社員に始末書を書かせるのは可能? 会社が強制できるのか
何らかの行為に対して、会社から始末書を書くように求められた場合、社員は必ず始末書を書かなければいけないのでしょうか。
結論、始末書の作成は強制的ではありません。しかし、拒否したからといって、その行為への処分が無くなるわけではないのです。
本記事では、始末書の作成を求められる5つのケース、書くことを拒否した場合にとられる2つの処分などについて解説します。
始末書の作成を会社から求められた方は、ぜひ参考にしてください。
会社が社員に始末書を書かせることは可能?
会社は、社員が仕事上の不始末や違反行為をした際の処分として「始末書」の提出を求めることが可能です。
始末書は、従業員の違反行為やミスに対して責任の所在を明らかにした上で、その内容や原因、背景を正確に記述し、再発防止策を提示するものです。
また、始末書によって当人が自身の行動を見つめ直し、反省を促すという意味も併せ持ちます。
始末書を書かせることができる場合とは
会社が行う処分には、違反行為や不始末の内容・度合いに応じて、「けん責」「減給」「懲戒解雇」といった措置が含まれます。
始末書は、そうした処分の一環として提出を求めるケースがあります。
始末書を書かせる処分について、対象となる行為や要因は、次のとおりです。
- 正当な理由のない無断欠勤・遅刻が繰り返される
- 会社の資産の窃盗や横領
- 仕事上の過失により、取引先や社内に損害を与えた場合
- 他の従業員へのハラスメント行為
- 就業規則や雇用契約に対する違反行為
これらの事象が発生した場合に、始末書の提出を求めることができます。
始末書は社員に強制できるか
結論、始末書の提出を社員に強制することはできません。強制してしまうと、会社が個人に対して謝罪や反省を強いることになり、個人の意思の自由の侵害にあたるためです。
それゆえ、社員が提出を拒否した場合、強制的に書かせることはできません。
社員が始末書の提出を拒否した際には、後述する対応を検討しましょう。
始末書を提出しない場合の対処
始末書の提出を当人が拒否した場合、懲戒処分を新たに科すことは二重処罰に該当するため、拒否に対する処分はできません。
二重処罰とは、一つの違反行為につき、処分は一度しか認められないという原則です。
例えば、けん責処分として始末書の提出を求めたあとに、さらなる処分を与えることは二重処罰に当たります。
従って、始末書を提出しない場合、次のような手段で対処する必要があります。
- 顛末書の提出を求める
- 人事評価に反映する
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
顛末書の提出を求める
顛末書(てんまつしょ)とは、従業員のミスや問題行動に関して、事実関係を説明する文書のことです。
先述の始末書とは異なり、謝罪を強制するものではありません。
そのため、従業員に顛末書の提出を求めることは、事実関係の報告を目的としているため可能となります。
人事評価に反映する
始末書の提出を拒否したという事実は、人事配置や昇進などにおける評価材料として、考慮されることが認められています。
さらに、提出拒否の事実を記録として残すことで、今後同様の違反行為やミスが起きた場合に、処分がより厳しくなる可能性も考えられます。
まとめ
会社は、社員に対して始末書を無理に書かせることはできません。
しかし、書くことを拒否すれば、顛末書の提出を求められたり、人事評価に影響したりしてしまいます。
そのため、自身が行った行為が、始末書の提出を求められる5つのケースに当てはまる場合は、始末書を書いたほうが無難と言えるでしょう。
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