個人事業主・フリーランスが払う税金の種類
共通で支払わなければならない税金の種類は主に4つです。
① 所得税
② 住民税
③ 事業税
④ 国民健康保険税
それ以外にも年収が1,000万を超える場合には消費税が、自宅と事務所を兼用されている場合は固定資産税などが発生しますが、まずは上記4つの税金についてポイントを押えておく必要があります。
その中でも最も重要なのが”所得税”です。
所得と収入の違いを整理しよう!
所得税とは、その名の通り「所得」に対してかかる税金のことです。では、所得ってなんでしょう。収入と所得という言葉について、再確認しておきましょう。
「収入」
売上金額のことです。例えば年間の売上が500万円の場合、500万円全てが収入という事になります。
「所得」=収入-必要経費
収入から必要経費を差し引いた額のことです。
例えばフリーランスや個人事業主であるWEBデザイナーが、仕事を手掛けるのに必要な機材やソフトを購入したとします。この費用が年間170万円だった場合、「500万―170万=330万」が所得になります。所得税とは所得に対してかかる税金ですので、まずはこの仕組みをしっかり理解しておくことが重要です。
開業1年目でやってしまいがちな所得税の落とし穴
さて、一定以上の所得があるフリーランスや個人事業主の方は、ご自身で確定申告を行う必要があります。
確定申告には「白色」と「青色」の2種類があります。両者の明確な違いを説明すると難しくなりますので、簡単に覚えておくとよいのは以下のポイントです。
白色…経費をおおまかに計算するだけで申告ができるが、控除がない方法
青色…取引を細かく記録しなければならないが、控除を受けられる方法
以前は、経理知識がないので簡易的に申告を済ませたいという方も多数いらっしゃいましたが、2014年の法改正に伴い、白色申告も帳簿(簡易的なもの)をつけることが義務化されてしまいました。そのため白色申告を選ぶメリットが希薄になったため、青色申告を選択しようという方が増えてきました。
が…。青色申告をするためには、その年の3月15日まで(新たに事業を開始した場合はその事業開始の日等から2月以内)に、税務署に青色申告承認申請書を提出する必要があるので注意して下さい!!
実際、申告時期になって『節税効果があるから、青色申告をしよう』と思っても、申請をしていなければ青色申告を行うことは出来ません。
申告前になってあたふたするのではなく、この様な落とし穴に十分注意をし、開業前からスケジュールを立てて進めることが必要でしょう。
なぜ節税対策が重要なのか!
さて、先程から節税に対して注意を促してまいりましたが、皆さまが考えている以上に税金って高いんです!!
具体的に所得税に焦点をあて、解説をさせて頂きます。
上記でご紹介させて頂いた”所得”から「基礎控除38万円」、「生命保険料控除」、「医療費控除」など各種控除を引いた金額が課税所得、つまり税金が掛かる元の金額となります。
例えば年間の売上が500万円、必要経費が150万円の場合で確定申告を行うと仮定します。
まずは課税所得の計算方法ですが、
5,000,000(売上)-1,500,000(必要経費)=3,500,000(所得)
3,500,000(所得)-380,000(基礎控除)=3,120,000(課税所得)
となります。ですので、実際には312万円が課税対象となるわけです。
195万~330万円の課税所得の税率は10%と定められています。またさらに控除額は97,500円と定められておりますので、実際に計算式に当てはめてみると…
3,120,000円×所得税率10%-控除額97,500円=所得税額214,500円となります。
さらに、もしも青色申告(特別控除65万円)で申告をした場合は、課税所得312万円から65万円を引いた247万円が課税所得になります。この場合、
2,470,000円×所得税率10%-控除額97,500円=所得税額149,500円となるため、白色申告を行うよりも所得税だけで65,000円もお得という事になるのです。
※なお、平成49年までは復興特別所得税として、青色申告・白色申告にかかわらず、所得税にプラスして2.1%の復興特別所得税を計算する必要があります。
この様に、税金は少し知っているだけで税額も変わってくるものです。個人事業主・フリーランスとして活躍をしていくのであれば十分身につけておかなければならない知識ですので、是非参考にして下さい。
ポイント(1)
想像以上に税金を支払わなければならないという現実をしっかり受け止める
ポイント(2)
『いかに出て行くお金=税金』を引き下げるかが重要
ポイント(3)
申告方法を変えるだけで支払う税額も変わる