分かりやすい収支計画表の作り方
収支計画は、事業を行ううえで重要なものの一つです。
事業を軌道に乗せるのにどれくらいの期間が必要で、どれくらいの費用が必要であるかを提示するために利用します。
このコラムでは、さまざまな収支計画に関する企画書のテンプレートについてご説明します。
収支計画とは
事業を展開するにも資金がなければ何もできません。収支計画とは、収入と支出、借入と返済などの関係を長期的に予測することです。できるだけ詳細にシュミレーションしていきます。事業開始当初は予測が難しいところもありますが、年数を経れば実績も増えて予測がしやすくなるでしょう。
支出の予測と収入の予測が大切
収支計画を立てるには、支出の予測と収入の予測を正確にしなければなりません。この予測に誤算が生じると、事業展開に必要な経費の支払いや、提供する商品やサービスの創造ができなくなってしまうこともあります。収支予測は精度の高さが求められるため、信頼できる推計方法を用いる必要があります。
収支計画の立て方
具体的に収支計画はどのように立てれば良いのでしょうか?長く事業を続けていくためには、利益を確保しなければなりません。ロジックを簡単に言うと『支出を減らすより多い収入を得ること』ですが、必要経費は減らすことはできませんよね。そうなると、より多くの利益を生み出さなければならないことになります。収入予測を正確にするためにも、機関から公表されている経営指標を参考にしながら、売上高を算出すると良いでしょう。業種別に予測手法の例を挙げてみます。
業種別の例
①サービス業
顧客数×1件あたりの単価
②飲食業
客単価×客席×回転率
③小売業
売上高(売場面積1㎥あたり)×売場面積
収支計画で注意すること
機関から公表されている経営指標ですが、立地条件や地域性によっても数値は異なります。必要以上に過信せず、同業者や類似業種の実績を調査することも必要です。また、同業者でも扱う商品に特色がある場合や、営業時間が異なる場合などにも注意が必要です。そのため自ら情報を収集し相場を調べに行くことも大切なのです。経営環境や業界事情、事業の設備能力や競合状況など、さまざまな背景を考慮した上で収支を予測しましょう。
収支計画の書き方
今後3年間の事業を通してどのくらいの利益が見込めるか、仕入、売上、経費を含め金融機関に説明するための計画書が収支計画書です。これは、融資を得るためにも重要なアピール材料になります。利益は返済能力と密接に関係してくるからです。収支計画書は損益計算書の書き方に似ていますが、実際の利益ではなく『今後の予測』を書くのが収支計画書です。収支計画の書き方を4つのステップで見ていきましょう。
書き方4ステップ
1.見込み経常利益を算出する
経常利益は、売上から税金以外を差し引いた利益のことをいいます。経常利益を多く見積もりすぎると金融機関には逆に不信感を与えることもあります。先を見通した現実的な利益を見込みましょう。現実的な数値とは、だいたい借入希望額の2分の1ほどが相場であるといわれています。
2.見込み年間売上・経費を算出する
日本政策金融公庫から、業種別に売上予測の目安が出されています。このデータを参考に1年の見込み売上・経費を算出しても良いですし、過去の経験を参考に設定しても良いでしょう。なお、経費は固定費と変動費に分かれますが、固定費の数字から固めていくようにします。
3.毎月の収支計画を作成する
年間の収支計画を立てたら、毎月の収支計画に落とします。固定費に関しては12等分すれば良いので簡単ですね。しかし、仕入や売上は12等分すれば良いというわけではありません。年間を通した伸び率の反映が重要となります。事業開始当初売上はあまり上がらなくても、軌道に乗ってからの伸びで年間予測が達成できることが理想です。
4.税金を引いて当期純利益を算出する
経常利益から税金を引いたものが当期純利益です。法人税(所得税)、住民税、事業税併せて40%ほどの税金を支払っていくことになります。この4つのステップを踏んで具体的な収支計画を書いていきましょう。
エクセルを使った収支計画書
数字の管理にはエクセルフォーマットが便利です。事業ドメインごとに月次の収支計画が書き込めるようになっています。複数のブロックに分かれた構成になっているため、仕入・売上・経費と分けて作成できます。
グラフを使った収支計画書
収支計画書を企画書に入れ込む場合は、パワーポイントのフォーマットが便利です。事業が軌道に乗るまでどのくらいの期間と費用が必要であるか、可視化できるグラフがあると外部の人にも分かりやすい資料となります。グラフの下には売上・費用・営業利益・営業利益率などを明記できる表がついています。必要項目に合わせてカスタマイズして利用してください。
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≫収支計画の書式テンプレート
まとめ
事業を展開するにあたっては、収支計画の作成は必須となります。融資申請の際にも重要なアピールポイントになります。予測段階で大幅に数値が狂ってしまうと、その後の事業運営にも影響してしまいます。仕入・売上・経費の3点を考慮し、業界の動向や背景を調査しながら精度の高い収支計画書を作成しましょう。テンプレートはサンプルフォーマットとしてご活用ください。