熨斗(のし)の正しい書き方とマナー解説
慶事の贈答品の飾りに用いられる熨斗(のし)。
一般的には結婚や出産・入学・卒業といった、フォーマルなお祝い事の際に目にする機会があります。
熨斗とは飾りだけのことを指し、熨斗・用紙・水引の全てをあわせたものは、熨斗紙(のしがみ)と言います。
ここでは熨斗の役割や利用シーン、熨斗紙の正しい書き方、お祝いの際のマナーをまとめて解説。印刷してそのまま使える、熨斗紙テンプレートもご紹介します。
熨斗(のし)とは何か?
熨斗(のし)とは何かご存じでしょうか?
熨斗(のし)とは、水引の右上に描かれている小さな飾り(絵)のことを指します。
近年は印刷された紙を掛けるのが主流なため、「熨斗紙(のしがみ)」を指す言葉として使用されている方を多く見受けられますが、本来はその意味は異なります。
古くから縁起物とされている干しアワビ(のしあわび)が贈り物として添えられるようになったことが起源となっており、それが簡略化されて現在の見た目になりました。
どのような場合に必要?
熨斗(のし)は、贈り物に必ずしも必要というわけではありません。
しかし、一般的なマナーとしてフォーマルな贈り物の際に使用します。
下記の例を参考にしてみてください。
<例>
【不要】(友人同士の)誕生日ギフト、クリスマスギフト 等
→使用しても問題ありませんが、のしでは堅苦しい印象を与えるケースもあります。
贈答内容や相手の好みに応じて使い分けましょう。
【必要】結婚祝い、出産祝い、還暦祝い、お中元、お歳暮、就職祝い、(お世話になった方や目上の人の)誕生日祝い 等
→熨斗(のし)=縁起物なので、慶事にのみ使用します。
熨斗紙(のしがみ)の構成
次に、熨斗紙(のしがみ)の各名称について説明します。
①熨斗(のし)
冒頭でも述べた通り、熨斗(のし)は干しアワビが起源となっており、生ものの象徴でした。
したがって、熨斗(のし)を貼ることで「生ものを添えました」という意味になるため、贈り物自体が生もの(肉・鮮魚・果物など)の場合には、お祝いの印が二重にならないよう、熨斗(のし)は不要です。
食品が贈られることの多いお中元やお歳暮の際は注意しましょう。
また、熨斗(のし)=縁起物なので、弔辞の場合は熨斗(のし)を使用してはいけません。
水引のみが印刷された「掛け紙(かけがみ)」と呼ばれる物を使用しましょう。
②水引
熨斗紙(のしがみ)の中央にある紅白の紐を水引と言います。
結び方や紐の本数によって意味が変わるので覚えておきましょう。
では、主な水引の種類を説明します。
1.蝶結び(花結び)
もっともよく見られるのが蝶結びです。「花結び」とも呼ばれます。
蝶結びは「何度も結び直すことができる」ことから、出産などの各種お祝い、お中元やお歳暮など「何度あっても喜ばしい」お祝い事や贈り物に使用します。
2.結び切り(本結び)
結び目の先が上を向いているものが結び切りです。「本結び」とも呼ばれます。
一度結ぶと簡単にほどけないようになっていることから「今後繰り返さないように」という意味があり、弔事や一度きりで良い婚礼などに使用します。
3.あわじ結び
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結び切りの両端が輪になるよう固く結んだものが、あわじ結びです。
結び切りと同様に簡単にほどけないようになっていることから「人生に一度きりでありますように」という願いが込められ、「二度と繰り返すべきでない」弔事の他祝い事で広く使用されています。
水引の本数
慶事は、奇数本数(3本・5本・7本)が使用され、一般的には「5本」が基本とされています。
弔事は、偶数本数(2本・4本・6本)が使用され、一般的には「4本」が基本とされています。
また「10本結び」というのもあり、奇数の5本を倍にしてより豪華に、という考え方から特に婚礼関係で使用されています。
【参考】
≫【七本結切・鮑結び(あわじ/あわび)の意味と結び方】
≫【十本結切・鮑結び(あわじ/あわび)の意味と結び方】
③表書き
表書きとは、水引の上側中央の位置に「贈り物の用途」を記載することです。
例として、一般的なお祝いであれば「御祝」、結婚祝いであれば「御結婚御祝」などが挙げられます。
ここでも注意が必要なのが、慶事や一般的なお祝いの場合は黒墨、弔事の場合は薄墨、といったように目的で筆色が分かれています。間違えないように気を付けましょう。
④名入れ
名入れとは、水引の下側中央の位置に「贈り主」を記載することです。
連名の場合は、中央から左へ向かって年長者などの上位者から順番に記載します。
ただ連名の人数は3名までとし、4名以上の連名になると、代表者を中央に記入した後に左下に「他一同」や「有志一同」と記載します。そして、関係者全員の名前が書かれた別紙を封入します。
⑤熨斗紙(のしがみ)
熨斗(のし)・用紙・水引の全てをあわせたものを、熨斗紙(のしがみ)と言います。
熨斗紙(のしがみ)の掛け方には2種類あります。
内熨斗(うちのし)
品物に直接掛け紙をかけ、包装紙で包むことを言います。
お渡しする時に表書きが見えないため、主に内祝いの場合に使用されています。
また、宅配便で贈る際は、熨斗紙(のしがみ)が傷つかないように内熨斗(うちのし)が適切です。
外熨斗(そとのし)
品物を包装紙で包んだ後に掛け紙をかけることを言います。
お渡しする時に表書きがすぐに確認できるため、結婚や出産祝いなどで外熨斗(そとのし)がよく使用されています。