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債務承認弁済契約書と借用書の違いについて解説!

債務承認弁済契約書と借用書の違いについて解説!

「債務承認弁済契約書」の目的は、すでに債務を負っている場合に、債務者がその債務の存在を認めたうえで、弁済条件を確定することです。

一方の「借用書」の目的は、金銭や物を貸借する際に、返済条件を確定することです。

このように、2つの文書は内容や作成のタイミングが異なり、作成者や法的効力、記載項目にも違いがあります。

本記事では、債務承認弁済契約書と借用書の5つの違いについて、わかりやすく解説します。

また、債務承認弁済契約書のテンプレートも紹介していますので、ぜひお役立てください。


この記事の監修者
弁護士法人山本特許法律事務所  パートナー弁護士 

債務承認弁済契約書と借用書の違いとは

債務承認弁済契約書と借用書の違いを以下にまとめました。

違い

債務承認弁済契約書

借用書

目的

すでに負っている債務の存在を債務者が認めたうえで、その債務についての弁済条件を確定する

金銭や物を貸借する際に、その対象についての返済条件を確定する

作成者

債務を負う当事者と、債権を有する当事者の2者

借りる当事者の一方のみで作成するのが通常

作成タイミング

債務発生後

債務発生前

法的効力

あり(両当事者)

あり(借主のみ)

記載項目(内容)

  • 債務の内容
  • 債務者が認めること
  • 弁済についての条件
  • 借りるものの対象
  • 返済についての条件

2つの文書の違いについて、詳しく解説していきます。

【1】目的

債務承認弁済契約書は「すでに負っている債務に対して」、借用書は「これから負う債務に対して」と、それぞれ弁済・返済条件を定める目的が異なります。

債務承認弁済契約書は借入に限らず、すでになんらかの原因で債務を負っている当事者がいる場合に、その債務の存在を承認したうえで支払い条件を決めるために締結することが通常です。

金銭の貸し借りが行われる際に消費貸借契約書が作成されるのが通常ですが、その後、返済方法や期限などに変更が生じた場合や、当初契約書作成がなされず、その後不払などで支払条件を明確にする必要が生じた際などに作成されます。

一方の借用書は、金銭や物などを借りる際に、返済時期などの条件を定めるために作成する書類です。返済の意思を示す書面ですので、金銭の貸し借りを証明する重要な証拠となります。

【2】作成者

債務承認弁済契約書は、債務を負う当事者と債権を有する当事者の2者が関わって作成するのが一般的です。連帯保証人も当事者に加わることもあります。

それに対し、借用書は借りる当事者の一方のみで作成するのが一般的である点が異なります。貸す当事者も作成者になることがあります。また、連帯保証人も作成者になることがある点は、債務承認弁済契約書と同様です。

【3】作成タイミング

借用時点での作成なのか、借用後の作成なのかで違いがあります。

債務承認弁済契約書は債務発生以降に作成し、借用書はなんらかを借りる際(債務発生時)に作成します。

【4】法的効力

どちらの文書も法的効力を有します。

ただし、法的効力を負う名宛人の点で違いがあります。債務承認弁済契約書では両当事者なのに対し、借用書では借主のみである場合が通常です。

債務承認弁済契約書は、債務に関する時効による消滅を防ぐ(時効の更新事由)ほか、返済条件を中心に契約書に定めた内容について法的効力が生じます。主に債務を負う側の法的義務が定められていることが一般的です。

借用書は、借主から貸主に差し入れる借用書であれば、借主の義務について、借用書に記載した内容で法的義務が生じます。貸主も当事者になっている借用書であれば、内容により貸主の法的義務についても定めることができます。

【5】記載項目(内容)

既存の債務の内容なのか、これから借りる内容を定めるのかの違いがあります。

債務承認弁済契約書の場合は、「債務の内容・債務者が認めること・弁済についての条件」の3つを、借用書では「借りるものの対象・返済についての条件」の2つを最低限、定めます。


債務承認弁済契約書の目的

債務承認弁済契約書の目的は、すでに成立した金銭の貸借において、弁済方法や支払方法を改めて確定させることです。

通常、金銭の貸し借りが行われる際に消費貸借契約書が作成されますが、返済方法や期限などに変更が生じた場合や、当初契約書作成がなされず、その後不払などで支払条件を明確にする必要が生じた際などに作成されます。


借用書の目的

借用書の目的は、金銭を貸借する場合、主に借金の返済を確実に約束するためです。借主が返済の意思を示す書面ですので、金銭の貸し借りを証明する重要な証拠となります。

借用書などの貸し借りの客観的な証拠がない場合、貸主は貸し付けたことを法的に立証できず、借主の返済責任を追及できない可能性があります。

借用書は、借主が作成し、貸主に提出するのが一般的です。借主の貸借に対する意思が明確となり、将来的なトラブルを防ぎます。


債務承認弁済契約書のテンプレート

債務承認弁済契約書に必要な項目は、次のとおりです。

  • 債務内容と承認
  • 債務の返済方法
  • 返済の期日
  • 利息
  • 返済が遅延した場合のペナルティ
  • 債権者と債務者の住所・氏名・押印

いずれも不可欠な情報ですので、漏れのないように記載してください。

ビズオーシャンでは、ダウンロードが可能なテンプレートを取り揃えています。

債務承認弁済契約書の記入を検討されている方は、以下のテンプレートを利用するとよいでしょう。

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まとめ

債務承認弁済契約書と借用書は、目的や作成タイミング、作成者などに違いがあることを説明しました。

債務承認弁済契約書は「債務発生後に」、借用書は「債務発生前に」返済時期などの条件を決める文書とすると、わかりやすいでしょう。

どちらの文書も法的効力を有するため、作成する際には記載ミス・漏れに注意しましょう。

ビズオーシャンでは、債務承認弁済契約書のテンプレートを取り揃えています。3者間で締結する場合や、分割支払いにする場合など、状況に応じたテンプレートをご用意していますので、ぜひご活用ください。


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監修者プロフィール

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上米良 大輔

弁護士法人山本特許法律事務所 パートナー弁護士

2009年弁護士登録。大阪市内の法律事務所を経て、2012年にオムロン株式会社に社内弁護士第1号として入社、以降約7年にわたり企業内弁護士として、国内外の案件を広く担当した。特にうち5年は健康医療機器事業を行うオムロンヘルスケア株式会社に出向し、薬事・ヘルスケア規制分野の業務も多数経験した。

2019年、海外の知的財産権対応を強みとする山本特許法律事務所入所、2021年、弁護士法人化と共にパートナー就任。知的財産権案件、薬事規制案件を中心に、国内外の案件を広く取り扱う。

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