賃貸借契約書を自分で作るには? メリット・デメリットも解説
賃貸借契約書は私文書の一種であるため、自分で作成することも可能です。自分で作成することで、コストの節約になるなど、オーナー側にとって大きなメリットがあります。
ただし、作成内容によっては、オーナー側が不利になってしまったり、トラブルに発展したりするケースも考えられます。
そこで本記事では、賃貸借契約書に記載すべき8つの必須項目と、その詳細、自分で作成するメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
自主管理の賃貸オーナーの方は、是非ご参考ください。
賃貸借契約書は自分で作成できる?
自分で賃貸借契約書を作成することは可能です。賃貸借契約書は私文書の一種であるため、作成自体に特別な資格は要りません。
自主管理の賃貸オーナーや管理会社を利用していない場合、賃貸借契約書の作成は自身で行う必要があります。
ただし、オーナー側に不利な条件になったり、契約者の誤解を招いたりしないように、正確な知識を持った上で、適切に作成することが重要です。
賃貸借契約書に必要な項目
賃貸借契約書を自身で作成する際に掲載が必要な項目は、次のとおりです。
- 貸し出す物件の情報
- 契約期間
- 使用目的
- 費用について
- 物件管理者の情報
- 入居者の情報
- 解約について
- 特約事項
いずれも不可欠な内容なので、一つずつ詳しく見ていきましょう。
貸し出す物件の情報
契約書に、貸し出す物件の詳細を記載します。
物件名・所在地・建物の構造や設備・床面積などの情報を記載することで、契約対象となる物件を具体的に特定できます。
契約期間
契約書には、契約の期間を明確に記載することが必要です。
一般に、賃貸契約は2年が標準的ですが、契約期間は当事者間の合意に基づいて、調整される場合もあります。
使用目的
物件の使用目的を明記します。
特に企業へ物件を貸す場合、使用目的を詳細に記載します。例えば「店舗」「事務所」「倉庫」「住宅兼事務所」など、実務に沿った具体的な記載が必要です。
契約書に記載した使用目的以外の使い方をした際は、契約違反とみなされます。
費用について
費用に関する次のような事柄を、詳細に記載することも重要です。
- 賃料
- 共益費
- 手数料
- 光熱費
- 賃料滞納時の遅延損害金など
金額のほか、支払期日・支払方法も合わせて定めます。
さらに、契約違反や賃料延滞時に支払いを負担する「連帯保証人」の情報も明記します。金銭に関する取り決めは、トラブルの原因となりやすいです。
特に、自身で契約書を作成する際には、賃料の未収といった問題が発生するリスクがあるため、必ず記しておくとよいでしょう。
物件管理者の情報
物件管理者や貸主の情報を、契約書に明記します。
管理者の名称もしくは氏名、住所、連絡先などの情報は、物件に関する問題が起きたときや緊急時の連絡先として役立ちます。
入居者の情報
入居者の情報を記載します。
契約者の氏名と連絡先を明記した上で、同居者がいる場合には、同居人の情報も必要に応じて記載が必要です。
当人の氏名や、契約者本人との関係性も示しましょう。
なお、契約書に記載した入居者以外の同居は、契約違反となる場合があります。
解約について
入居者が退去する際の通知方法や、通知する期限について合意します。
同様に、オーナー側が契約を解除する場合も、通知方法や期限を取り決めます。
通常、入居者は退去の意向を1ヶ月前までに、オーナー側は契約解除を6ヶ月前までに通知するケースが一般的です。
なお、これらの期間は契約当事者間の合意事項であり、上記と異なる期間が設けられることもあります。
特約事項
一般的な取り決め以外の特約事項についても、契約書に記載できます。
典型的な事例としては、ゴミ出しのルールや退去時のクリーニング費用に関する規定など、補足的な内容が含まれます。
また、迷惑行為・騒音などの禁止事項や、隣人への配慮、日常生活での実務ルールも決めておくと良いです。
こうした特約事項により、契約当事者間の予期せぬトラブルを防ぎ、円滑な入居や賃貸管理が可能となるでしょう。
自分で作った場合のメリットとデメリット
ここからは、賃貸借契約書を自分で作成した場合のメリット・デメリットについて説明します。
双方を正しく理解した上で、賃貸借契約書を準備しましょう。
メリット
まずは、自作のメリットを2点挙げますので、参考にしてください。
コストがかからない
自身で賃貸借契約書を作成することで、外部に依頼するコストがかかりません。
通常、管理会社を介入させると、サービス(契約関連・定期点検・修繕・入居者募集など)に対する報酬として、家賃の約5〜10%がかかりますが、自己管理を選択することでこれらのコストを節約できます。
契約内容を理解しやすい
契約書を自ら作成することで、契約内容を明確に理解することができます。管理会社が仲介した場合、契約内容が多岐に渡ると、全体を把握するのも大変です。
契約条件・規定といった契約内容の把握によって、違反行為が生じた場合でも速やかな対処が可能です。
また、将来的なトラブルを避ける上でも非常に役立ちます。
デメリット
上述のメリットに対して、契約書を自作するデメリットも生じます。
主なデメリットを2点挙げますので、こちらも参照ください。
手間がかかる
契約書をゼロから作成する際は、内容の取り決めから実際の文書作成まで、多大な手間がかかります。
正確性や法的な要件を満たす必要があり、作成は煩雑で、完成に時間も要します。
また、複数の契約書を作成して長期間保持する場合には、保存や管理にも労力が必要になるでしょう。
記載漏れによるトラブル
賃貸借契約書には法的な効力があり、記載漏れは将来のトラブルの元になります。契約書の不備により、問題発生時に不利な立場に置かれる恐れもあります。
例えば、迷惑行為についての契約解除条項が明記されていない場合、迷惑行為を理由に契約解除を行うことが難しくなるでしょう。
また、自身で契約書を作成する場合、記載漏れが起きやすく、見逃してしまうこともあります。
自作文書の場合、セルフチェックになりますから、記載漏れに気付きにくいという点もデメリットです。
まとめ
賃貸借契約書は自分で作ることも可能です。しかし、作成にはかなりの時間を要し、記載漏れがあればトラブルになる恐れもあります。
賃貸借契約書には法的な効力を持つことを理解し、慎重に作成するようにしましょう。
なお、作成時にはテンプレートの活用をおすすめします。一から作成するよりも手間を大幅に削減でき、記載漏れも防ぐことができます。
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