申告書の書き方は? 扶養控除・確定申告・自己申告書などさまざまなケース別に解説
申告書を作成する際に「何を書けばよいのか」「どのように記入すればいいのか」と迷うことはありませんか?
申告書は、法律に基づいて事実を報告する重要な文書です。また、自己申告書や通勤経路申告書など、社内で使用する申告書も多く存在します。
本記事では、さまざまな申告書の基本的な書き方や必要な項目について詳しくご紹介します。すぐに使えるテンプレートもご用意したので、ぜひ参考にしてください。
税金関連の申告書について
日本国憲法で『納税』は、国民の義務として定められています。社会生活をしていく上でさまざまなものに税金が課されており、それらを適正に納めるためにも申告書は重要な役割を担っています。
消費税やたばこ税などは購入と同時に税金も徴収されますが、こちらから申告をして手続をしなければならないものも多くあります。本人が気づいていなかったとしても、申告漏れがあると脱税となってしまう場合がありますので注意が必要です。
また、虚偽の申告も違法です。追加徴税やその他罰則が課されることもあります。
扶養控除等(異動)申告書について
給与所得者が、その給与についての扶養控除や、配偶者控除等の各種控除を受けるために申告を行います。
扶養控除等(異動)申告書は、個人住民税の給与所得者の扶養親族申告書と統合した書式になっています。平成28年以降、マイナンバー制度運用開始に伴い、この申告書にも個人番号を付記することが義務付けられます。
扶養控除等(異動)申告書は、給与支払者、つまり所属する会社を通して税務署長及び市区町村長へ提出されます。
提出時期は、毎年最初の給与を受ける日の前日までに、給与支払者に提出しなければならないことになっています。例え扶養親族が1人もいないとしても、提出する必要があります。一般的にはこれらの書類で行う源泉徴収の調整のことを『年末調整』といいます。
扶養控除等(異動)申告書のフォーマットと書き方
申告書フォーマットは給与支払者から配布されるほか、国税庁ホームページよりPDF形式にてダウンロードすることもできます。会社によってはシステム化され、必要箇所の入力で自動生成される場合もありますので、会社の指示に従いましょう。
申請書に書く項目ですが、大きく分けて本人の情報を書く欄と、扶養者の情報を書く欄があります。家族がいたとしても、控除基準に該当していなければ書く必要はありません。本人情報として、氏名・生年月日・住所・勤務先・配偶者の有無・世帯主氏名・マイナンバー・勤務先を記載し捺印します。
扶養家族がいる場合は、当該家族の氏名・生年月日・マイナンバー・翌年の見込所得額を記載します。見込所得額は、見込年収から給与所得控除額(最低65万円)を引いた金額となりますので注意しましょう。
なお、配偶者控除は合計所得金額が38万円を超える場合は該当とはなりません。
≫平成28年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
確定申告について
本来しなければならない申告を、会社が手続をしてくれるものが上記扶養控除等(異動)申告書であるのに対して、フリーランスで働いている人や自営業の人が自分で手続をしなければならないものが確定申告です。
確定申告は、1年の所得を税務署に提出して、その年の所得税を確定させるものです。税金を納める目的のほか、納めすぎた税金を返還してもらう意味合いもあります。
確定申告は毎年2月中旬~3月中旬頃にかけて申告期間が設けられます。自営業の人だけではなく会社に所属するサラリーマンでも、確定申告をしなければならない場合があります。それは、年間収入が2,000万円を超える人、年間20万円以上の副収入がある人、2箇所以上で働いている人等が挙げられます。
確定申告をする際の注意点
確定申告の義務が無い場合でも、申告をすることで得をする人もいます。また、適切な申告で節税につながる場合もありますので、面倒がらずに申告をするようにしましょう。
年間医療費が10万円を超える人や、生命保険に加入している人も、一定額まで控除を受けることができます。確定申告を忘れてしまった場合には、故意でなくともペナルティが課され、重い追加徴税をされることがありますので注意してください。
所得税及び復興特別所得税の確定申告書(申告書B)のフォーマットと書き方
所得税及び復興特別所得税の確定申告は、申告書Bとも呼ばれ、所得の種類に関わらず誰でも使用できます。復興特別所得税は、東日本大震災からの復興を目的とした施策を実施するために、必要な財源を確保するために創設されました。
申告書に記載すべき項目は大きく分けて6つあります。
- 基本情報(住所・氏名等)
- 収入金額等・所得金額
- 控除額
- 税金の計算
- その他・延納の届出
- 還付される税金の受け取り場所(振込先口座等)
社内で使用する申告書について
社内でも、申告書の提出を求められるシーンはよくあります。
キャリア開発を目的として提出する自己申告書や、交通費を支給してもらうために提出する通勤経路申告書等があります。自己申告書をベースに上司と面談をし、今後のキャリアを展望する人事制度を設けている企業も多いのではないでしょうか。
通勤経路申告書を元に経路の確認がなされ、認められればその区間の交通費がもらえます。駐輪場代も支給される場合がありますので忘れずに記載しましょう。
自己申告書のフォーマットと書き方
自己申告書は、エクセルフォーマットが便利です。
記載すべき項目は、本人情報、取得した資格、健康状態、職場についての所感、職務内容についての所感、自己評価等です。さらに役職者の場合は役職者用として、掌握人数やマネジメントに関する項目も追加すると良いでしょう。
自己申告書を書くことで本人の現在の状態や、長所、短所、仕事に対するモチベーション等も浮かび上がってきます。個人情報ですから、取り扱いには注意が必要です。
≫自己申告書02(一般用)
通勤経路申告書のフォーマットと書き方
通勤経路申告書も、エクセルフォーマットが便利です。記載すべき項目は、現住所、経路開始日、交通機関名、利用区間(路線)、所要時間、定期代、運賃等です。
なお、会社に交通費の支給基準がある場合は、kmごとに計算される場合もあります。最寄り駅から自宅まで、自宅から会社の最寄り駅まで、会社の最寄り駅から会社までそれぞれ何kmあるかを算出しなければならない場合もあります。そんなときはWEB交通案内を利用すると良いでしょう。
フォーマットには、地図を記載する欄が設けられている場合もあります。手書きでなくてもWEBから地図を印刷して貼り付けることで対応できます。
≫通勤経路申告書03
まとめ
記載項目が多くあまり書く機会の無い申告書は、書くのが難しく感じます。添付しなければならない書類もあると混乱してしまいそうですが、書くのは自分のことです。
フォーマットを分割して考えれば、それほど難しくはありません。書くことが多く見えて、実は自分で記入する箇所はそんなに無いこともあります。
それでも一度や二度書いただけではなかなか慣れないものです。一度書類を作成したら、コピーを保存しておくと良いでしょう。また次に書くときの参考にできるので、手間が省けます。手間がかかる申告書作成ですが、フォーマットを上手に利用しながら完成させてください。