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第2回 著作権契約の注意点


この記事の著者
IPNJ国際特許事務所所長弁理士  知財戦略・技術経営コンサルタント 

対象とする著作権と支分権の特定が重要


著作権契約においては、対象とする著作物を明確にすること、著作権(支分権)を特定することが重要です。

対象とする著作物を明確にする

まず、対象とする著作物を明確にすることが重要です(第1条)。例えば、「作品タイトルを「○○○○」とする言語の著作物」のように対象が明確になるように規定することが必要です。写真やイラストの場合、縮小コピーして別紙に添付する等の方法もよくとられる方法です。

著作権(支分権)を特定する

次いで、著作権(支分権)を特定することが重要です(第1条)。著作権には多くの支分権がありますので、どの権利についての譲渡契約なのかを明確にする必要があります。代表的な支分権を下記に例示します。
「複製権」は著作物を複製する権利です。全ての分野において大変重要な権利です。基本的な権利ですね。
「公衆送信権」は、著作物を放送やインターネットで送信する権利です。ネット利用で関係してくるので身近な(注意しないといけない)権利です。最近の係争・裁判ではよく問題になる権利です。
「頒布権」は、映画の著作物をその複製によって頒布する権利です。映画業界で大変重要な権利で、類似する権利があるにも関わらず、映画に関する権利として特別に規定されています。著作権業界において映画産業が大きな影響力をもっていたということです。
「譲渡権」は、著作物を原作品か複製物の譲渡により、公衆に伝達する権利です。
「翻案権」は、著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利です。翻訳本の作製、音楽のアレンジ、小説の映画化等の二次的著作物を作成する権利です。

実際の契約の場合には、利用シーンを想定し、更に細かく規定することもできます。例えば、「公衆送信権」については、「インターネットでの公衆送信についての権利」のように特定(限定)することもできます。

著作権法第27条および第28条についての特掲を忘れずに

翻訳本の作製、音楽のアレンジ、小説の映画化等の二次的著作物を作成する場合、著作権法第27条および第28条について特掲する必要があります。これを忘れると、二次的著作物の作成ができなくなりますので、ご注意ください。実際のビジネスにおいては、大変重要な規定ですのでお忘れなく!

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著者プロフィール

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乾 利之

IPNJ国際特許事務所所長弁理士 知財戦略・技術経営コンサルタント

企業の知財部員、特許事務所のパートナー弁理士として活躍後、IPNJ国際特許事務所を設立。弁理士、行政書士、MOT(技術経営修士)。知財コンサルティングや経営戦略・事業戦略立案の支援業務に注力している。

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