対象者別
正社員編/パート編/ 学生・未成年者編/外国人編/ 派遣社員編
正社員編
雇用契約を結ぶ際の注意点
雇用契約書では、試用期間の設定や就業規則の順守、懲戒等の会社側の労働条件を示すことになります。正社員は通常、期限の定めのない雇用で、定年があれば定年までの雇用になります。採用後に社員としての適性を評価し、本採用するかどうかを判断するため一定の使用期間を設けることができます。
試用期間の長さについて労働基準法等で決まりはありませんが、一般的には3ヶ月又は6ヶ月で、最長でも1年が限度と解釈されています。
試用期間中の解雇であっても、特に理由もないのに解雇するのは認められません。試用期間終了時において本人の執務態度、能力、成績、勤怠などについて不適格と認められた場合は試用期間満了とし、契約を解除すると定めておくことが必要です。
パート編
雇用契約を結ぶ際の注意点
パートタイマーであっても、正社員と同じく労働条件の明示が義務付けられています。特にパートタイマーの場合は、正社員と異なる労働条件になるはずですので、具体的に記載することが必要になります。
労働基準法では「契約期間」「仕事をする場所と仕事の内容」「始業・終業の時刻や所定時間外労働の有無、休日・休暇」「賃金」などが義務付けられています。加えて、パートタイム労働法第6条では、 「事業主は、パートタイマー労働者を雇い入れたときは、速やかに、「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」を文書の交付などにより明示しなければならない」とされています。雇入れたときとは、雇用契約の更新時も含みます。
例えば1年契約のパートタイマーと契約更新する場合、期間満了時に使用者が異議を述べないで雇用を継続すると黙示の更新となり、以後は実質的に期間の定めのない契約となります。
契約期間満了前には必ず面談をし、次の期間満了時に更新するか否かわからない場合は「更新をする場合があり得る」、その判断としては「契約期間満了時の業務量、従事している業務の進捗状況、従業員の能力、業務成績、勤務態度、会社の経営状況、その他」に基づいて判断すると説明し、雇用契約書にも明記します。また「契約を更新しない」ということが予めわかっている場合は、そのように説明し契約書に明記します。
また、次の要件にあてはまる場合、パートタイマーであっても保険加入手続きをする必要があります。雇用契約書に記載された勤務日・勤務時間によりますので注意が必要です。
◆雇用保険の加入要件
1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上雇用されることが見込まれている。
◆社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入要件
1日または1週間の労働時間および1ヵ月の労働日数が、正社員の概ね4分の3以上である。
学生・未成年者編
雇用契約を結ぶ際の注意点
未成年者の雇用には原則として次のような制限があります。
・年少者(満18歳未満の者)は、法定労働時間(週40時間・1日8時間)と週休制の原則により労働させなければなりません。したがって、変形労働時間制や、時間外・休日労働及び労働時間・休憩の特例は認められていません。
・満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者の雇用は、原則として禁止されています。
・年少者の深夜業(22:00から翌5:00までの業務)は、健康上及び福祉上特に有害であることから、原則として禁止されています。
上記のような年齢による制限がありますので年齢の確認は十分行なう必要があります。
年齢の確認を履歴書や口頭のみで行う場合、後で年齢詐称が発覚し、トラブルとなるケースがあります。
年齢の確認は、公的な証明書で行なうようにします。また、採用時に親権者の同意書を取ることがトラブルの防止につながります。
外国人編
雇用契約を結ぶ際の注意点
原則として、労働関係の法律(労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法など)は外国人にも適用されます。外国人労働者については、言葉や習慣の違いからトラブルが起こりがちです。日本語で作成しても十分に理解できない場合には、その部分を抜粋し母国語で作成することも必要です。
外国人が入国する際は入管法により「在留資格」を与えられます。 在留資格は27種類あって、種類ごとに活動できる内容が制限され、その範囲外の活動は禁止されています。また、「在留期間」に限って活動することが認められます。
そのため、外国人を雇入れる際は、外国人労働者が所持している在留カードにより「在留資格」と「在留期間」の確認が必要不可欠です。在留カードの所有が確認できない場合には、企業として採用することはできません。
留学生の場合は事前に入管から「資格外活動許可」を受けることによって、アルバイトができることになっています。ただし、1週間の労働時間は28時間以内となっています。
また、健康保険や厚生年金、雇用保険の加入についても、勤務時間等が加入基準に達している場合は、本人の意思に関係なく加入させないといけません。ただし、厚生年金は、日本と社会保障協定を結んでいる国の方は加入しなくて構いません。
派遣社員編
雇用契約を結ぶ際の注意点
派遣社員と雇用契約を結ぶのは派遣元になります。
派遣会社が派遣先へ労働者を派遣しようとしたときに、雇用契約書とは別に就業条件明示書を交付することが、派遣労働法で義務付けられています。この2つは共通する部分が多いので「労働条件通知書兼就業条件明示書」として作成・交付すれば効率的です。
就業条件明示書には次の項目を記載する必要があります。
1 従事する業務の内容
2 従事する事業所の名称及び所在地その他派遣就業の場所
3 指揮命令者の部署、役職、氏名
4 労働者派遣の期間及び派遣就業をする日
5 派遣就業の開始及び終了の時刻並びに休憩時
6 安全及び衛生に関する事項
7 苦情の処理に関する事項
8 契約解除にあたって雇用の安全を図るための措置
9 紹介予定派遣の場合にあっては、当該紹介予定派遣に関する事項
10 派遣元責任者、派遣先責任者の役職、氏名、連絡先
11 時間外、休日労働について
12 福利厚生施設の利用
13 派遣制限期間が抵触する日
派遣先が派遣労働者に時間外・休日労働を命じる場合、派遣元が必要な協定を締結・届出しておくことが前提となります。派遣先は、この派遣契約に定めてある時間外・休日労働の範囲内で、派遣労働者に対して時間外・休日労働を命じることができます。