社会保険に関する手続きや書き方・記入例
社会保険とは、社会全体の負担により給付が行われる保険のことです。
雇用保険・健康保険・厚生年金保険は労働条件により加入の有無が異なりますが、労働者災害補償保険は、基本的にすべての雇用主が加入を義務づけられています。
このコラムでは、社会保険や社会保険に関する書類の書き方について解説します。
社会保険とは
入社と同時に加入する社会保険、毎月高い保険料が引かれているけど、実はどんなシステムなのかよくわかっていないという人も多いのではないでしょうか。健康保険、厚生年金、介護保険のことをまとめて社会保険といいます。社会保険料は会社が半分負担し、毎月の給与から保険料が天引きされます。自分で選択して入る保険とは異なるもので、条件にあてはまる人は加入意志に関わらず加入することが義務づけられています。さらに社会保険を広い意味でとらえると、雇用保険、労災保険も加わります。
社会保険の加入条件
会社に所属すると加入することが義務づけられる社会保険ですが、加入できないもしくは加入しなくてもよい人もいます。社会保険の加入条件を見てみましょう。
<健康保険・介護保険に加入できない人>
- 後期高齢者医療の被保険者(75歳以上の社員など)
- 臨時従業員として2ヶ月以内の期間を定めて雇用される社員
※介護保険は健康保険とセットになっており、40歳になった月から自動的に加入することになります。
<厚生年金に加入できない人>
- 70歳以上の社員
- 臨時従業員として2ヶ月以内の期間を定めて雇用される社員
<社会保険に加入しなくてもよい人>
- 1ヶ月の所定労働時間及び所定労働日数が正社員のおおむね4分の3未満の社員
パートやアルバイトの社会保険適用拡大について
パートやアルバイト社員であっても、条件を満たせば社会保険への加入対象となります。しかしながら、社会保険に加入せず扶養家族でいるままのほうがお得なケースもあります。その場合は勤務時間を調整するなどして、社会保険加入対象外のまま働く人も多いようです。さらに2016年10月から加入対象が広がり、社会保険の適用が拡大されました。それまでは週30時間以上働く人が加入の対象でしたが、今は従業員501人以上の企業で週20時間以上働く人などに対象が広がっています。
社会保険料の計算のしかた
社会保険料の計算の基準になるのが『標準報酬月額』です。これは、報酬月額を等級で表して、保険料を決めるための基準の報酬月額となります。職種によって、毎月残業手当などの支給額が一定でない給与の人もいますので、ある一定期間の報酬の平均金額を出すことで、標準報酬月額を決定します。一般的には年度初めの4月~6月の3ヶ月間の平均をその年の標準報酬月額として算出することが多いようです。この標準報酬月額に保険料率を掛けて社会保険料を算出しますが、自治体や業種によって保険料率は異なります。各都道府県の保険料額表を確認してください。
≫社会保険料試算
社会保険に関する書類の書き方
社会保険関連書類は、入社時・退職時・引越しをしたときや結婚したときなどに書かなければならない書類がたくさんあります。ざっと挙げただけでも下記のような申請書があり、必要に応じて届出をしなければなりません。今回は、任意継続被保険者資格取得申出書、健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届について詳しく見てみましょう。
<社会保険関連届出>
- 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
- 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届
- 健康保険被扶養者(異動)届
- 健康保険・厚生年金保険 被保険者氏名変更(訂正)届
- 健康保険・厚生年金保険 被保険者生年月日訂正届(処理票)
- 厚生年金保険被保険者住所変更届
- 被保険者報酬月額変更届
- 健康保険・厚生年金保険 事業所関係変更(訂正)届(処理票)
- 健康保険・厚生年金保険 適用事業所 所在地・名称 変更(訂正)届(管轄内)
- 健康保険被保険者証 滅失・き損 再交付申請書
- 年金手帳再交付申請書
- 健康保険 被保険者・家族 療養費支給申請書(立替払等、治療用具、生血)
- 健康保険傷病手当金支給申請書
- 健康保険 被保険者・被扶養者・世帯合算 高額療養費支給申請書(入院・通院)
- 健康保険出産手当金支給申請書
- 健康保険 被保険者・家族 出産育児一時金支給申請書
- 健康保険 被保険者・家族 出産育児一時金支給申請書(事前申請用)
- 健康保険 被保険者・家族 埋葬料(費)支給申請書
- 健康保険 任意継続被保険者 資格取得申出書
- 健康保険 任意継続被保険者 資格喪失届
- 健康保険 任意継続被保険者 被扶養者(異動)届
- 健康保険 任意継続被保険者 資格取得申出・保険料納付遅延理由申出書
- 健康保険 任意継続被保険者 氏名・住所・性別・生年月日・電話番号 変更(訂正)届
- 健康保険 被保険者証 再交付申請書
- 健康保険 高齢受給者証 再交付申請書
- 健康保険 特定疾病 療養受療証交付申請書
- 健康保険限度額適用認定申請書
- 健康保険 限度額適用・標準負担額滅額認定申請書
任意継続手続きに必要な書類の書き方・例
会社を退職した後、健康保険は3つの選択肢から継続が可能です。健康保険任意継続、国民健康保険、家族の健康保険(被扶養者)の中から任意継続を選択したときに、任意継続被保険者資格取得申出書を書くことになります。要件として資格喪失年月日の前日までに、継続して2ヶ月以上被保険者期間があることが挙げられます。扶養者がいる場合は被扶養者の認定を受ける必要があります。
<記入例>
- 前職で使用していた被保険者証の発行都道府県名
- 前職で使用していた被保険者証の記号番号
- 生年月日
- 氏名/捺印
- 性別
- 住所/電話番号
- 前職の勤務先名/所在地
- 資格喪失年月日
- 保険料納付方法
- 被扶養者名/生年月日/性別/続柄/職業/年間年収/同居別居の別
被保険者の住所変更に必要な書類の書き方・例
被保険者が住所変更した場合、事業主は速やかに届出をしなければなりません。そのとき日本年金機構に提出しなければならない書類が健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届です。この届出を忘れてしまうと『ねんきん定期便』や老齢年金の裁定請求書が届かなくなってしまいますので注意してください。
<記入例>
- 事業所整理番号
- 被保険者整理番号
- 年金手帳の基礎年金番号
- 被保険者氏名
- 生年月日
- 変更後住所
- 変更前住所
- 変更年月日
- 被扶養配偶者の年金手帳基礎番号/生年月日/住所/住所変更年月日/配偶者氏名/旧住所
≫健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届(国民年金第3号被保険者住所変更届)(社会保険庁版)
まとめ
社会保険とは、社会全体の負担により給付が行われる保険のことをいい、健康保険、厚生年金、介護保険がこれにあたります。会社に所属すると加入することが義務づけられる社会保険ですが、加入ができない人、加入しなくてもよい人もいます。また、扶養家族として認められれば、扶養家族が何人いても扶養者のみの健康保険料で保険が受けられます。2016年10月から加入対象が広がり社会保険の適用が拡大されました。社会保険関連書類はかなりたくさんの種類がありますので、必要に応じてテンプレートを参考にしてください。