喪中はがきのマナーと書き方、例文
喪中はがきとは、その年に家族に不幸があったときに遠方の親戚、知人、年賀状を送ってくださる方に「家族の不幸で年賀状は遠慮させていただきます」と事前連絡で送るものです。
このコラムでは、喪中はがきに関する書式について解説します。
喪中はがきのマナー
喪中とは、近親者の死を悲しむ者が過ごす『喪』『忌』の儀礼状態に自分があることを示す言葉です。最近は宗教儀礼としての意味よりも、故人を失ったことの悲しみや故人への愛情・感謝の気持ちを表す意味合いが強くなっています。喪中はがきのマナーは家族の考えや地域、宗教によっても異なります。今回は、一般的な風習として考えられているマナーをご紹介していきます。
喪中はがきを出す時期
喪中はがきは年賀欠礼の挨拶ですから、新年の挨拶をする前年の年内に届けば良いとされています。しかしながら、喪中はがきを受け取った側も年賀状を送らない風習が確立されています。そのため、相手が年賀状の準備をする前に届くように出すのがマナーです。具体的には、11月中旬~12月中旬までの間と考えて良いでしょう。
どの親族までを喪中とするのか
喪中はがきを出す際に迷うのが、どの親族までを喪中とするのかということではないでしょうか。一般的には、2親等の親族までを喪中とする考え方が多いようです。2親等でも、祖父母や、姻族の兄弟姉妹、義理の兄弟姉妹については喪中としない人が増えてきています。故人との間柄や付き合いの深さによって判断しましょう。それでも迷う場合は、年長者に相談することをおすすめします。
喪中はがきを出す範囲
喪中はがきは年賀欠礼の挨拶ですから、毎年年賀状を交換している人に出します。しかし、喪中であることを改めて知らせる必要のない親戚には、出さない場合が多いようです。また、個々の考え方にもよりますが、職場関係者や仲の良い友人には、例年どおり年賀状を出す人も増えてきています。
喪中はがき作成のポイント・書き方
最近は、印刷済みの市販のものや、インターネット業者などに依頼する人も多くなっています。ですが、ポイントを押さえていれば簡単に自作することができます。喪中はがきを作成するときに押さえておきたい4つのポイントをご紹介しましょう。
- 故人の名前と続柄を書く。(夫婦連名の場合は、夫から見た続柄を書くこと)
- 『年賀』は使わない。『年始』『年頭』を使うこと。
- 『拝啓』『敬具』などの頭語や結語は使わない。
- 近況報告などは書かない。
使用するはがきや切手について
はがきは官製はがきでも私製はがきでも問題はありません。一般的には普通のはがきではなく、切手の絵柄部分に胡蝶蘭が描かれている官製はがきが、喪中はがきとしてよく使われます。また私製はがきを使用する場合は弔事用の切手を貼りましょう。
フォントについて
喪中はがきに用いるフォントに決まりはありませんが、特殊な書体やポップなフォントは避けましょう。一般的に使われているのは行書体や明朝体です。その他シンプルなゴシック体であれば失礼にはならないでしょう。
本文や宛名は薄墨にするべきか
不祝儀には薄墨を用いることが定着しつつあります。今はパソコンプリントでも薄墨印刷設定ができるものが多数あります。しかし、喪中はがきの場合、葬儀から日にちが経過していることが多いため、必ずしも薄墨で書く必要はないようです。そのため、不安な場合は薄墨で書いておくと良いのではないでしょうか。
絵柄の意味
喪中はがきには花の絵が描かれています。この絵柄ですが、どの花を載せてもいいわけでないのです。例えば、ひまわりやチューリップなど元気で明るいイメージのある花は、喪中はがきにはふさわしくありません。喪中はがきの絵柄としてよく使われるのは、蓮の花です。仏教では、蓮の花は仏陀の誕生とともに咲いたといわれています。善を積んだ仏教徒が亡くなるとき、蓮のつぼみに包まれて天に昇るといわれており、清らかな人生に例えられます。このようなことから、喪中はがきには蓮の絵柄が多く使われるのです。
その他にも、喪中はがきで多く使われる花の絵柄と意味をご紹介しておきましょう。
- 椿:完全なる愛
- 菊:洗浄
- 百合:純潔
- 水仙:神秘
- 桔梗:誠実
- 野菊:清爽
なお、弔事にふさわしくないとされる花でも、生前故人が好きだった花であれば、載せてもかまいません。むしろ喜んでくれることでしょう。
喪中はがきの構成と書き方
喪中はがきは、3つの要素で構成されます。
①喪中であることを知らせる
喪中であるため、新年の挨拶を遠慮する旨の文章を書きます。
②喪中であることの説明
誰がいつ、何歳で亡くなったのかを書きます。
③結びの挨拶
生前お世話になったお礼や、挨拶、相手の健勝を祈る文章を書きます。
喪中はがきの文例①
喪中につき年末年始のご挨拶ご遠慮申し上げます
本年○月に母○○(享年八十五歳)が永眠いたしました
ここに本年中に賜りましたご厚情を深謝いたします
なお、時節柄一層のご自愛の程お祈り申し上げます
平成○○年○○月
喪中はがきの文例②
喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
祖父○○が九月二十八日に八十八歳で永眠いたしました
本年中に皆様より賜りましたご厚情を深謝いたします
時節柄くれぐれもご自愛の程お祈り申し上げます
平成二十五年十二月
≫【薄墨】すずらんの喪中はがき(モノクロ)
≫「喪中はがき・喪中挨拶状」の書式テンプレート
喪中はがきをもらったら・・・
喪中はがきをもらった相手に、年賀状を出すことは控えましょう。代わりに、1月7日以降に寒中見舞いを送ります。また、生前お世話になっていたにも関わらず、亡くなったことを知らなかった場合には、喪中見舞いを送っても良いでしょう。『心ばかりではございますが、○○様の大好きだったお花を送らせていただきます。どうぞお供えいただければ幸いと存じます。』と一言添えて、お花やお線香、お菓子などを送ると良いでしょう。
返信は必要か
喪中はがきは年賀欠礼の挨拶であるため、必ず返信が必要なわけではありません。返信をしなくても失礼にはあたりません。付き合いや関係の度合いによって、返信をするかどうか、また喪中見舞いを送るかどうかを決めましょう。
年賀状投函後に届いた場合
年賀状を投函してしまったあとに喪中はがきが届いたら、お悔やみとお詫びの手紙を出します。しかしながら、厳密には喪中はがきの意味は、出す側が『年始の挨拶を遠慮する』ことであって、受け取る分には問題はないのです。そのため、特に何もしなくて良いという見解もあります。ただし、どうしても気になる方は、一言お詫びを入れておいても間違いはないでしょう。
まとめ
喪中はがきは、近親者を亡くした人が、新年のご挨拶である年賀を遠慮するために送るものです。最近では、宗教儀礼的な意味合いではなく、故人を失ったことの悲しみや故人への愛情・感謝の気持ちを表す意味合いが強くなっています。年賀状は、送る側も受け取る側もマナーを守って送りたいですね。