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取締役会とは?開催の意義と一連の流れを解説

取締役会とは?開催の意義と一連の流れを解説

株式会社の運営において、「取締役会」は必要不可欠なものです。

会社法の改定で必ずしも設置する必要はなくなりましたが、会社の方針や意思決定を行う上では依然として大きな役割を持っており、特に上場企業の場合は設置が義務付けられています。

取締役会を開催することに、どんな意義があるのでしょうか。今回は取締役会の役割や、開催にあたっての一連の流れなどについて解説していきます。


取締役会とは?

取締役会とは、株主総会で任命を受けた取締役全員が集まって、株式会社の業務執行の意思決定を行う機関です。
会社法第331条第5項にて、『取締役会設置会社においては、取締役は、三人以上でなければならない』と規定されているとおり、取締役は3人以上が必要で、そのうち1人は代表取締役に選任されて社長に就任します。また、公開会社(株式譲渡制限をしていない会社)の場合、同時に監査役または会計参与の設置も必要です。
なお、2005年の会社法改正によって取締役会の設置は任意となったため、未上場企業では取締役会を設置していない場合も多く見受けられます。ただし、上場した会社や監査役会を置く監査役会設置会社の場合は必ず取締役会を設置しなければなりません。

取締役会の書式テンプレート

取締役会の役割

取締役会の役割は会社法第362条第2項において以下のように定められています。

  1. 取締役会設置会社の業務執行の決定
  2. 取締役の職務の執行の監督
  3. 代表取締役の選定及び解職

それぞれ1つずつ具体的に見ていきましょう。

取締役会設置会社の業務執行の決定

取締役会の一番大きな役割として、株主総会で決定された決議以外の会社の経営方針や業務遂行の意思決定を行わなければなりません。具体的な意思決定の内容は、会社法362条第4項において以下のように示されています。

① 重要な財産の処分及び譲り受け
② 多額の借財
③ 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
④ 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
⑤ 社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
⑥ 内部統制システムの構築に関する決定
⑦ 定款の定めに基づく取締役会決議による役員及び会計検査人の会社に対する責任(426条1項、423条1項)の免除

上記以外においても、株式の分割、自己株式の取得株数と価格等の決定、株主総会の招集などのその他会社における重要な決議事項は取締役会を経て決定されなければなりません。

取締役の職務の執行の監督

取締役の職務の執行の監督とは、各々の取締役が自ら決定した意思決定に基づき適正な業務が行われているか管理することを指します。取締役会は会社の重要な事項を決定する機関であると同時に、会社の業務執行権限を持つ代表取締役や業務執行取締役を監視する義務が課せられるのです。

代表取締役の選定及び解職

取締役会設置会社の場合、代表取締役の選任は取締役会の決議によって行うことが会社法第362条第3項に記載されています。また同時に、選任された代表取締役が不適格だった場合は、取締役会の決議によって解任も可能です。

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取締役会を設置するメリットとは?

前段で解説しているとおり、会社法の改正によって上場しないのであれば必ずしも取締役会を設置する義務はありません。それでも取締役会の設置するメリットとはなんでしょうか。
まず、挙げられるのが会社の意思決定のスピードを早められるという点です。取締役会で決議される会社方針に関わる議題は、本来株主総会を開き、株主の意向を踏まえた上で決められなければなりません。しかし、すべての議題を株主総会で決めようとすると時間がかかるため、どうしても方針策定まで身動きが取れなくなってしまいます。つまり、取締役会を開催することで会社の機動力を高めて迅速な業務遂行が可能となるわけです。また、会社の信用度の担保という点もメリットに挙げられます。取締役会が設置されている会社は対外的に見て信用度が高い会社だと言えるため、ビジネス上の取り引きや資金繰りの面においても優位に働くことでしょう。
ただし、取締役会を設置することによる手間はどうしても覚悟しなければなりません。原則として3人以上の取締役と監査役または会計参与が必要となるため、その分の役員報酬を用意する必要があります。その他にも、取締役会設置会社は、株主総会を招集するにあたって計算書類や監査報告書を添付しなければなりません。株主が少ない中小企業ならば取締役会を設置するメリットは薄いと言えるでしょう。

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取締役会の開催の流れ

取締役会の招集から実施までの流れは、おおまかに以下のとおりとなります。

① 各取締役・監査役へ招集の通知
② 取締役会の開催
③ 議事録の作成

取締役会は、基本的に取締役であればどなたでも招集しますが、定款や取締役会等で招集する取締役を決めている場合は、その決められた取締役が招集を行います。招集の連絡方法に特に決まりはなく、書面やメールなどで取締役会の日の1週間前までに招集通知を発します。

取締役会の開催時期

取締役会を開催時期は特に規定されていません。ただし、会社法363条2項によって取締役は3ヵ月に1回、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告する義務が課せられているため、年に4回は必ず開催しなければいけません。

議事録の必要性について

取締役会を開催した場合、会社法第369条第3項にて議事録を作成することが義務付けられています。議事録には原則として以下の事項を記載しなければなりません。

  • 日時・場所(その他の場所から出席した役員がいる場合の出席方法を含む)
  • 特別取締役による取締役会(法373条2項)であるときは、その旨
  • 取締役以外の者の請求等により招集されたものであるときは、その旨
  • 議事の経過の内容
  • 結果特別利害関係取締役がいるときは、その取締役の氏名
  • 監査役、会計参与等が取締役会において述べた意見・発言
  • 出席した執行役、会計参与、会計監査人、株主の氏名・名称
  • 議長がいるときは、議長の氏名
  • 取締役会決議があったものとみなされた事項の内容
  • 取締役会への報告を要しないものとされた事項の内容
  • 取締役会への報告を要しないものとされた、日議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

なお、取締役会議事録の書き方と例文は下記の記事でも紹介しています。合わせて確認しておくようにしましょう。

【取締役会議事録の書き方と例文】

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まとめ

取締役会はスムーズな意思決定と信用性を担保できる意味では、会社の経営を行う上で非常に重要な役割を担っています。もし、自身の会社の上場を考えている場合は設置が必須となるため、あらかじめ登記変更手続きの準備なども必要になってくるでしょう。しかし、3ヶ月に1度の開催義務や取締役と監査役の設置など、設置に伴う負担も増すため、家族経営や従業員が少ない中小企業においては設置するメリットが薄いと言えます。自身の会社に取締役会を設置するかどうか将来方針も見据えながら熟慮しましょう。

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