経費精算書の書き方は? 記載する項目と注意点を解説【テンプレートあり】
立て替えた経費を精算する際に提出を求められることがある「経費精算書」。不備がないように正確に書かないと承認してもらえず、最悪の場合は立て替えた経費が戻ってこないこともあります。
本コラムでは、経費精算書に関する書き方や記入例について解説します。立て替えた経費がきちんと戻ってくるように、経費精算書の正しい書き方を把握しておきましょう。
すぐに使えるテンプレートも用意したのでぜひ参考にしてください。
経費精算書とは
経費精算書とは、立て替えていた経費を払い戻してもらうための申請書のようなものです。必要事項を記入して上司や経理担当者に提出し、承認されれば立て替えた経費が戻ってきます。
経費精算書の種類
会社によっては、経費の用途に応じて、複数の経費精算書を使い分けていることがあります。
- 出張旅費精算書:出張の際に立て替えた交通費や宿泊費などを清算するための書類
- 交通費精算書:営業などで近距離移動の際に立て替えた交通費を清算するための書類
- 仮払経費申請書:経費を仮払いした際に、仮払い金と実際にかかった経費の差額を清算するための書類
仮払いとは、必要となるであろう金額を見積もり、事前に従業員に経費を渡すことです。仮払いされた経費が余った場合は、仮払経費申請書を提出して残金を返却します。
仮払いされた経費が不足し、一部立替払いした場合は、仮払経費申請書を提出すれば払い戻してもらえます。
経費精算書の添付書類
経費精算書を提出する際には、何にいくら使ったのかを証明するために、領収書やレシートを添付する必要があります。領収書やレシートがないと経費精算書を承認してもらえないため、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。
ただし、電車代やバス代などの、領収書やレシートが発行されない経費を立て替えた場合は、領収書やレシートの添付は不要とされるのが一般的です。
旅費・交通費、出張に関わる経費などは別途申請書を用意している会社もあるため、経費精算の社内規定を確認しておきましょう。
経費精算書の書き方
実際に経費精算書をどのように書くのか、経費精算書に記載する項目や、記入の流れについてご紹介していきます。
経費精算に記載する項目
経費精算書に書くべき項目は以下の通りです。
- 所属部署と氏名
- 社員番号
- 申請日
- 経費を立て替えた日付
- 立て替えた経費の金額
- 支払先と支払い理由
企業は基本的に専用の経費精算書の用意があるため、経理部や人事部に確認して経費精算書を手に入れます。
まず経費精算書の先頭には、経費精算者の氏名、所属部署、連絡先、社員番号などの個人情報を記入し、経費精算書の申請日も明記しておきましょう。
次に立て替えた費用の詳細を記載します。たとえば、交通費、食事代、通信費といった経理上の勘定科目項目ごとに分類して書くことが一般的です。さらに、支払った日付、使用した用途などを具体的に記入します。
そして最後に各項目の総合計金額を算出し、経費精算書と一緒に立て替えた費用を証明するための領収書を添付して、提出の準備は完了です。
経費精算記入の流れ
経費精算の方法は会社によって少し異なります。規模の小さな会社では小口現金の用意があるかもしれませんが、規模が大きい場合は、たいていの会社が振込みの形をとっています。
どちらの場合も経費精算の流れとしては大きな違いはありません。
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2.経費精算書作成(社員)
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3.承認(上司)
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4.支払処理(経理)
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5.振込みもしくは現金払いでの受け取り(社員)
従業員が業務に関連する経費の支払いを立て替えた場合、経費精算の記入が必要になります。たとえば、出張旅費や会議費など、業務活動に直接関係する経費などが挙げられます。
まず、立て替えた際に受け取った領収書を元に、経費精算書を作成します。このとき、添付する領収書に日付や詳細が記載されているか確認しておきましょう。
つづいて、作成した経費精算書を上司に提出します。無事上司に承認された後、経費精算書が経理担当者に提出されます。
経費精算書を受理した経理担当者によって、払い戻しの会計処理が行われることで、最終的に立て替えた人に返金されるようになっています。
経費精算で注意すべきこと
経費をスムーズに清算してもらうには、不備がないように経費精算書を作成する必要があります。そのために気をつけたいポイントを3つご紹介します。
領収書をなくさない
経費精算書を作成する際に気をつけなければならないことのひとつが、「領収書をなくさない」ということです。
領収書は経費を立て替えた証拠となるものであり、監査が入ったときにも厳しくチェックされます。バス代など領収書が発行されない経費以外は、領収書がないと経費精算書を受け付けてもらえません。
レシートタイプの領収書は、時間が経つごとに印字が消失しやすくなる傾向にあるため、日に当たらない場所や、クリアファイルなどに挟み、空気に触れないように保管しましょう。
なるべく早く精算する
立替経費が発生したら、なるべく早く精算するようにしましょう。会社には決算があり、基本的にその期にかかった費用は期中に精算しなければなりません。
そのため、たとえば1年も前の経費を申請しても、精算してもらえない可能性が高いのです。会社によっては、給与締めごとに精算期限が設けていることもあるので、自社の経費精算の期限を調べておきましょう。
公私混同しない
どんなものでも会社の経費になるわけではありません。たとえば私用で使うものは会社の経費にはできませんので注意してください。少額であれ、業務上横領の罪に問われることもあります。
清算までに時間がかかる点に注意する
経費精算書を提出すれば、立て替えた経費がすぐに戻ってくるとは限りません。多くの会社が経費精算の期限を1ヶ月程度に設定しているためです。
また、経費精算書提出後、現金ですぐに清算されることもありますが、翌月の給与と一緒に振り込まれることもあります。どのタイミングで立て替えた経費が戻ってくるのかを確認しておきましょう。
経費精算書の例文・テンプレート
必要に応じて備考を記入し、上司、経理部からの押印も忘れずに依頼しましょう。
経費精算のよくある疑問
経費精算書を作成する際に、「領収書がない」など困ったことが起こることがあるでしょう。そのような場合にどう対処すれば良いのか、経費精算のよくある疑問に回答します。
経費として認められるものは何?
経費精算書で清算できるのは、以下のような業務を遂行するために立て替えた費用のみです。
- 通信費:書類を発送するために支払った切手やレターパック代など
- 接待交際費:取引先との食事会にかかった費用など
- 消耗品費:業務で使用する文房具を購入した費用など
- 旅費交通費:出張の際の交通費・宿泊費や近距離移動のバス代など
- 仕入れ費用:仕入れた商品や原材料の価格や配送料、包装費など
- 広告宣伝費:商品やサービスの宣伝、広告、販促活動にかかった費用など
- 地代家賃:事業所や店舗、駐車場などを借りた場合などにかかった家賃や管理費など
- 水道光熱費:事業所で使用する水道や電気、ガス料金など
- 減価償却費:社用車やパソコン、プリンターといった固定資産にかかった費用のうち、全額をその年の費用として勘定するのではなく、耐用年数に応じて配分し、相当する金額分だけを費用に計上する
- 租税公課:事業税、事業所税、固定資産税、自動車税、印鑑証明の発行手数料といった、事業する上で必要となる税金や費用など
注意したいのが、上記に該当する費用でも、すべてが経費として認められるわけではないことです。
たとえば取引先との打合せの後に、取引先の担当者と昼食をとったなどの場合、業務に必要とはいえないため経費と認められません。何が経費として認められるのか、社内の経費の規定をよく確認しておきましょう。
領収書がないときはどうする?
経費を精算するには基本的に領収書が必要ですが、電車やバスの交通費や、慶弔見舞金など、領収書がない経費も存在します。
このような経費を清算する場合は領収書が不要となっている会社が多いですが、出金伝票を作成するよう求められる会社もあります。出金伝票には日付・金額・項目(区間)・費目などを書きましょう。
とはいえ、出金伝票は自己申告で書くものであり、領収書やレシートと比べると信憑性が低いため、証拠書類と認められないことがあります。
出金伝票は領収書がない場合の代替的な処置にはなりうるものの、できるだけ祝儀・香典のコピー、式典の招待状、取引先慶弔届、納品書、各種明細など、証拠書類を残しておくよう心がけましょう。
領収書の但し書きは必要?
領収書の但し書きを書いてもらうのが面倒で、「品代」で済ませている人もいるのではないでしょうか。
しかし、領収書の但し書きが「品代」になっていると、本当に業務に必要なものだったのかが確認できないため、経費精算書を承認してもらえないことがあります。
「文房具代」「飲食代」など、何に使った費用なのかがわかるように、但し書きを書いてもらいましょう。
領収書の宛名は「上様」で良い?
但し書きと同様に、領収書の宛名を伝えるのが面倒で、「上様(うえさま)」で済ませている人もいるでしょう。
しかし、宛名が「上様」になっている領収書は、税務調査の際に厳しくチェックされることがあるため、社内規定で「上様」を禁止していることがあります。
なるべく宛名を「上様」にするのは避けて、正しく書いてもらったほうが良いでしょう。
まとめ
経費を立て替えた場合、経費精算書を提出すれば経費が払い戻されます。しかし、経費精算書の内容や添付書類に不備があると、経費精算書が承認してもらえません。
経費精算書の正しい書き方や添付書類を理解して、不備がないように作成しましょう。経費精算書の書式は会社側が用意しているのが一般的ですが、書式がない場合はテンプレートを活用するのがおすすめです。