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雇用保険被保険者資格喪失届とは? 記入方法と提出の流れを解説

雇用保険被保険者資格喪失届とは? 記入方法と提出の流れを解説

社員が退職する際には、さまざまな手続きが発生します。そのなかでも重要なのが、雇用保険の資格喪失に関する手続きです。

この手続きが遅れると、退職する社員が失業保険(雇用保険の基本手当)を受給するのが遅くなったり、新しい会社での雇用保険資格取得手続きができなかったりすることにつながります。

そうならないためにも、雇用保険被保険者資格喪失届についておさらいしていきましょう。



雇用保険被保険者資格喪失届とは

雇用保険被保険者資格喪失届とは、雇っている社員が退職してその会社の雇用保険の被保険者でなくなった際に、会社(事業主)がハローワークに提出する書類です。この「被保険者でなくなる」ことを喪失といいます。退職以外にも社員が死亡した時や所定労働時間が週20時間未満に減少した時、法人の役員などに昇格した時(労働者性を持つ兼務役員として残ったときを除く)などでも提出が必要な場合があります。いずれにせよ、雇用保険被保険者資格喪失届はその社員を雇っていた会社(事業主)が、所轄のハローワークへ提出しなければなりません。

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雇用保険被保険者資格喪失届を提出するまでの流れ

雇用保険被保険者資格喪失届を提出するには、下記の情報を集める必要があります。

・資格喪失日
一般的には退職日ですが、次の場合は注意が必要です。
社員の死亡時:死亡した日付を記載
取締役への昇格時:昇格の前日の日付を記載
週20時間未満の雇用契約に変更時:変更の前日の日付を記載
・資格喪失者の情報
氏名、生年月日、住所、個人番号(マイナンバー)、1週間の所定労働時間などが必要です。
・被保険者でなくなったことの原因
一般的には退職理由となります。それ以外の理由としては、死亡や役員への昇格などがあるでしょう。
・雇用保険被保険者番号
すべての雇用保険被保険者(または被保険者であった者)は被保険者番号を持っています。基礎年金番号や個人番号(マイナンバー)とは異なる番号なので、間違えないよう注意しましょう。
・離職票が必要かどうか
離職票とは、離職した人が失業保険(雇用保険の基本手当など)を受給する際に必要になる書類です。記載内容は原則として、離職日以前12か月間の出勤情報(賃金の支払い基礎となる日数)、離職日以前6か月間の賃金額、離職者の個人情報、離職理由となります。会社が雇用保険被保険者資格喪失届を提出する際に、上記の情報を記載した離職証明書を一緒に添付。ハローワークで内容を確認した後に公共職業安定所長の印が押され、離職票として会社宛てに交付されます。会社はこの離職票を速やかに離職者本人に渡す義務があります。

雇用保険被保険者資格喪失届は被保険者資格を喪失した翌日から10日以内に届け出をしなければなりません。この期限は雇用保険法で定められており、届け出を怠った場合の罰則もありえます。

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雇用保険被保険者資格喪失届の書き方

それでは具体的な書き方について実際の雇用保険資格届を見ながら確認していきましょう。

雇用保険被保険者資格喪失届

1.個人番号
離職者の個人番号(マイナンバー)を記載します。ただし、入社時に登録した場合は記載不要とされています。本人が個人番号(マイナンバー)を教えるのを拒む場合は「本人事由によりマイナンバー届け出不可」と欄外に記載します。
2.被保険者番号
離職者本人の雇用保険被保険者番号を記載します。
3.事業所番号
雇用保険の適用事業所番号を記載します。
4.資格取得年月日
雇用保険の資格取得年月日を記載します。
5.離職等年月日
離職した日を記載します。間違えやすいところですが離職した当日を記載します。社会保険の資格喪失日は離職日の翌日ですので間違って記入されることが多い箇所です。
6.喪失原因
「1、離職以外の理由」「2、3以外の離職」「3、事業主の都合による離職」の3つの選択肢があります。「1、離職以外の理由」の場合は被保険者の死亡などが当てはまります。「2、3以外の離職」の場合は、転職希望・家庭の事情など一般的な自己都合による退職、契約期間満了、懲戒解雇などが当てはまり、ほとんどの事情が2となるでしょう。「3、事業主の都合による離職」の場合、解雇や退職勧奨が3に当たります。この事業主の都合による離職者が発生すると、一定期間、会社が雇い入れに関する雇用関係助成金がもらえないなどの不利益があります。
7.離職票交付希望
退職者本人から離職票の交付希望があるときは1、ないときは2と記載します。1と記載した場合は離職証明書の添付が必要です。
8.1週間の所定労働時間
退職時の所定労働時間を記載します。
9.補充採用の予定
なしの場合は空白、有りの場合は1と記入します。

14.から18.の欄は退職者が外国人の場合のみ記載します。この項目への記載で外国人の雇用状況報告も兼ねることとなります。

19.被保険者氏名
20.性別
21.生年月日
22.被保険者の住所
23.事業所名称
25.被保険者でなくなったことの原因 転職希望や病気のため、解雇など詳細に記入します。

※24.の「氏名等変更年月日」は記載不要です。

記載するところが多くて大変に思えるかもしれません。しかし、雇用保険資格取得時にハローワークから交付された資格喪失届を使用する場合は、氏名や被保険者番号、適用事業所番号などはあらかじめ印字されているため、記入箇所が少なくなっています。また、資格取得時に交付された用紙を使用する場合、記入箇所の順番が変わっていますが、記入する内容に変わりはありません。

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雇用保険被保険者資格喪失届を提出する際の注意点

雇用保険被保険者資格喪失届提出時の添付書類

退職者本人から離職票の交付希望がなく、資格喪失届を単独で提出する場合の添付書類は特に不要です。離職票の交付希望があり、離職証明書の添付が必要な場合は原則として下記の添付書類が必要となります。

・離職証明書に記載した賃金支払基礎日数が分かる間の出勤簿またはタイムカード
離職した日から1年間の出勤状況を確認するので、12か月分必要になります。ただし、賃金支払基礎日数が11日未満の月は出勤した月とみなされません。よって、その月の分は追加で出勤簿を持参する必要があります。
・離職証明書に記載した賃金額が分かる賃金台帳
離職した日から6か月分の賃金台帳が必要になります。ただし、最後の賃金支払対象期間が1か月に満たないとき(例えば賃金の締め日が月末の会社で20日退職したとき)は、6か月より前の月分も必要になります。
・離職した理由が分かる書類
自己都合の場合は退職届、雇用契約期間満了の場合は雇用契約書、解雇の場合は解雇通知書、懲戒解雇の場合は懲罰委員会議事録、定年の場合は定年が分かる部分の就業規則の写しなどが必要です。

雇用保険被保険者資格喪失届提出時の提出先

雇用保険被保険者資格喪失届の提出方法としては下記3つの方法があります。

・所轄ハローワーク窓口での提出
その場で記載の指導や確認を受けることができて、即日発行されます。ただし、受付時間が令和2年1月から変更となり、朝8時30分から16時までと短縮されたので、注意しましょう。
・郵送
窓口の受付時間に間に合わない場合、郵送でも受け付けてもらえます。ただし、窓口が優先とされるため受付処理は遅くなります。個人番号を含む書類のやり取りが発生するため簡易書留やレターパックなどを使って郵送しましょう。また、返信用封筒(記録郵便分の郵便切手が貼っているもの)の同封も必要です。
・電子申請
近年、電子政府の総合窓口「e-Gov」の電子申請システムや各種専門ソフト(API連携ソフト)からも手続きが可能となりました。被保険者資格の喪失にかかわる、離職票の交付・喪失届提出後の離職票交付申請、期間など証明票などの交付もオンラインで申請可能です。直接ハローワーク窓口に行かなくても良いため、忙しい方にはおすすめの方法となります。ただし、各種の添付書類や入力内容がそのままデータ化されるため入力ミスはないようにしましょう(令和2年4月1日より資本金1億円以上の大企業は、電子申請での手続きが原則となりました)。

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まとめ

雇用保険の資格喪失手続きは、退職者本人の失業保険(雇用保険の基本手当)の手続きに影響するため、重要な手続きと言えます。また、離職票は退職したことの証明書として国民年金保険料の免除手続きや国民健康保険への切り替え手続き、配偶者の健康保険への扶養追加手続きなどにも使うことがあります。退職者と退職後も良好な関係を保つためにも、他のさまざまな退職手続きとともに円滑な手続きを心掛けたいところです。

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