の追及、改善策の提案を記載する必要があります。
また、クレーム報告書は、現状の課題や将来の改善点を洗い出し、再発防止につなげることにも効果的です。
社内だけでなく、社外の関係者にもトラブルの内容や対応内容を共有することで、顧客との信頼関係を維持・強化する役割があります。
クレームを受けた際は、迅速に対応し、適切なクレーム報告書の作成・共有をしましょう。
クレーム報告書を書く際のポイント
クレーム報告書は適切に作成しないと、かえって問題が大きくなる可能性があります。意識すべきポイントは以下の4つです。
- クレーム報告は迅速な対応が重要
- 誰に向けての報告書なのかを明確にする
- 客観的に事実を記載する
- 時系列で内容を整理する
クレーム報告書を書く際のポイントを知っておきましょう。
クレーム報告は迅速な対応が重要
クレームを上司に報告するのは勇気がいるもので、あまり気が進みませんよね。それでも、良くないことほど迅速な報告が求められます。
特にクレーム対応に関してはスピードが求められ、時間が経つほど解決が難しくなってしまうこともあります。発生したらすぐに報告を挙げましょう。
誰に向けての報告書なのかを明確にする
クレーム報告書を作成するときには、社内向けなのか社外向けなのか、誰に向けた報告書なのかを明確にしましょう。
社内向けの報告書の場合、クレームの内容や緊急性、どのような対応をしたのかといった情報共有がメインになります。
対して、社外向けの報告書の場合、クレームの内容についての謝罪や調査報告といった内容になるでしょう。読み手に応じて内容をしっかり書き分けることが大切です。
客観的に事実を記載する
クレーム報告書には、客観的に事実を記載するよう心がけましょう。
特に理不尽なクレームだと感情的になりがちですが、冷静に事実だけを記載しないと読み手に内容が伝わりにくくなります。
関係者にヒアリングするなどして事実関係を明らかにしたうえで、感情を入れずに事実のみを書き連ねましょう。
時系列で内容を整理する
クレーム報告書は、問題に適切に対応するためにも、読み手が内容を正しく理解できるように書く必要があります。
誰が見ても状況が把握できるように、いつ何が起きたのか、トラブルの原因は何でどのような対応をしたのかなど、内容を整理して時系列で記載しましょう。
クレーム報告書に記載すべき項目
クレーム報告書に記載すべき主な項目は、以下の5つです。
- クレームの基本情報
- クレーム内容
- クレームの原因
- クレームの処置内容と対応完了日
- 再発防止策
報告書を書く時は、When(いつ)、Where(どこで)、Who(だれが)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)の「5W1H」が大切です。
項目ごとに書き方をみていきましょう。
クレームの基本情報
クレーム報告書の「クレームの基本情報」には、以下の項目が含まれます。
- クレーム受付日
- クレームの担当者名、報告作成者名
- クレーム主の顧客名
- クレーム主の顧客の電話番号
- 問題の発生日時
- 問題の発生場所
発生日時と場所は特に具体的に記載する必要があります。また、顧客の氏名や連絡先も必須事項です。クレーム担当者と報告書作成者が異なる場合は、両者の氏名を明記しましょう。
クレーム内容
クレーム内容の項目では、クレームの経緯や詳細を具体的に説明します。クレーム内容が複雑な場合は、時系列で整理して記載することが読みやすくなるポイントです。
クレーム内容の記載には、事実の客観的な説明が求められます。そのため、顧客からのクレーム内容をそのまま反映せず、関係者からも証拠を集めて事実確認を行うことが重要です。
事実を客観的に確認し、時系列や箇条書きを使って簡潔に記載しましょう。
クレームの原因
クレーム報告書においては、原因を特定することが非常に重要です。顧客だけでなく、社内に伝えるためにもより具体的な記述が求められます。
たとえば「不具合や品質低下によるクレーム」の場合、商品やサービスの欠陥を特定して公表します。
「顧客と企業間の認識のずれによるクレーム」の場合は、顧客が誤解した点を明確にし、内部調査を行って原因を報告しましょう。
<クレーム原因の書き方の例>
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クレームの原因 |
原因の書き方 |
企業側のサービスの質低下が原因のクレーム |
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顧客と企業間の認識のずれが原因のクレーム |
製品Aの操作方法が分かりにくく、顧客が商品を壊してしまった |
弊社製品Aに関する操作説明書の不明慮さによる、顧客の誤操作 |
クレームの原因が特定できていない場合は、「現在調査中」と記載しましょう。
クレームの処置内容と対応完了日
クレーム報告書の目的は事実把握と改善であるため、クレームへの対応内容や改善策も記載する必要があります。
クレームへの対応内容に対応完了日も添えて、時系列で細かに書きましょう。誤った対応があれば改善策を示し、再発防止に努めます。
クレームを放置すると、信頼喪失や大きな問題に発展する可能性があるため、対応とあわせて報告書作成や共有も速やかに行うことが重要です。
再発防止策
クレーム報告書に再発防止策を記載する際は、顧客の心情や期待を理解し、適切な対処法を提案することが重要です。
そのため、顧客が満足できる策は何か、コストと照らし合わせて現実的な策なのかを考える必要があります。具体的な再発防止策が定まらない場合は、上司と相談して決定しましょう。
全社で報告書を共有することで、社員各々が意識し、徹底的に再発防止策を実施することができます。
社外向け報告書の場合、再発防止策を記載しないことがあるので、記載が必要かを作成前に忘れず確認してください。
クレーム報告書のテンプレート
クレーム報告書の作成に手間取っていると、報告までに時間がかかって問題が大きくなるリスクがあります。
そのため、テンプレートを活用して、スピーディーに報告書を作成できるようにするのがおすすめです。
ここでは「苦情処理簿のテンプレート」と「無茶なクレームに対する反論状のテンプレート」を紹介しますので、ぜひクレーム報告書の作成に役立ててください。
苦情処理簿のテンプレート
苦情処理では不良品の返品に伴う代品の発送、サービスの再提供などの方法が考えられます。
処理をするにあたり、その所在を明確にするために必ず苦情処理簿を記録しなければなりません。それに基づいて売上げ戻し処理などを行う必要が出てきます。
記載すべき項目は、苦情内容、原因究明の結果、苦情に対する弁明の内容、改善措置等が挙げられます。文章で経緯をまとめることによって背景が見えてきます。
苦情を受けると早く丸く収めたいと思いがちですが、苦情内容を客観的に見るためにも記録をつけることは重要です。
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無茶なクレームに対する反論状のテンプレートと書き方
クレームの中には、無茶な要求や理不尽な要求もあるため、時には毅然とした態度を取るべきケースもあります。
反論状は、クレームに対して持たれている誤解や認識の違いを解き、正当性を主張し相手に認めさせることが目的です。
ここで大切なのは、不用意に感情的になったり相手を非難したりしないということです。
文面には、受けた苦情の内容、それを受け入れることはできないという意志、その理由、了承頂きたい旨を記載します。
こちらも、できればいきなり送りつけるのではなく、担当者に一報を入れてからの方が良いでしょう。
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クレーム報告書を作成する際の注意点
クレーム報告書を作成する際に、いくつか注意したいことがあります。
速やかな問題解決のためにも、報告書を作成する前にチェックしておきましょう。
十分な事実確認を行う
クレーム報告書を作成するときには、事前に十分な事実確認を行いましょう。
クレームの内容を鵜呑みにして事実に目を向けないと、会社に損害を与えたり、根本的な問題が解決できなくなったりするかもしれません。
反対に、クレームの原因となった担当者の発言だけを信じると、顧客や取引先の怒りが増幅して問題が大きくなる可能性があります。
複数の関係者にヒアリングを実施し、どのような説明があったのか、クレームの内容について客観的に判断できる記録はあるかなど、原因や状況、証拠を洗い出すことが重要です。
クレーム相手の気持ちに寄り添った適正な提案をする
クレーム報告書では、相手の気持ちに寄り添った適正な提案をすることも大切です。
仮に「届いた製品が故障していた」というクレームに対して、代替品を送る提案をしたとします。
対応自体が間違っているわけでありませんが、機械的に処理すると相手が気分を害し、さらなるクレームにつながることもあるのです。
クレームの内容から相手の希望を汲み取り、どう対処すると良いのかを考えて報告書に記載しましょう。
報告書は適切に保管する
作成したクレーム報告書は、適切に保管しておきましょう。
きちんと保管しておけば、追加で対応が必要になったときや内容を振り返りたいときなどに、すぐに確認できます。
紙の報告書だと保管スペースを圧迫するだけでなく、追記や修正にも手間がかかるため、Excelなどを活用してデータで保管するのがおすすめです。
クレームの事例として情報を社内で共有する
クレーム報告書が完成したら、クレームの事例として社内で共有しましょう。
どんなクレームがあったのか、原因は何だったのか、どう対応したのかといった情報を共有しておけば、今後のクレーム対応がスムーズになります。
顧客や取引先がどういった点に不満を抱いているのかがわかれば、製品やサービスの改善にも役立つでしょう。
まとめ
クレーム対応は、出す側も出される側も心理的負担が大きいものです。早く終わらせたい気持ちは募りますが、しっかり向き合う勇気が必要です。
クレーム対応が良ければ、お客様は逆に良い印象を持ってくれることがあります。
不思議なことに、クレームの無い取引よりもクレームが出たあとの対応の素晴らしさの方が、お客様の記憶に残るものなのです。
実際に、クレーム対応の的確さによってお得意様となった事例を、あらゆる企業で耳にします。チャンスを逃せば、そのお客様を永遠に失います。
逆境はチャンスであると捉えて、ポジティブなクレーム対応を心がけていきましょう。