事故報告書の正しい書き方! 失敗しないためのポイントと注意点を解説【テンプレートあり】
通勤中の交通事故や作業現場での事故、製造中の製品破損事故などが発生した際、その状況や経過を詳しく記載した事故報告書を作成することが求められます。
しかし、どのように書けば良いのか分からず、不安に思っている方も多いでしょう。
そこで本コラムでは、事故報告書の具体的な書き方やポイントをわかりやすく解説し、実際に使える例文もご紹介します。これを読めば、正確で分かりやすい事故報告書を作成できるようになります。
すぐに使えるテンプレートもご用意したので、今後のトラブル対応に備えてぜひ参考にしてください。
事故報告書について
ビジネスの基本として「報告・連絡・相談」が不可欠であることはよく言われることですが、中でも情報を的確に伝える報告の重要性は言うまでもありません。
ましてミスやトラブルといった悪い情報ほど、すぐに報告することが上司や取引先から求められます。その意味でも、事故報告書はビジネスにおいて極めて重要な書類であるということが分かります。
事故報告書の作成ポイント
①書き方の基本は5W1H
情報伝達の基本は、5W1Hです。もともとは新聞記事を書く際に言われていたことですが、ビジネスにおいても情報を伝える際のポイントとされます。
すなわち「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」という6つの項目で、起きた事故を整理して報告内容をまとめれば、報告先に分かりやすく事故の概要を伝えることができます。
②時系列に沿って簡潔に記載する
事故状況を時系列に沿って書くことで、事故の原因が推測しやすくなります。要点を整理し、箇条書きや短文で簡潔に記載しましょう。
③事実を正確に伝える
事故の内容は正確に記入することが重要です。言い訳など私情を挟むような表現は避け、客観的な視点で記載しましょう。
正確に伝えることで、事故がどのようにして起きたか、どうやったら防げたかといった再発防止にも繋がります。
④原因が不明の場合は「調査中」とする
報告時点で事故の原因がまだ判明していない場合は、憶測で書かずに「調査中」とそのまま記載しましょう。
前述のとおり、事故報告書では事実を正確に伝える必要があります。正確なことがわかっていないのに、無理に記載する必要はありません。
事故報告書の書き方
それでは、事故報告書の具体的な書き方について見ていきましょう。
事故の内容について
どんな事故が発生したのかを伝えるために、日時・発生場所・状況など、今回の事故の内容を正確に記載します。
【例文】
- 〇年〇月〇日 〇〇時頃 施設利用者の〇〇さんに、誤って別の施設利用者の薬を飲ませてしまった
- 〇年〇月〇日 夜間 〇〇自動車道〇〇IC付近で、前方を走っていた乗用車に衝突する事故を起こした
事故が発生した原因
なぜ今回の事故が発生したのか、原因を具体的に記載します。事故の原因が分かっていない場合は、「調査中」と書いておきましょう。
【例文】
- 〇〇さんと別の施設利用者の苗字が同じで、薬を取り違えてしまった
- 疲れを感じていたが、到着予定時刻に遅れそうだったため休憩を取らなかった結果、居眠りしてしまった
事故の発生状況(時系列)
事故が発生するまでの状況を記載します。間の行動が抜けると、事故が起こるまでの状況がわかりにくくなるため、間が抜けないよう時系列で記載しましょう。
【例文】
- 〇年〇月〇日 〇〇時頃 〇〇社に製品納品のため社を出発
- 同日 〇〇時頃 〇〇SAで休憩を取る予定だったが、時間が押していたため休憩を取らずに〇〇SAを通り過ぎた
- 同日 〇〇時頃 〇〇自動車道〇〇IC付近で疲れから居眠り運転をしてしまい、前方を走っていた乗用車に衝突した
実際の被害状況
ここでは、怪我の状態や物品の破損など、よりくわしい被害状況を記載します。治療や修理にかかる期間・費用が判明している場合は、その情報も書いておきましょう。
【例文】
- 衝突により社有車のフロントバンパーとヘッドライトが破損
- 自身は衝突時の衝撃で頚椎を捻挫。全治2か月前後と診断を受ける
- 相手方に健康被害はなし。自動車はリアバンパー・ブレーキランプ等が破損したとのこと
事故についての対応策
すでに対応した内容、またはこれから対応する内容についてくわしく記載します。
【例文】
- 社有車は破損箇所の修理中
- 自身の怪我は現在治療中
- 相手方の自動車の修理等については、相手方と現在交渉中
今後の再発防止策
同じような事故を起こさないための、再発防止策について記載します。自分が心がけることを書くのも大切ですが、設備や機材、動線などに問題がある場合は、その対応策についても記載しましょう。
【例文】
- 到着予定時刻に間に合わないかもと焦ることがないように、もっと時間に余裕をもって出発する
- 疲れを感じたら無理をせず休憩を取る
事故についての反省
今回発生した事故について振り返り、自分の反省点について記載します。
【例文】
今回の事故が起きたのは、移動時間の見積もりが甘く、時間に余裕がなくなってしまったことが原因です。事故を起こした結果、〇〇社様への納品も間に合わなくなり、各方面に多大なるご迷惑をおかけしてしまいました。
今後は移動時間を入念にシミュレーションし、無理のないスケジュールで納品できるよう心がけるとともに、安全運転を徹底したいと思います。
シーン別事故報告書の例文
交通事故報告書について
社有車を使って業務に従事しているときに、交通事故を起こしてしまった場合に作成するのが交通事故報告書です。
相手に原因がある場合にも、この書式に記入して会社に報告します。
交通事故報告書には、まず「報告年月日、報告の相手先、報告者の所属・氏名」を記載します。報告内容には、以下のような内容を記載しましょう。
- 交通事故の発生日時
- 発生場所
- 事故の種類
- 車両を使用していた理由
- 事故の相手方の氏名・職業
- 事故の状況
- 相手方及び当方の損害の程度、負傷の程度
- 事故の原因
- 損害保険会社に連絡したかどうか
- 事故処理の内容 など
上記について記載したら、最後に事故に対する反省を記載して報告書を締めくくります。
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通勤途中の事故について
自宅から会社への通勤途中、もしくは会社から自宅への帰宅途中に事故に遭遇した場合は、厳密に言えば業務上の災害ではありません。
ですが全く私的な状況とも言えないため、業務上における災害と同様、業務上の災害に準じて労災保険が適用されます。
通勤途上災害発生報告書には、報告日とともに、報告する事故に遭った者の以下の情報を記載します。
- 所属・氏名
- 性別
- 生年月日
- 住所
- 電話番号 など
次に事故の内容として、以下のような情報を記載しましょう。
- 災害が発生した年月日及び時刻
- 災害発生の場所
- 災害発生日の就業場所 など
就業場所は通勤途上災害になるか否かの判定に極めて重要です。災害発生の日に、住居または就業場所を離れた時刻を記載します。
次いで事故に遭った者の傷病の状態を記載します。
- 怪我をした身体の部位と傷病名
- 傷病の程度
- 受診した医療機関の名称・所在地・電話番号
最後に以下の情報について記載します。
- 通常の通勤経路と方法
- 所要時間
- 災害発生日に住居または就業場所から災害発生場所に至った経路と方法、所要時間 など
これらの情報は、通常の通勤経路において事故に遭遇したのかどうかの判定に利用されます。
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労災事故について
労災とは労働災害の略で、労働者が業務の遂行上、事故にあって負傷した場合等を言います。これには通勤途上で事故にあって負傷した場合も、労災事故と認定される範囲に含まれます。
労災事故報告書には、以下の情報を記載します。
- 会社名
- 労災事故の発生年月日と発生時間
- 被災者の氏名・性別・生年月日・現住所・職種
- 処置をした病院名と所在地
次いで以下の情報も記載しましょう。
- 傷病の程度
- 休業の見込期間
- 災害発生状況及び原因
- 事故を現認した者の氏名・役職
まとめ
事故報告書というのは、ミスやトラブルを報告するものですから、報告するには心的な抵抗があります。
一方で、内容はわかりやすく正確に記入しなければなりません。そのためさまざまな場合の事故報告書のフォーマットを整備し、かつ、何を記入すれば良いのか一目で分かるものにしておく必要があります。
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